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2008.11.12
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確かに、(イギリスの)教職員は「成果」をあげるために必死になっている。しかし、色々な工夫をしながら「楽しく充実した授業を構想し、組み立てていく」という実践は「追いまくられる状況」の中で後退しているように見える。

 私が前回記事で書いた最後のコメントですが、実際、『競争しても学力行き止まり』の中には次のような記述があります。

 「時間、時間、時間、これが私の主要な問題なのだ。些末なことや書類作りが子どもたちと過ごす時間も、子どもたちのために準備する時間もなくしている」とトニー・ブレアの選挙演説をもじってある教師が述べる(・・・)。

 中学・高校教師を対象にしたケンブリッジ大学の調査(2004年調査)によると、教師が日々の授業をじっくり反省する時間はなく、子どもたちの様子を専門的な知見から観察したり分析したりする時間もなく、同僚たちと話し合ったり教育方法を同僚から学ぶ時間もない。(29頁)

 それでは、生徒はどうなのでしょうか。教師や親への調査結果も掲載されています。

 7歳の「全国学力テスト」で、子どもたちにストレスが一般化していることは疑いないと60%の教師が答えている。また、20%の教師は、ストレスの程度は「きわめて高い」と信じている。(47頁)

 世論調査「ユーゴフ(YouGov)」は、2003年時点で200人の親を対象に調査した。
まず、「全国学力テスト」を受ける前になると、11歳児の70%がストレスの兆候を示したという。11歳児の25%は自信をなくし、20%は復習で忙しく友達と遊ぶ時間がないのだという。調査によると7歳児の10%は「全国学力テスト」のことで悩み、涙もろく不眠症になっている。また、11歳児の12%は、登校せず受験しなかった。(48頁)

 学校間競争を背景に「教職員も必死になっている状況」はあるのですが、子どもたちのために“授業をじっくり反省する時間”も“子どもたちの様子を観察する時間”も”教育方法を同僚から学ぶ時間”もないという状況の中で、子どもたちの「学力」が中学2年段階で頭打ちになってしまうだけでなく、少なくない子どもたちに大きなストレスを与えているようです。

 確かに、このような子どもたちのストレスは(イギリスだけでなく)日本でも見られます。多かれ少なかれ「学力競争」や「受験競争」に必然のものなのかもしれません。しかし、イギリスにおいて「教育改革」の前と後とで大きく状況が変化したことだけは疑いありません。大切なのは、この「教育改革」の結果から何を学ぶかということでしょう。

 さて、「教育改革」の時代にはイギリスにおいても「低学力批判」がなされました。この点も日本と状況がよく似ています。確かに以前のイギリスにおいてTIMSS(『国際数学・理科教育動向調査』)の結果は(中学校2年段階では現在も)国際的に高いものではありませんでした。

 日本の中学生570~580点に対してイギリスは490点台です。ところが、成人の「科学的リテラシー(実践的応用力)」の国際比較を見ると驚くべき結果が出ているのです。
イギリス成人
  『競争しても学力行き止まり』(196頁)
 〔OECD加盟国14カ国に対して実施した、科学技術の理解度に関する調査結果〕

 まず目につくのは、日本の「成人の科学的リテラシー」の驚くほどの低さです。小中学生の「学力」が国際的に高いにもかかわらず、何という結果でしょう。日本における“競争”によって得られた“高学力”が本当に人生を豊かにする学力となってきたのか、その時のテストや受験に対応するだけの“身にならない力”だったのではないか、私たちは深刻に問う必要があるのではないでしょうか。

〔ちなみに、池上彰氏は日本における「子どもの学力低下」批判について「統計データをまともに読み取れなかった大人の学力低下のほうがよほど心配である」と述べていますが、皮肉ではすまない惨憺たる実態が調査結果にも現れているのです。〕

 ここで著者は言及していませんが、私はイギリスの「成人の高学力」に注目せずにいられませんでした。「成人」を対象とする1996年の調査ですから、この数値はイギリスで「教育改革」が行われる以前の「学校教育の成果」が現れている、と見るべきでしょう。その意味では、サッチャー政権を中心とする「低学力批判」は的外れだった と言わなければなりません。

 そして、「1988年改革」が行われる以前のイギリスの教育を検討してみると「学力世界一」のフィンランドの教育内容に極めて近いものだったのです。(「成人」に関しては全く妥当でない)「低学力批判」を展開しつつ強引に「改革」を進めることによって、イギリスは「それ以前の素晴らしい教育」を大きく後退させて行ったのではないのか?
 私たちは、この点についても事実を検証しつつ学ぶ必要があると思われます。

(5に続く)

 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページ​に
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TBありがとうございます   kurazoh さん
学力の向上・低下要因は非常にバリエーションに富んでいるので、学力テストとの関係も非常に動態的に捉える必要がありますよね。
私も本書をはじめいろいろな本を読みましたが、すべて「答えありき」でその説明に都合のよい話を寄せ集めただけという印象が強く残っています。
対談やディベートでも、平行線で議論が終わるというパターン。
教育問題は本当に扱いが難しいですね。 (2008.11.12 22:13:18)

Re:競争しても学力行き止まり 4  -イギリス教育の失敗とフィンランドの成功-(11/12)   Mr. Hot Cake さん
またまたおじゃまします。

前回のコメントでしょうさんがおっしゃっていた“人生を豊かにする学力とは何か”、これが教育の本当の指針でなければならないと私も思うのです。

サッチャー改革の前のイギリスでは、教育の目的は「社会に参加できる自立人を育てる」であり、多くの学校では先生一人に生徒14~15人であったと聞いています。そして授業は机を対面させた対話形式がほとんどであり、国からの干渉がほとんどなく教師の裁量権がとても大きかったと。

日本の場合には、明治時代に作られた教育制度,教育形態の原形が戦後になって思想性を転換しただけで、形態は変わっていません。

フィンランをはじめとする北欧諸国が経済危機に直面して国家の生き残りを賭け、子どものリテラシーを育てる方向に大転換し、教育予算を大幅に増額したのとは大違いですね。

“人生を豊かにする学力とは何か”が明らかになっていくのを、わくわくしながら拝見しています。

(2008.11.13 15:31:02)

日本の教育を考える10人委員会   kurazoh さん
2004年度から活動している委員会が今年の夏に実施したアンケート結果が発表されました。
メンバーを見れば一目瞭然ですし、質問項目を読むとよりよく分かる「誘導型」のアンケートです。
私は結論ありきのこのようなタイプの主張、自説に有利なデータを導く質問項目、そして操作されたデータに基づく主張には賛同しかねる部分があります。
日本で最も大きな問題だと私が思うのは、そういうデータをさらに乱暴に切り取って垂れ流すマスコミです。
そういう意味で、しょうさんには、ぜひとも学究的な分析を今後ともお願いしたいと思っています。 (2008.11.13 19:55:20)

Re:TBありがとうございます(11/12)   shchan_3 さん
kurazohさん

>私も本書をはじめいろいろな本を読みましたが、すべて「答えありき」でその説明に都合のよい話を寄せ集めただけという印象が強く残っています。

 kurazohさんは「イギリスの教育改革」を肯定的に見る立場ですか。私は「10人委員会」のアンケートについては存じませんが、イギリスの教育改革について検証した複数の文献の中で、あなたの主張にとって「都合が悪いデータや証言」にもしっかり目を開いていくことが大切ではないでしょうか。

 逆に、私にとっては逆の情報に目を向けることが必要となるでしょうが、イギリスの教育を包括的に検証した文献で「教育改革を積極的に評価」したものをご存知でしたら(なるべく新しいものがよいですが)ご紹介いただければ幸いです。

>対談やディベートでも、平行線で議論が終わるというパターン。

 教育改革の結果は具体的にあらわれてきますので、「推進する立場に立つ」場合においても「弊害をいかに乗越えるか」を具体的な方策・展望として示していく必要があるでしょう。「平行線」の繰り返しで割を食うのは子どもたちです。

 10月15日のイギリス各紙(「タイム」など)によると、政府の教育担当相が「14歳テストの廃止」を発表したようです。「改革の修正」の背景にはいったい何があったのか、これも検証が必要だと思います。

(2008.11.13 21:50:40)

Re[1]:競争しても学力行き止まり 4  -イギリス教育の失敗とフィンランドの成功-(11/12)   shchan_3 さん
Mr. Hot Cakeさん

>サッチャー改革の前のイギリスでは、教育の目的は「社会に参加できる自立人を育てる」であり・・・

 サッチャー以前のイギリスの教育のあり方や背景にあった思想にはぜひ触れたいと考えています。確かにフィンランドの教育と多くの共通部分があり、「教育の目的」を根本的に考える材料が見えてくるように思います。

>“人生を豊かにする学力とは何か”が明らかになっていくのを、わくわくしながら拝見しています。

 ご期待に沿えるかどうかわかりませんが、微力を尽くしていきます。ある意味で日本のよさを活かしつつ「学校の力」や「地域の力」を高めていく展望にも関連して触れたいと考えています。 (2008.11.13 22:16:50)

改革の成果・弊害の測定の困難さ   kurazoh さん
教育改革に批判的な立場の人は、教育改革をしたからこうなった、というようにデータを使います。
しかし、改革前と後で何かが変わったというとき、それが改革の中身によるものなのかどうかを厳密に検証し論証することは不可能に近いでしょう。
教育政策とは別に、外国人の人口の増加、教師の高齢化、子どもをもつ家庭の所得水準の変化、そのときそのときの社会情勢など、ありとあらゆる要素が複雑にからみあって現在があるとすれば、同じような条件の国を探した国際比較などが有効になるのかもしれませんね。東京23区より人口が少ないフィンランドとの比較は案外難しいでしょう。
あと、新しい教育改革の趣旨に基づいた実践が現場で本当に実施されているのかどうかも怪しいところがあります。ちょっと前まで、学習指導要領準拠の授業というより、業者テスト準拠の授業といった方がピッタリくる授業が行われていました。 (2008.11.15 00:49:08)

>改革の成果・弊害の測定の困難さ    Psyche さん
>教育政策とは別に、外国人の人口の増加、教師の高齢化、子どもをもつ家庭の所得水準の変化、そのときそのときの社会情勢など、ありとあらゆる要素が複雑にからみあって現在がある…(以下略 kurazoh)

低学力の言い訳として「地域の所得差」などを持ち出し
教育政策の内容から焦点をズラす主張を目にしたことがあります。
確かに言いたいことは十分に理解できる内容なのですが……。
教育は実験として条件統制がしにくいため
因果関係にまで辿り着くのは困難であると思います。
だからこそ、さまざまな可能性を検証するのは
非常に重要であると言えるでしょう。

なお、以前いただいたコメントについては
時間のあるときにお返事させていただきますので
もう少しお待ちください。 (2008.11.15 04:24:18)

Re:改革の成果・弊害の測定の困難さ(11/12)   shchan_3 さん
kurazohさん、Psycheさん

>改革前と後で何かが変わったというとき、それが改革の中身によるものなのかどうかを厳密に検証し論証することは不可能に近いでしょう。

 それはそうだと思いますが、例えば「イギリスにおける統合教育の後退」や「多くの生徒が管理職のいない学校で学んでいる状況」と「教育改革」(全国統一学力テストの実施と学校別結果の公表)とが関連している可能性は高い、と考えています。

 厳密な論証が不可能であるしても、「イギリスをひとつのモデルとして実施されている日本の学力テスト」が似通った問題を生み出す可能性はある、と考えるべきでしょう。

 問題が発生した後で「想定外だった」ということではすまないこともあります。「推進する立場をとる」にしても、弊害の可能性をしっかりと踏まえ、それを回避する(あるいは乗り越える)展望を示していくことは大切であると思います。

 また、データについてですが、例えば私の11月8日の記事は「TIMSS(『国際数学・理科教育動向調査』)で見るかぎり、小学4年生の学力は伸びているが中学2年生についてはイギリス政府の期待した結果になっていない、」という形で「限定つきの理解」をしていけばいいのではないでしょうか。 (2008.11.15 12:15:10)

1つの資料ですが   Mr. Hot Cake さん
しょうさんの本シリーズの記事に注目なさっている読者はたくさんいらっしゃると思います。
ほとんどの方は本書の内容にとどまらず、この話題についての資料や予備知識をお持ちではないでしょう。
比較的、第三者の立場に立っていると思われる新聞報道特集で、低学力に悩む沖縄の現状から、沖縄とイギリス,スコットランド、フィンランドの教育を取材し特集記事を組んだものに、沖縄タイムスの「学力ってなに」があります。

「地域の所得差」が教育政策に関係あるや無しやなども、検証の1つの対象になっています。想像だけでモノをいう怖さがわかる一例でしょう。

しょうさんの記事に注目されている方々のためにその沖縄タイムスの特集記事のURLをご紹介しておきます。ご覧になりたい方はどうぞ。

http://www.okinawatimes.co.jp/spe/gakuryokuttenani/?PSID=004d6c3febe20a1df33b4c35f12aafc9

しょうさん、出過ぎたことを失礼しました。

(2008.11.15 14:34:24)

Re:1つの資料ですが(11/12)   shchan_3 さん
Mr. Hot Cakeさん

>比較的、第三者の立場に立っていると思われる新聞報道特集で、低学力に悩む沖縄の現状から、沖縄とイギリス,スコットランド、フィンランドの教育を取材し特集記事を組んだものに、沖縄タイムスの「学力ってなに」があります。(・・・)

>しょうさん、出過ぎたことを失礼しました。

 このような資料の提供は大歓迎です。切実な現状から出発して「教育の本質」に迫っていく特集であるようにお見受けしました。

 また、地元の個人や新聞社が「地域の教育をともに考え創っていく」という視点に立っていることも注目に値すると思います。

 ほんの少ししか読めていませんが、「こんな例を紹介したかった」という実例になるような記事もあると思います。本当にありがとうございました! (2008.11.16 00:23:34)


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