さあ、披露宴をしよう【その35】
せんだって、披露宴をした。 みんなもするといいと思う。 披露宴っつってもやり方がいまいちわかりにくい。だから、いろんな雑誌が出てるわけだが、オレ様が、経験から導き出した本当に役立つ披露宴のノウハウを伝授したい。披露宴の後輩は、オレ様の話を参考に、すばらしい披露宴を披露して欲しい。【その35】本番当日12泣きながら一気に編集しました●思い出ビデオ 披露宴は親孝行なので、いい具合に育ててもらった感謝的なメッセージをナニしつつ、結果として両親が泣きでもすりゃいいカタルシスになります。 このビデオの役割は、ヘアチェンジを済ませて再入場する新郎新婦に対する感情を歓迎ムードにすることと、歓談で緩んでいる会場の感情ベクトルをそろえること。そして、なんかイイ感じだったと思ってもらうこと。 このすべてを、一本のビデオ、正味4分ほどで叶えるのです。 できる。できます。 ここで大事なのは、タイミング、音量、ベタな大乗的編集、それを乗り越えるエンターテインメントマインドでしょうか。 ビデオ作りですが、実はキモは曲選びです。 ビデオの内容は、「こどもの成長」という大枠を外れません。 そして、メロディも大事ですが、歌詞が意外に耳に入ります。 アッパーな、女の子の気持ちを唄う歌がいいです。無条件に泣ける曲を、我々は知っています。 ×浦、いや松浦亜弥。通称「あ~や」、もとい「あやや」の『ドッキドキ!LOVEメール』です。ドッキドキ!LOVEメール まだ魔法がかかっていたころのナチュラルボーンアイドル・×浦、もとい松浦亜弥と、天才のキラメキをほしいままにしていたころのつんくの、傑作アイドル歌謡です。 都会で一人暮らしを始めた女の子がだんだん成長していきながら不器用に恋愛をする歌詞は、成長を追う態で構成するスライドショービデオに、極端にマッチします。あと思い当たるのは、むかーしの石川梨華のソロにすげえ曲があったかと思いますが、ちょっと思い出せません。 ていうか、ずっと使おうと思ってた曲ってのは、きっと誰にでもありますわな。 ただ、ベタは、強いです。新郎新婦のキャラによっては、ベタ曲を使うことがケレンとして働くことになりますし。 素材となる写真は、週末に新婦の実家に通って探し、盆には新郎の実家で発掘し、スキャンなどしてデジタルデータにしておきます。 デジのカメラで撮った最近の写真やブログなどで使った写真も、素材フォルダにコピーしておきます。 新規の写真を撮りおろすためにカメラを新調してもいいです。SANYO DMX-C6-(S,R,K) iMovieで習作を作り、新郎と新婦のイメージや意図をすり合わせておきます。これは、本番の1ヵ月ほど前。 いずれiMovieではやれないエフェクトが多いことや、ぶっちゃけDVDへの出力ができないことに気がつくので、新郎所有のパワーブックでの編集作業を諦め、新婦のノートPCに河岸を変えます。 ビデオ編集ソフトを買います。超編 Ultra EDIT2 ウィン窓ズは、一万円台前半の値段で買えるソフトが異常に使いやすいことに、強い眩暈を覚えます。マックだと、この十倍の金を出さないと、同じことができませんわい。 パワーブックから、曲と写真等の素材を移動させて、編集に入ります。本番まであと三日四日です。披露宴用思い出写真スライドショービデオ編集のコツ●赤ん坊~幼少時の写真は、印象があまり変わらないので、多用は禁物。●なるべく、列席のお客さんが映っている写真を多く入れる。リアクションがいい。新郎新婦だけの写真など、みたくないもの。●曲のピークを見極める。『ドッキドキ!LOVEメール』なら「♪このーときめきはーなぜ、止まーらーない、心にあなーたいーっぱい」のあたり。特に曲終盤には、同じサビがブレイク入りで来ます。ここに、効く写真を効くタイミングで編集します。音が気持ちいいタイミングで画が変わるのは、無条件に快感です。エヴァのOPが今でも「来る」のはそういうことです。この曲ドッキドキ!LOVEメールはきっかけもとり易くていいですな。フレームの中では「音が先、画が後」です。2~4フレームの単位で調整しましょう。1フレームは1/30秒です。●映っている人数が多い写真は時間を長めにする。全員の顔を見回して、確認する時間は必要です。●画を動かさない。新郎がごきげんで立ち回りしているような動画や、激しい訛りの老婆と新婦の奇跡のコミュニケーション動画も用意はしてたんですが、結局は静止画のスライドショー形式の中で画が動くのを違和感無くつなぐのが難しいことに気がつきます。隅っこにワイプ画像をフェードで入れたりしても、そこだけ悪目立ちするうえに完成度が下がることになりますので、思い切りよくカットし、静止画だけにします。●文字情報に頼らない。テロップを入れても、エフェクトや書体選びは意外に難しく、ともするとローカル局の地元CMみたいになってしまいそうです。だったらマウスで手書きの方がマシです。そもそも、文字はそんなに要りません。千歳飴持ってたら七五三の時に撮ったんだろうし、新郎新婦が並んで立ってる向こう側にカムイシュの島が見えてたら摩周子もとい摩周湖に行った時のものだとわかるでしょう。わかりやすい「雄弁な」写真を選ぶのがコツです。●式場プロデューサーとの打ち合わせ風景を使う。これで彼女は仲間になります。また、ライブ感も出ます。●両家の家族で撮った写真を使う。結婚のあいさつで一度会ったときに料亭で撮ったような写真は、どこの家庭にもあるはずですので、それを使います。曲のピーク付近がいいです。「♪会ーいたくなった~」のあたりです。不思議にこれが、愛されオーラをもってるんですな。●恥ずかしい写真ほど使う。まあ、編集で映像にどういう文脈をつけるのかってところに依存しますが、恥ずかしい写真が「逆にイイ」みたく見えるように編集したいものです。ただし「恥ずかしい」といっても限度はあります。引かれない程度に恥ずかしい写真です。ちんことか出さない。ビデオ上映のコツ●上映のタイミング歓談の時間の後半。ぶっちゃけ、新婦のヘアが変わって、いつでも再登場できますというスタンバイが整ったところでキューです。ビデオ上映の目的は、再入場しやすい雰囲気を作ることなので、会場がビデオで暖まってるうちに登場です。●音量プロジェクター上映なので、会場は暗くなってます。イヤでもスクリーンに注目する状況ですが、さらにちょっと大きな声でないと話せない程度に大きな音で出してもらいます。「客を飲む」、といいます。見る事に集中しますし、話すとしたら大声になるので、テンションが上がります。 心のきれいな人は、このビデオを観て涙を流して感動します。ニコニコしながら滂沱の涙を流します。 こっちも、泣かすつもりで編集します。 プレビューを観て、ときどきぐっと来たりしながら音と映像のタイミングをとったりするわけです。作ってるほうがグッと来ないで、なぜ観客の人が泣けるものですか。 『ドッキドキ!LOVEメール』で、もう勝ってるんです。曲を信用して編集すればよいです。 入っていきやすい会場の空気になりましたか? では、再入場です。 下記のグラフをご覧ください。披露宴の進行と、お客さんの充実度です。