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カテゴリ:戦闘機
久しぶりに戦闘機を更新しました^^
2式水上戦闘機 日華事変における95式複座水偵の予想以上の働きに注目した海軍は、南方作戦を遂行するにあたって 昭和15年、水上からそのまま飛び立てる戦闘機の開発を、水上機に経験の深い川西飛行機に命じた。 15試水上戦闘機、のちの強風である(強風を陸上機にしたものが紫電であり紫電改) しかし新しい機種ゆえに開発には時間がかかることが予想された。そこで、それまでのつなぎ役として 当時、その高性能が話題になっていた零戦11型を水上戦闘機にすることにした。 こちらは昭和16年はじめに「1号水上戦闘機」の仮称で開発が命じられた。改造設計は、これまた水上機に 経験が深く、零戦のライセンス生産を担当することになっていた中島飛行機に命じられた。 改造の要点としては、まず主脚などの陸上降着装置はいらないので撤去した。操縦席からも、これらに 関する装置を取り外した。無論、艦上機に必要な翼端折りたたみ装置や着艦フックも撤去。 そして胴体下に主フロート1本をつけ、その内部中央に燃料タンクを設置した。左右外翼下面に補助フロート 各1本ずつを取り付けた。これらは空力的に優れた形状が採用されるなど工夫されていた。 水上戦闘機として、滑走時に安定性を図るため垂直尾翼を大きくし、方向舵を下まで伸ばした。胴体尾部 下面にも安定ヒレが追加。潤滑油冷却器はフロートを付けたため、主フロートの付け根内部に移動された。 前面に冷却空気取り入れ口を設置し、右側に排出口が設けられた。 なお水上での運用ということで、乗員を保護する操縦席直後の「転覆保護支柱」は撤去された。 試作1号機はわずか11ヶ月で完成し、大東亜戦争開戦当日の昭和16年12月8日には初飛行した。 さまざまな試験飛行も順調に行われ、翌昭和17年7月には2式水上戦闘機(A6M2-N)として制式採用。 零戦からの改造だったが、水上機ということもあって、昭和17年の採用なので2式となった。 降着装置やそれに関する装置を取り払ったが、フロートをつけたため機体重量は11型に比べて200kg増加。 空気抵抗のため速度も100km/h近く低下して436km/hとなったが、高度5000mまでの上昇時間は6分43秒 であり、零戦から受け継いだ運動性能なども、水上機としては申し分ない性能であった。航続力も過荷重 状態で1780km。武装も機首に7.7mm機銃2挺、主翼に20mm機銃2挺と、零戦と同じだった。 (なお、機体重量200kg増加は自重であり、全備重量は122kg増加したに過ぎない) 海軍は正式採用を待たずに水戦隊の編成に着手。昭和17年6月には最初の部隊である「横浜空水戦隊」が 南方の激戦地ソロモンに進出、実戦に参加した。主にアリューシャン列島やソロモン群島などの重要度の 高い場所に配備された。さすがに米軍単発戦闘機には歯が立たないため、双発、及び4発爆撃機、また 哨戒飛行艇、偵察機などの迎撃に参加した。 また水上から飛び立てる利点を生かし、飛行場を建設するまでの制空権確保の防空戦闘機として、時には 輸送船団の護衛にも参加した。 しかし航空戦が激しさを増してきた昭和18年半ばになると、米軍艦載機や陸上戦闘機が、かなりの遠隔地に まで進出するようになってきた。重いフロートをつけた鈍足な2式水戦は、活躍の場を徐々に失い損害も 増えた。昭和18年3月には生産が打ち切られたが生産機数は327機ほどであり、この種の戦闘機にしては 多いほうだったが、末期には主フロート内部に250kg爆弾を装備して、特攻にもかり出された。 本命の川西水上戦闘機「強風11型」は、未経験の機種のため開発が難航し、正式採用されたのは昭和18年 12月。時すでに遅く、太平洋の島々は米軍に占領され、活躍の場所を失った強風はわずか97機の生産で 終わった。 零戦の派生型としては、他に零戦21型を複座化した「零式練習戦闘機11型」があった。整備性の便利を はかるため主脚カバー、尾輪カバーは撤去され、機銃も7.7mmのみだった。他にも零戦52型の操縦席後方に 20mm機銃を斜め前方向にとりつけて、B-29迎撃に使用した「零夜戦」もあった。零式練習戦闘機11型の 主翼を52型の主翼にした「零式練習戦闘機22型」も開発されたが、こちらは試作機2機のみの完成で終戦を 迎えた。 諸元表 型式 2式水上戦闘機 (A6M2-N) 正式採用年月日 昭和17年7月 生産機数 中島327機 全幅 12m 全長 (水平静止時) 10.131m 全高 (水平静止時) 4.305m 翼面荷重 109.6kg/ 自重 1921kg 全備重量 2460kg 許容過荷重 2796kg 発動機(馬力) 栄12型(950hp) 燃 料 搭 載 量 胴体内 145L 翼内 380L 落下増漕 325L 最大速度 436km/h 航続距離(正規) 1782km 実用上昇限度 9760m 離陸滑走距離 - 武装 火器 胴体内7.7mm×2 翼内20mm×2 (弾数60発×2) 爆弾 60kg×2 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 13, 2005 08:06:09 PM
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