セロ弾きの豪酒にようこそ

2006/12/09(土)20:10

映画「父親たちの星条旗」

映画「父親たちの星条旗」 監督 クリント・イーストウッド 評価 可  昨日最終上映日の最後の上映でやっと見てきた。「硫黄島からの手紙」との一対の二部作のアメリカ側の硫黄島。硫黄島はサイパン島と東京の中間点にある。サイパンから本土爆撃はB29は可能だが護衛する戦闘機がそれだけの航続距離がなく補給、攻撃、沖縄東京硫黄島が等距離で戦略上重要な位置にある。これは日本軍にとっても同じでここを失うと本土が危ない。2万人強の日本軍に対し25万人の大艦隊で米軍機攻めた。島の周囲の海は無数の艦船で埋め尽くされる。すでに補給路を断たれた日本軍は全滅。わずか1000余人が生き残っただけらしい。その元兵士小沢政治さんが映画よりも悲惨な戦線とかたっている。(*読売新聞12月9日夕刊)日本軍2万全滅に対し米軍死傷者29000人弱。しかし死者は7000人弱。米軍は負傷兵を手当できたが、物資不足の日本の負傷者は手当を受けられず苦しんで死んだらしい。(*竹村健一著「ここが日本の急所」)  この映画の冒頭部は「プライベートライアン」の冒頭部を思い出させる。ノルマンディ上陸作戦の壮絶な戦闘シーンはすごかった。イーストウッド監督もそれを意識していると思われる。真似をしていると思われないためのひつこくない描写は好印象。   この映画は島の頂上に星条旗を立てたことが米国を勝利に導いたとのことでその写真に写っている兵士たちは英雄になる。だが真実は別にあり英雄視される兵たちは苦悩する。ここに戦争の本質のひとつが隠されている。彼らは本当の英雄は戦死した戦友だと主張するのだが。さらに米国の抱える人種差別。英雄視されながらも差別される現実がある。黒人などは交通違反で切符を切られる際にも差別されるそうな。この辺は現場警察官の心ひとつだ。

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