カテゴリ:マリッジブルー
せんだって、昼のテレビ番組を観ていたら、世界のナベアツが出ていた気がする。
例の三の倍数のネタの、「アホになる」のコツを言ってた。あ、だれかがナベアツから教えてもらったって言ってたのかもしれない。 まあ、どっちでもいい。 「アホになる」コツは、「自分の右耳をかじるようにしゃべる」とのこと。 唸った。すばらしい。 彼は、人にアクションのコツを教える時のコツを知っている。 「後ろ受身はヘソを見ろ」くらい、役に立つアドバイスだ。 僕は、彼の「三の倍数」のネタを「秀才のネタ」と呼んでいる。 アホのテンポが加速する基本構造とか、公倍数を使った応用の利くフレームだとか、いろいろあるが、いわゆる脳トレテイストでもあるので、クイズ番組に企画を売ってフォーマット料を確実に稼いでいるであろうこともまた、秀才である。 で、世界のナベアツには「フレディ・マーキュリーのネタ」もある。 モノマネのオーディションって設定で、フレディの格好をした男が、『We Will Rock You』のリズムに乗って童謡などを歌い、「Rock You」っつって問答無用で落とす。そういうネタ。こうして書くと全然面白くなさそう。 これは天才の仕事だ。 なんでかって、曲のタイミングが来たら鉄板でオチるのだ。ロックユーって来ることがわかっているのに、しっかりオチる。ここまで強い構造のネタはめったに無い。 そして、儲けられるフォーマットではない。演者はナベアツじゃないと成立しない。誰にも使いこなせない、汎用性のない、鉄板のネタ。 それって天才のネタでしょ。 テレビというメディアは、視聴率を市場原理で奪い合う収益モデルなので、とにかく「手っ取り早く、手軽に、おいしいトコだけ」っていうふうに流れていく。 そういう中で、こともあろうにお笑いで、プロセスを踏んでくことが大事で、オチまでの間が楽しめる、そういうネタをこさえた世界のナベアツを、僕はちょっとリスペクトしている。 プロセスが大事だっていう確証はある。 妻に向かって、自分の右耳をかじるように「3!」と言ってみたのだ。1も2もなく、ただ「3!」だ。 「手っ取り早く、手軽に、おいしいトコだけ」というテレビの原則を厳守して、オチだけ見せたのだ。 妻は、フラッシャーに出会ったように慌てて眼を逸らし「なんのつもり?」と聞いてきた。 だから、自分の右耳をかじるように「3!」と言ってやった。 うるさい、と言われた。 ほらな! 笑いには、間が必要だ。弓を引き絞るような間が、瞬発力を産む。 皆さんもこんど試すといい。自分の右耳をかじるように、いきなり「3」ね。 ドン引きだよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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