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大体3分の2は猿の如く

大体3分の2は猿の如く

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2008/12/13
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『幻想の果つる先、夢と境の向こう側へと。』

【2】


まあ、半ば追い出されるように神社―『博麗神社』だっけか?―を出たんだが
正直なハナシ、俺ここ以外だと何処に行って良いのかさっぱりなんだが・・・

「霊夢って、その辺分かってて追い出したのか・・・?」

きっと、十中八九その確率は低いと思われる、ってかたぶん無いだろうな。
もしあったとしたら、どれだけ心根が腐ってるんだって言う。

「・・そういや確か『里』に誰か人が居るって言ってたな・・行ってみるか。」

とりあえず霊夢に関しては今は置いておくことにしよう。と思い
やっぱ『里』って言うぐらいなんだからやっぱ下ればいいよな(笑)という
誰がどう聞いてもアホ丸出しの思考で歩き始めた訳よ。
・・・ぶっちゃけ、神社出たら下り坂の道しかないんだけどさ。

「ていうか、この神社・・結構山の上にあるんだな・・結構高いし・・
なんか、向こうの山の方にもう一つ神社っぽいのがある気がするんだが・・・
あそこは後で行くことにして、今は『里』へ行くか。」

そういうことにして、俺は鳥居を潜り抜けて坂道を下っていった。
神社のくせして何気に石段の数が微妙に少なかったりとか
掃除はしているんだろうけど、多分手入れ自体はしてないんだろうな・・・とか
ま、思うだけで俺がそれをしようとも思わないんだが・・・

(でも、宿を提供してくれるお礼にしてもいいかもな・・・)

ふと、そう考えたときだった。卒然と俺は足を止めた。

「・・・・昼、だよな?・・今。」

真っ暗だった。
いや、それはもう容赦ないくらいに問答無用で真っ暗だった。
おかげで俺はついつい、誰もいないのに誰かに確認取っちゃうくらいに慌てた。

異常だ・・とりあえず一歩下がってみた・・・二歩、三歩・・・あ、明るくなった。
そしたら、俺はすごいものを見てしまった。下がった後に見た「闇」の全容、そして。
下がるその一瞬の時に、闇の中で閃いた一筋の眼光、そして、手が。

「・・この黒い丸って・・てか、球体か?なんでだよ・・
誰か居るのかよ、こんな球の中に・・そういや妖怪が居るって言ってたな・・」

直接口には出さない、ていうかむしろ出せない。
あんなのがあるとは思えないし、逆にあってもらっちゃ困る。いろいろと。
ちゃんと明言しちゃうと、マジでそれが具現しちゃいそうで嫌だ。

「あれー?・・おかしいなー、逃げちゃったかな?」
「ほら、あんまり悩みすぎるから俺もついには幻聴まで・・ってええええええええ!!!」
「んー?うるさいー・・よく分かんないけど、逃げないのー?」

思考が追いつかない、追い付く訳も道理もクソも何もあったものじゃないけど。
ぶっちゃけちょっとハイトーンの幼い女の子の声が聞こえてるんだが
姿形は見えないわ、声は闇の球体から聞こえてくるから奇妙で仕方ないわで
というか、逃げる?おいおい・・・もしかしてもしかすると俺ってピンチなのか?!

「待った!俺は君に何もしないし何もしないから何もしないで欲しいなっていう・・」
「・・?ヘンな人間・・てゆーかそーじゃないんだよー?」
「・・・は?」
「アナタが何もしないって言っても、私はアナタを食べるだけだから。」
「ちげぇよ!そうじゃねぇよ!食べんなよっ!人間を・・むしろ俺を!」

会話が噛み合っていない事は、薄々分かっていたが・・・しかし。
言ってる途中で、闇から次第に何かが現れてきた。
髪は薄い金、まだ幼い顔立ちだけど血のように赤く、紅いその瞳。
白のブラウスにただ真っ黒なツーピースを着た、彼女は少女だった。

「・・なんだ、普通の可愛い子じゃん・・」

俺は、彼女が俺を食べるという事実を胸の奥に閉じこめて・・・いや、違う。
本当はそんな事なんか、この一瞬の時にはどうでも良いことだった。
今まで感じていた、ひたすらに恐怖しか与えないような闇から出ていた声。
その正体が、外見は・・・この際、この子の本質が何なのか?ということは気にせず
見た目だけなら、俺はその子を素直に可愛いと思えた。

だから、俺はそうやって、素直な一言を述べた。
身体にのし掛かっていた恐怖や、重圧、その他諸々の負の感情を押しのけて。

「ふぇ・・・?な、にを言ってるの・・?」

すると、忽ち彼女の周りからは闇が消え去っていった。
まるで砂に描いた軌跡を、波が掻き消すようにあっさりと、キレイに。
同時に彼女の顔がさっきと比べて赤みが増している・・とはいうものの
正直な話、さっきまで彼女は闇の中に埋もれていたせいかよく分からないけども。

それで安心したのか、俺は彼女に普通に話しかけることが出来るようになった。

「えっと・・とりあえず、俺を食べるって言うか人間を食べるのは止めて欲しいんだが・・」
「えー・・どーして食べちゃダメなのー?」
「どうして、って言うか、君だって仲間とか友達とかを殺されたらイヤだろ?」
「それは・・そうだけどー・・じゃあ、何を食べたら良いのー?」
「そうだな~、普通に肉とか野菜とか、人間が食べるようなもの、かな?」
「私、そーゆーの作れない・・・」

つい、俺はあ~・・と言ってしまう。そういや俺もそういうの出来る気がしない。
苦肉の策の案だったわけだが、納得はしてくれたみたいだけど方法が問題らしい・・
でも、ここでハイ、サヨナラと放っておく訳にもいかないしなあ・・・

「じゃあ、ちょっとアテを探してみるからそれまで待っててくれるかい?」
「うん、分かったー。」
「えと、そういえば訊くのを忘れてたけど、君の名前は?」
「ルーミアだよー、それなら、アナタは?」
「あー・・ちょっと俺の名前は分かんないんだ、ゴメンな。」
「じゃあ、今度会うときに教えてねー、それじゃあねー。」
「ああ、それじゃあなー。」

彼女はそういうか早いか、すぐさま先の闇を自らの周りに闇を展開し球を形成した。
ふわふわと浮きながら、それは上空高くへと行き向こうへと消えていった。
手を振り、見送ってから俺は、『里』への道を急いだ。

・・その時、頭上から迫る「塊」に気がついていればすぐに『里』に着いた気がする。
・・・でも、俺はきっとこれは避けられなかったんだろうと思う、フラグ的に。
おかしいとは思ったんだ。

「ちびたっ!・・何?水?・・てか、これ氷じゃん・・何でだよ・・」

空を仰げば、雲一つ無い晴天。雨霰や雹霞とかそういったのが降る気配は何処にも無し。
むしろここまでくればお洗濯が捗ること間違いなし、とかいうそういう天気。

「おまえー!ここで何をしてるー!」

エライハスキーな声が聞こえたのその時だった。





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最終更新日  2008/12/13 05:57:33 PM
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