2008/04/02(水)01:19
おこられ・・・?
メールの文面を見てシューンというか、ショボーンとなる。
文章だけってのは、人の感情が見えづらい。
その人が怒ってそう書いたのか、はたまたそうでもないのか。
自分も本当に怒ってたらそれとなくそういうムードを文面にちりばめることが
あるのだが・・・。 やはりそういうことなのか(自己消化)
あるいは、違ってて、「気を付けてくださいね~」程度だったりするのかも・・・?
やっぱり、文字から感情を読み取るのは難しい。
杉浦さんがいたら何て言うかなー
「メールなんて感情の見えないものは嫌いなの!」とか?
つっても、それは新聞も同じかも。 ブン屋はそんな感情を文字にする
葛藤を抱えながら、日々記事を書いているのかもしれない。
作中では、杉浦さんもメールを使っていたりいなかったりするので、
そんなに抵抗はないのかもしれないが、「京の散歩道」は原稿用紙に鉛筆書き
というアナログ志向。 確か、いつか渚が「PCで書けば~」と
促しても杉浦さん拒否してたな・・・
つうことで、迷宮案内SS「アナログとデジタル」。
登場人物はASのナオトと、杉浦さん。 そして彼をめぐる人たちも少々。
ドラマ2次創作になるんで、反転でお楽しみくださいな。
ちなみに、妄想の産物なんで著作権の侵害とかそういうんではありませぬ。
ではでは~
「お、何だ何だ、彼女にでもメールかぁ?」
「杉浦さん・・・いいえ、違います。弟に。」
お決まりとも言える「弟」という言葉に杉浦は少し拍子抜けした。
「まあ・・・事情はわかるけどさ、おまえさんまだ若いんだからさぁ・・・
そんなに責任感じることでもないんじゃないの?」
ナオトは、実家にいる弟とずっと仲が悪かったのだと以前聞かされた。
両親の愛情、弟の負けず嫌いな性格、そういうものに関わっていくのがしんどかった
と、言っていたのが印象に残っている。
しかし、自分が京大受験のストレスから弟の首を絞めて殺そうとしてしまったところ
から、言い表しようのない罪悪感が芽生え、京都に移ってきてもこうして
弟の罪滅ぼしみたいなことをしている。
杉浦はそこに興味を抱き、ナオトと何度か会い、話をするようになった。
「そういえば杉浦さんは、京日の記者なんですよね?記事ってやっぱりパソコンですか?
書くの・・・」
「いや、あんな、パソコンなんてモンは俺には向かないの。だからコレに、鉛筆!」
そう言って、原稿用紙をナオトに突き付ける。
「へえ・・・まだこんなアナログで記事を書く人がいるんだ。 最近じゃみんなパソコン
なのに。だって、大学のレポートなんかも全部パソコンじゃないとダメって言われて
ますよ?」
「それはナオトが京大だからなんだろう・・・」
「・・・?いやいや、大学がどこでも一緒ですよ」
軽く笑いながら、またすぐにいつもの憂いを帯びた顔に戻る。
鴨川沿いの桜の木は、7分咲きの花をつけ、ピンク色の枝が揺れている。
ナオトの表情と、揺れる桜がシンクロして見えた。
「やっぱりメールって、人の気持ちがわからないですよね。取り繕って書くことだって
できるし。 アキトがどれだけ、「もう元気だから、心配すんな。自分のことを考えて
生きろ!」って送って来ても、本当かなって思うんです。」
「・・・だったら、弟さんだっておんなじこと思ってるハズだ。」
少し間が開いてナオトが、だから怖いんだ。と漏らした。
杉浦は、少しハッとさせらせた気分になった。
*
翌日、京都日報社会部―
「杉浦さん、例の取材の子、その後どうなの?」
渚がいつものように洗濯物を干しながら尋ねると、ミニ菜園のビニールハウスから
ひょっこり顔を出し、「どうって、まあ、おもしろいとこはある奴だな」
とだけ答えた。実は面白いというのは、そのままの意味ではなく、京弁的要素を含んだ
面白い、いや、「おもろい」なのである。
「いいなー杉浦さん。私も、イケメン京大生だったら取材代わりたいくらいですよ」
「な~に言ってんだ! ったく、渚のミーハーは・・・」
そこに遊軍長が顔を出してくる。
「今杉浦さんが取材してる例の子、来てますよ」
「うそっ・・・!」
渚が洗濯物を干す手を止めた。むしろ干したものまで戻すような勢いでバッグに
衣類を隠しこんでいる。
「すみません杉浦さん、職場までお邪魔してしまって・・・」
「どうしたー?何か俺に用事?」
「い、いえ・・・用事という程の事じゃないんですけど・・・見てみたくなったんで!
杉浦さんの職場!」
杉浦は半ばポカンとしていた。 なにしろ出会ってから初めて見る彼の屈託のない笑顔
だったのだ。 それも好奇心旺盛な、普通の学生の顔―
「先にこちらの円谷さんに少し案内してもらってたんですけど、やっぱりアナログは
杉浦さんだけでしたね」
「?何の話ですか」
渚が不思議そうにしていると、杉浦が仕方なく「アナログとデジタルの話!」と
ポツリとつぶやいた。
「あら何、みんなこんなところで・・・遊んでるなら仕事仕事!」
「あ、すみません、お邪魔してます」
「こちら杉浦さんのお客さん」
そう言われて橘つた子も理解したようで、えーこんな子が杉浦さんの取材に協力してるの?
うそでしょ!?などと驚きっぱなしだった。
*
夕方、出町柳のデルタ―二人が話すのは決まってここ、ということになっている。
「今日はすいません。勝手にお邪魔して」
ここでみるナオトの顔はいつも憂いを帯びている。それなのに・・・
「今日、杉浦さん不思議そうな顔してましたね」
「そりゃー、いつも思いつめたような顔してるやつがいきなりあんな顔して来たら
誰だって驚くだろ」
ナオトは苦笑した後、ああいう場で取り繕うのは得意なんですよ。と弁解する。
「怖いねぇ、最近の若者は。場所によって印象まで変えちまうんだからさー」
二人一瞬無言になって立ち尽くす。桜の花が昨日より開き、華やかさを増している。
花が重いのか、枝が垂れ下がって風に揺れている様を二人で見ていた。
「やっぱり、アナログのいいところを残したくて、杉浦さんはパソコン、使わないんですね」
今日遊軍で橘デスクっていう女性に聞きました。といい、乾いた笑みを見せる。
「またデスクが余計なこと吹き込んだな・・・」と苦虫を噛み潰すようにつぶやく。
「いいじゃないですか、そうやって、守っていく、っていうのも。 俺はどうかな―
デジタルに飲み込まれていく方なんだろうな・・・」
淋しそうに言うナオトに、だったら飲み込まれなきゃいいだけの話だ、と言い返す。
「ナオトお前―もっと素直に生きろよ。アナログでもデジタルでも、拘ることないだろ。
もっと心から笑って、強くなれ!」
「俺はまだ変われません―つぐないが終わるまでは」
「違う!」
突然どなりだした杉浦に、ビクッとして少し怯えた目で恐る恐る互いの目を見る―
「もう弟の幻影に囚われて自分を殺すようなことはやめるんだ・・・今のおまえは
アナログでもデジタルでもないよ。ただ迷ってるだけだ」
日が陰り、二人の顔に影が強く出てきた。
ナオトは、泣きたいのをこらえているのか、何か言いたそうにしているのか、
何かをつぶやきながら鴨川を見つめる。
「でも、俺を生かしてくれたのは、やっぱりアキトだったんです。俺、アキトみたいに
明るく振る舞うの最初は嫌でしたよ。だけど、杉浦さんがそんな俺を掬い上げてくれた。」
そう言われてまるで「蜘蛛の糸」だなと杉浦は苦笑する。
「じゃあ、おまえは地獄から天へ昇る亡者ってとこだな」
*
田舎亭・朝
「杉浦はん大洞はーん、朝ゴハンできてまっせ」
大洞さんとおかみさんの作ってくれた朝食に箸をつけていく。
昨日どこそこで事件があっただの、そんな他愛もない話で朝餉は進んでいく。
すると、外から声が聞こえる。
「す・ぎ・う・ら・さーん!!」
聞き覚えのある声。ナオトだ。慌てて外に顔を出す。
「俺、ちょっと川崎に帰ります!!」
「へ?何で?」
少し照れながら、昨日地獄から掬い上げてくれたから―と言った後、
デジタルじゃない、弟の気持ち聞いてきますね。と明るい声で続けた。
「それじゃ。行ってきます」
走り去るナオトを見ながら大洞さんがいいねえ、若い子は。うらやましいねえ。などと
しみじみ呟いていた。
おう、頑張れ― 杉浦は言いそびれたその言葉を胸に、京の散歩道の原稿にてを付けていった
駄文ですいませーん・・・こんな感じで・・・つかASを読まないと前後関係がわかんない
話になってしまいました。早くAS書きたいです・・・