「1Q84」韓国語版は複数翻訳者で完成?
約2年前に出版された村上春樹著「1Q84」。日本でも大変な人気でしたが、韓国でも発売前から韓国語版出版の権利争いで破格の版権料になったと話題になり、結構電車でも読んでいる韓国の人を見かけたことがあります。わたくしめも日本から空輸してもらってBook3まで読み、その後、韓国語版で2ヶ月ぐらい仕事に向かう電車の中でBook1と2までは読みました。(Book3はちょっと出版の間隔があいたので韓国語版はまだ読んでいませんが。。。)で、韓国語訳の本なんですが、日本で出版されてそれほど間隔があかずに韓国語版が出ています。たとえばBook1・・・・【日本】2009年5月30日初版→【韓国語版】2009年8月25日初版たった3ヶ月弱。出版前にまあ原稿が上がってはいるかとは思いますが、それにしても訳者1人で554ページのBook1を訳すとは神業。。。ちなみにBook2は日本ではBook1と同時発売だったのですが、韓国語版は2009年9月8日発行(9月2日初版印刷)と2週間ほど遅れて発売。Book2も501ページもあるので、2冊あわせて1000ページを越える分量を一人の訳者で数ヶ月って可能なんでしょうか。わたくしめには韓国語→日本語だったとしても到底できません。で、韓国語版を読み進んでいくと、致命的な誤訳を発見。Book2の「第8章(天吾)そろそろ猫たちがやってくる時間だ」の161ページ(韓国語版ではBook2の190ページ)にある「おそらく高円寺駅で中央線の登り電車・・・」というくだりの部分の訳で、「高円寺駅」が「たかえんじ駅」と訳されている。うむ。「たかえんじ」という訳はあまり日本での生活経験がない人が訳したようで。だここ一箇所だけ「たかえんじ駅」になっていて、それ以降の「高円寺」の訳は「こうえんじ」とハングル表記。(たとえば「第15章(青豆)いよいよお化けの時間が始まる」の328ページ、「第18章(天吾)寡黙な一人ぼっちの衛星」の395ページ、「第20章(天吾)せいうちと狂った帽子屋」の426、428、430ページの「高円寺」は「こうえんじ」とハングル表記)うむ、数ヶ月のうちに1000ページもの訳を1人の翻訳者が訳したというより、複数の人が下訳してそれを翻訳者がチェックする方式でやって出版したような感じ。なんとなく天吾、青豆と変わるたびに韓国語の文体が変わるような気がするところもありますが、まあどうなんでしょうか、商業翻訳の宿命ですかねえ。「1Q84」韓国語版には下訳で苦労している人たちがいっぱいいそうな感じなのですが、訳者にも名前が出ずに苦労している人がいるんだなあ、と翻訳もしているわたくしめとしてはちょっと侘しくもなります。韓国語版「1Q84」もネットで販売されているようなのでご興味のある方はどうぞ 【韓国本、KYOBO文庫、小説】1Q84. 1価格:2,198円(税込、送料別) 【韓国本、KYOBO文庫、韓国小説】1Q84. 2価格:2,198円(税込、送料別)