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2005/12/28(水)12:57

泥の河

邦画(6)

「川岸の食堂の息子、信雄が出会った少年喜一。喜一は河に繋がれた船で姉と母親とで暮すという。二人は親しくなり、やがて喜一の姉の銀子とも顔見知りになる。信雄の父はその姉弟を、信雄の友達として暖かく家へ呼んでくれた。大人たちにはその姉弟のことも船のこともわかっている。」 モノクロの画面が説得力をもつのは、作品の持つ力なのだろうか。昭和三十年頃の大坂の川岸に暮す人々がこの映画の中には生きている。誰もが経験したような淡い想い出が三人の少年たちの姿をかりて蘇るようだ。 子供の頃は、あそこの家はどうだとか身なりがどうだとか、そんな事は関係なかった。気持ちが通じれば友達になる。ただそれだけだった。心の友とはそんなものではなかったろうか。しかし、その友情にもいつかは別れがくる、たとえ理解できない別れであっても何時かは分かる時がくるのだけど、胸にのこったささくれはずっと残っているような気がする。 思い返せば返すほどいい映画だ。田村高廣が演じる父親の情のある大坂弁が優しいい。そして、姉弟の母親役、加賀まりこが美しい。 泥の河とは町の中を流れる河、清らかな流れは想像できない。淀みで底が見えない河、人々が日々を暮し、行き来する為の河なのだろうか。やるせなさと愛しさが込み上げて来る。こういう映画の良さを、わかる心だけは無くしたくない。 出演 田村高廣 藤田弓子 朝原靖貴 柴田真生子 桜井稔 加賀まりこ 初音礼子 蟹江敬三 八木昌子 殿山泰司  西山嘉孝 芦屋雁之助 1981年「泥の河」 原作 宮田輝 脚本 重森孝子 監督 小栗康平 小栗康平作品集 DVD-BOX 泥の河・蛍川・道頓堀川 泥の河(2枚組)  / 宮本 輝 【CD版】  

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