“しょう”のブログ

2019/03/30(土)13:21

驚きのフィンランド教育 4 -格差をなくせば学力は伸びる-

フィンランドの教育(11)

前回、フィンランドの教育の特徴として「思考過程を大切にする授業」、「待つ授業」を取り上げ、それを可能にしている条件は「ほぼすべての権限を現場に降ろす」という意味における教育の分権化(民主化)であることに触れました。    なるほど、じっくり待つ授業を展開することによって「できない子がやる気をなくす」事態はかなり防げそうです。それが許されるなら、じっくりと子どもたちの思考過程を大切にする授業を展開したい、と考える教員は(日本にも)少なくないと思います。  しかし、「テストもしないで充分やる気を引き出せる」と自信を持って断言できる教員は少ないかもしれません。フィンランドではどのようにして子どもたちのやる気を引き出すのでしょうか。  「フィンランドの教育は、テストのためにとは言わないで、自分のために学びなさいと言う。では、どう自分のためになるのか。そこを先生が意識的に語りかけていく。」(『格差をなくせば子どもの学力は伸びる』 驚きのフィンランド教育 181頁)  例えば、同書で紹介されている授業に「手や足を使って測定する」というものがあります。 (『格差をなくせば子どもの学力は伸びる』 驚きのフィンランド教育 182頁)  両手を伸ばして「一ひろ」を測ったり、歩いて「歩幅」を測ったり、足の裏を出して「脚のサイズ」を測ったり。(・・・)先生が言うには、「体の大きさを知っておけば、外国に行ってもだいたいの大きさがわかるのよ。お店に行っても、メジャーがなくても商品を測ることができるでしょ」と。  単純なことですがなるほど、と思いました。フィンランドの子どもたちが「実践的応用力」に優れているというのも、可能なかぎり「具体的な生活や経験」と結びつけるような仕方で授業や学習が行われているからなのでしょう。  確かに、もともと数学というものは「畑にまく種をどれくらい準備したらよいのか」という生活の必要から「面積を求めて種の量を考える」とか、「城壁を築くためにどれだけの煉瓦が必要なのか」という問題に対して「体積を求めて煉瓦の量を考える」といった形で、具体的な生活や、必要に迫られている建築などと結びつきながら考案され発展していったものなのでしょう。    そのような「学問の原点」に立ち返りつつ、「具体的な生活や経験と結びついていく学習」を授業の中で創っていくことが大切なのではないでしょうか。  「フィンランドでは(・・・)自分のために学びなさいと言う。では、どう自分のためになるのか。そこを先生が意識的に語りかけていく」ということでした。そして、様々な工夫によって「自分のため」と実感できるような学びを創造していくことが、フィンランド教育が成功した大きなポイントであるように思われます。    比較すれば、はるかに「中央集権的な教育行政」が行われている日本であっても、可能な形で現場の教職員が発想を転換していくことが大切なのではないでしょうか。 (もちろん、他国にも刺激を受けつつ制度をよりよいものへと改善していくことは必要なのです。そのことについてももう少し述べたいと考えています。) 5に続く  教育問題に関する特集も含めて​HPしょうのページ​に (yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)     ↑ よろしければ投票していただけますか (一日でワンクリックが有効です)

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