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緑の選挙サポートセンター   ~選挙に出ようよ~

緑の選挙サポートセンター   ~選挙に出ようよ~

議員をめざすA to Z (その2)

○ 公然と動く

F.公然化する場合、まず始めなければならないのは、立候補の意思表示です。

ネット上で、あるいは街頭で、あるいは口コミで。その場合気をつけなければならないのは、公然と立候補を言明すると、場合によっては事前運動とみなされる危険性があることです。それから、公示期間中つまり告示日(立候補届をして)から投票日前日まで(選挙運動期間中)以外は、投票依頼は出来ません。厳密に言えば、新人予定候補者は、何もできなくなる惧れがありますが、瀬踏み行為(つまり、立候補してみようと思うけれどどう思います?という行動)と、これは当然のことながら普通の政治活動(具体的な課題の実現あるいは宣伝のための行動)はできます。(括弧の中の定義はすべて私の考えです。)現職議員の活動は全ての活動がこの政治活動とされ、ほとんど制約を受けません。新人にはアンフェアな仕組みです。

 この段階で、自分の決意と意欲以外の外的要因がはいってくることになります。まず家族の理解、友人知人の支援、これらを得ることが第一歩です。勿論、それらがなくともできますが、難しくなるでしょうね。そのためにも、それまでの調査を自分なりにまとめて、説得力のある立候補の理由と見通しをはっきりさせることです。これは実際の選挙戦でも問われることですので大変重要です。


G.前項で二つ言い忘れた点があります。一つは当選可能票をどう見るかです。これは前回、前々回の結果を見れば大体見当がつきます。もっとも投票率の推移や、有権者の構成や増減、また定数の変化などで変わりますので、そこは増減があるでしょう。一般的には、有権者の50~60%(投票率)を定数で割ったものからいくらか下回ったものが、当落線上と考えれば良いでしょう。たとえば有権者数10万人で議員定数が30人なら、1500から1800票ぐらいが当落線上です。

 二つ目は、名簿作りです。これには二つの意味があって、ひとつはこれまで支持を得られた人をその支持の度合いをポイントに名簿化することです。二つ目は、支持してくれそうな人にあたるための名簿です。同窓生名簿や、子供の学校のPTA名簿、町内会の名簿などですが、これらは本来は選挙のために作られたものではありませんので、プライバシーの侵害などにあたらないよう慎重に扱う必要があります。不特定多数の人への訪問その他は事前運動とみなされやすいので(勿論、普段の政治活動、署名のお願いとか集会へのお誘いなどはOK)、紹介者がいればいいのですが、そのときに名簿は有効です。

 つまり名簿は、あたる対象をはっきりさせるのと、あたった結果を集約し、どういう支援が期待できるかを判断して戦略を立てるためと、二つの意味がある重要なものだということです。これを作らなければなりません。何もないときは、電話帳も一つの名簿です。


H.さて、なんとなく世間では、あなたが次の選挙に出るつもりらしいという目で見るようになります。こうなったら後はもう、いかにしてあなたが議員にふさわしいと多くの人々に思ってもらえるようになるか、勝負です。 

 基本は、自分を知ってもらうこと、どんな人間で何を主張しているかを理解してもらうこと、そして支持してもらうことです。そのためにできることは何でもやりましょう。

 でも明らかに役に立たないということがあります。それは事前のポスターです。これは認知度を高めるという意味で、どこの陣営でもやることですが、たくさんのお金と人手がかかります。市民派にとっては、はっきり言ってムダです。それからチラシ(ビラまたはフライヤーとも呼ぶ)とパンフレット。これらもいかに組織力や資金力があるかのアピールにはなりますが、ほとんどの場合票にはつながりません。むしろ大組織のバックや、金権候補のイメージを感じさせるだけ、マイナスです。特にチラシの全戸配布は、選挙が近づけば某共産党や某公明党が組織を動員してじゅうたん爆撃のようなチラシ入れをやりますので、よっぽどよくできたものでない限りそれらに埋もれて、ただのごみになります。もっとも、チラシが珍しい地域では、この限りではありません。勿論選挙にかかわらない市民運動のチラシは、それしか宣伝の手立てがないという意味で、やむをえないものですが。もしやるとしても、陣営の引き締め、自己満足にしかならないということは、覚悟してください。
  

I.それよりも、毎日駅頭に立つことのほうがずっと有効です。常に人が見ているところで、情熱と理念そして政策をアピールすることです。特に市民派にとっては、しがらみがないということは実績がない、あるいは信頼性がないということでもありますから、簡単には支持してもらえません。しかし、見る人は見ています。訴えの中身、訴える様子、そして粘り強さなど、続けることによって支持は広がるでしょう。それが市民派の強みです。

 かりに「議会に新しい風を吹かせよう」というスローガンを掲げようとするならば、それに見合ったスタイルが必要です。昔ながらの議員のスタイルでそういうことを言っても人々の胸には響きません。あなたらしく、あなたが納得できるやり方が人々の共感を呼ぶのです。もしそうやって、支持されないようなら、それはあなたが向いてないということです。こればっかりはいかんともし難いですが。まぁそういうことは無いものとして、話を進めます。

さて駅頭に立つ場合、演説のスタイルというのも、重要です。市民運動の場合と違うのは、必ず名前もアピールしなければならないという事です。これが普通の市民としては不得意です。ですから、何か名前がわかるような、旗だとか看板だとかを置いて、話は中身に集中できればいいのですが、これが公選法などとの絡みで、なかなか難しい。でも選管にしても警察にしても、必ず一度は警告なるものをします。いきなり立件するなどということは、よっぽど悪質な、そう、買収でもなければしません。ですからやれることは創意工夫で、どんどんやってみればいいのです。大体選挙に関しては制約が多すぎます。取り締まる側も細かいところは現場判断が多いので、とにかくやってみることです。下手に選管や警察に相談すると、彼らも責任を負いたくないので、たいていダメという判断になります。

 もう一つは、話し方です。私たちの場合、聴衆に物申すというよりはむしろ意見などを引き出したいわけですから、語りかけるような言い方が良いと思います。方言で話すなども有効でしょう。音楽を使うのも良いかもしれません。駅前に話の輪ができるような話し方ができれば、それだけで印象がアップします。こういう人だったら議会に送っても良いかもと思ってもらえるよう、工夫してください。
 

J.さて前項では、駅頭宣伝の事を書きました。その際に、ただ話すよりも何か資料があったほうが良いでしょう。この場合の、チラシなどは、前回書いたものとは違います。大量にではなく、手渡しできる範囲で、また知り合いを通じて手から手へと渡せるようなものです。丁寧に作られた、あるいは手作りのわかりやすいパンフレットなどは、人柄をアピールする有効なツールです。できれば、お友達のデザイナーやイラストレイターの協力が得られたら最高です。あとで、出てきますが、選挙期間中に「公選ハガキ」というのを無料で出せます。区議会議員の場合は、2,000枚出せます。これを多めに刷っておいて、パンフレットや名刺代わりに使う方法もあります。これは、支持者にお願いして知り合いを紹介してもらい、その人に投票を依頼するものなので、その性格上候補者の写真や履歴、キャッチコピーや政策などを載せたものになります。ですからそれを渡すことは、実質的な投票依頼なのですが、選挙運動の準備的行動でもありますので、違法とはされません。むしろこれのほうが、三つ折のパンフレットなどより有効です。よく、パンフレットや、立候補予定者を載せたチラシなどに、「内部討議資料」などと小さく入っているのをご覧になると思いますが、それらは不特定多数に大量に配布すると事前運動となり、公選法違反に問われるので、言い訳が出来るようにわざと入れているのです。

 これらのグッズを用意し、人の集まるところ、これはもちろん有権者が集まるところという意味ですので、ターミナルステーションの場合には人の動きを良く見ないと見当違いをすることがあります。そういう場所で、朝の出勤時や、夕方の帰宅時に訴えるわけです。一般的には、朝は話を聞く余裕がないのが普通ですので、認知度を高める、あるいは自分の活動にメリハリをつけるというのが主な目的です。夕方は逆に話をじっくり聞いてもらうなり聴衆から反応を引き出すという中身重視ということになります。いずれにしてもこの活動を始めることによって今までぜんぜん知らなかった人が、あなたを選挙に出るつもりの人なんだなという目で見るようになります。

 できれば一人二人一緒に付き合ってくれる人がいれば良いですね。時間は一時間、長くても二時間もあれば十分です。週にできれば三ケ所、少なくとも週に一度はやりたいものです。要は、いかに粘り強く続けるかです。

やる気と真面目さ、これはかなりポイントが高い議員としての資質です。


K.公然と運動し始めると、反応があります。無いようだったら問題で、今やっている運動でよいのかどうか、反省が必要ですが。その時に事務所、あるいは連絡先が必要になります。事務所自体は、すぐにどうしても必要なものとはいえません。お金もかかりますし、運営に人手も入用です。ボランティアのローテーションでいつでも開いていることがベストなのですが、とりあえずは留守番電話の自宅でも確実に連絡が取れれば大丈夫でしょう。

ただ、選挙期間中あるいはその一ヶ月ぐらい前からは、支援の人々が集う場所としても事務所の果たす役割は大きくなります。支援が広がれば、貸してやろうとまではいかなくても物件の情報などは集まるでしょうから、その時に考えても良いでしょう。

できれば目立つ場所、通りに面した場所などがいいのですが、最寄の投票所から半径300メートルは離れていなければなりません。それは投票日には、投票所から半径300メートル以内の選挙事務所では、看板が見えないようにしなければならないという規定があって、余分な仕事ができるからです。それと、投票日に自分の選挙事務所の名前を隠さなければならないというのは、ちょっと不安なものです。

 事務所には事務局を置きますが、事務局長が大事です。後援会を作るのが一般的ですが、市民派の場合、昔ながらの個人後援会というよりは、皆で区政を考え行動するというスタンスの方がしっくり来るし実際役立ちます。何なら無くても大丈夫です。しかし事務局長は必要です。この人が選挙戦全体に目を配ることになるからです。候補者は多かれ少なかれ、我儘になるし、情勢も見えなくなるものです。忙しくもなりますので、自分がすべてに目を配っていたらストレスがたまるばかりです。そこで、自分がもっとも信頼できる人に、あるいは何でも相談できる人に事務局長を引き受けてもらえるようお願いしましょう。選挙期間中はフルタイムで候補者と同じように選挙に関わってもらえることが条件です。

 候補者のホームページや、支持者間のメーリングリスト、オープンな掲示板やメールマガジンなどの準備も、作るのを手伝ってくれる人を含めて、必須のものです。これまでの選挙と大きく変わるとすればこの辺でしょう。インターネットをどれだけ有効に使えるかが、勝負になる可能性があります。市民派には有利だと思います。


L.もう一つ、今からでもできる運動に、個々面接があります。選挙戦において、期間前・中を問わず禁止されているものに、戸別訪問があります。イギリスなどでは、選挙の主要なスタイルだそうですから、ところ変われば、ですが、これは本当におかしなことです。そもそもは、買収が横行したための、禁止措置と思われますが、なんとも困ったものです。買収などは、地下に潜っていまだに続いているわけですから、規制の意味がないのですが、とにかく選挙目的で、不特定多数の家を訪問するのは違法です。ただし、選挙期間前の政治活動は禁止されてませんし、知り合いの人を訪問するのはこれまた禁止の対象外です。ザル法といわれる所以ですが、パンフレットの「内部資料」と同じように、言い訳できるように備えをしておく必要があります。

 ですから、戸別訪問と言わずに個々面接あるいは、個別面談などと言います。個々面接では知り合いのお宅の訪問か、政治活動の一環としての訪問でなければなりません。ちなみに、住民投票などでは、公選法の縛りがありませんので、戸別訪問が主な選挙戦術になります。本来は、戸別訪問は解禁して、買収行為などはそれ自体として厳しくチェックした方がいいと思いますが、とにかく、やり方に注意しないと、警告を受ける可能性があります。

 また、最近増えているセンターロックのマンションなどは、住人に知り合いがいない限り入ることさえできませんので、大変です。逆にそういうところで支持が得られれば、かなり固い票になります。それにそういう人たちの中には、判断材料がないため、訪ねると却って喜ばれることがありますので、何とか工夫をして、こちらの主張を伝えたいものです。マンション近くの人通りの多い場所での辻立ちをしたり、チラシを渡したりするのも有効かもしれません。

 個々面接では、こちらの名前と主張を伝えることはもちろんですが、相手の意見や要望を引き出すのはもっと大事です。もっと大変ですが。また、賛成反対を問わず、しっかりと反応を確認することが大事です。それらを総合することによって、雰囲気や流れ、風が読めるわけです。従って、自分の主張のどこを強調すべきかとか、足りないものは何かなど戦略的な点まで明らかになってきます。最悪なのは、一方的にこちらの主張を押し付けたり、知り合いの名前で、嫌とは言わせないように追い込んだり、自己中心的なアプローチに終始することです。それを好反応、好感度として数えても、何の意味もありません。票を開けてみたら砂上の楼閣だったとなるのが落ちです。

むしろ、他党や他候補を応援している、とはっきり言ってくれる人の方が親切というものです。その場合にも、それはなぜなのかを参考のためにきちんと聞きましょう。そういう人は決して敵ではありません。敵というのもおかしな話ですが、一番困るのは、「ハイハイ、がんばってね。応援してるわよ」とまで言っておきながら、投票してくれない人です。特にお店をやっている人などは、お客さんとの付き合い、商店街での付き合い、業者、銀行、役所などとの付き合いと、がんじがらめ状態で、よっぽど打ち解けてこないと、とても本音など出してくれません。当たり前ですね。普通の市民にしても、多かれ少なかれ、一緒です。町内会、PTA、地域のサークル、会社、労働組合など、いわゆる組織選挙の枠組みの中で、どう一人一人の本音に迫れるかが課題です。

 一般的に、小選挙区や首長選と、全区一区の区議会選挙の違いは、この辺にあります。前者では、大多数の人にとって意中の人は1人です。それだけ違いがあるし、見えてくるわけです。しかし後者では、好感の持てる候補者はその人にとって複数いるのが普通です。同じ党から数人出ているし、同じ地域から数人出ています。若い人、女性、がんばってる人みんな複数いるわけです。その人が5人いいなと思っていても、1票しかありませんから、2番目以下の人には票が入りません。市民派の候補者は、好感はもたれるが票は思ったほど入らない。これが原因です。ですから、選挙戦も終盤になると必ず他陣営から出てくるのが、「あの人はもう大丈夫だから、今回は私に」攻撃です。アンフェアですが、仕方がありません。その中で勝ち抜かなければならないのです。誰かの心の中で、NO.1になること。これが一番大事なのです。

 ですから逆に、本音が出るということはそれだけで、入れる入れないは別にして市民派選挙の土俵に上ってもらえるということです。

 何度もいいますが、相手の言うことをきちんと聞くことです。しかしそのためには、こちらの主張もはっきりとしている必要があります。聞かれても答えられないようでは、そもそも対話が成立しませんからね。と言っても知ったかぶりは禁物です。

 ごく普通の話し方が良いようです。これはとっても難しく、その人なりにとしか言いようがありません。個々面接だけで当選できると豪語する議員を知っています。本当にこれだけかどうかは知りませんが、なるほどと思わせるような活動ではあります。

市民派の人たちは、運動のスタイルとして署名運動の経験があると思いますが、あれこそ個々面接の基本です。具体的に運動の署名集めと一緒にやるのがいいかもしれません。もっともその際自分の名前をアピールするのも忘れないようにね。

 個々面接について、少しくどいぐらい細かく書きましたが、これと街頭演説が、市民派運動の二本柱だからです。あとはそれらの成果をきちんとデータ化し、それに見合った選挙期間中の活動を準備するだけです。

 もう一度まとめます。選挙期間前の活動は、調査し名簿を作り、街頭演説と個々面接で知名度と認知度をあげ共感を広げる、これを粘り強くどれだけ長期にわたってやれるかで、勝敗が決まります。出来ない場合のウルトラCは別に考えなければなりません。方法はありますけどね。


議員をめざすA to Z (その3)につづく


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