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カテゴリ:環境問題『不都合な真実』について
海面急上昇、100年以内の可能性「非常に高い」 メキシコ研究
去る4月16日、以下のような記事がネット上に公開されました。 【4月16日 AFP】約12万年前の前回の間氷河期の際、氷床の崩壊が原因で、わずか数十年間で海面が3メートル程度上昇したとする研究結果が、16日発売の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。 研究を主導したメキシコ国立大学の地球科学者、ポール・ブランチョン氏は、今回の発見により、同じ間氷河期にあたる現在においても「今後100年以内に世界規模で海岸が浸食される、人類にとって大悲劇が起きる可能性が十分にある」と指摘する。(・・・中略・・・) これまで、前回の間氷河期における海面上昇は「数千年の間に非常にゆっくりと」起きたと考えられてきたが、ブランチョン氏とドイツ・ライプニッツ海洋科学研究所(Leibniz Institute of Marine Science)の科学者らは、海面上昇の「急激な」上昇を示す新たな証拠となるサンゴの遺がいを、メキシコ・ユカタン(Yucatan)半島で偶然発見した。 ユカタン半島は、過去数十万年の間に地震活動が見られなかった数少ない地域の1つであるため、サンゴの遺がいから前回の間氷河期における海面変動幅を精密に測定できた。 ブランチョン氏らは(・・・)海面の劇的な変動が12万1000年前に起こったとの結論に至った。またその際には、わずか50年間で3メートル上昇したとの数字もはじき出した。間氷河期における海面の急激な変動を示した初めての証拠だという。 〔コメント〕 「やはりそうか」、と思いました。 アル・ゴア主演の「不都合な真実」(温暖化による大規模な海面上昇の可能性を指摘した)に関して、彼をペテン師扱いするような言説が、特にノーベル賞の受賞が決まった直後あたりからネット上を飛び交いましたが、私はその雰囲気に不健全なものを強く感じました。 例えば「不都合な真実に科学的誤りが9つあった」と報道されれば、批判的な検証を抜きにして判決内容を真実だと鵜呑みにしてしまうムードは危険だと・・・。 私自身、書籍版も含めて「不都合な真実」を検討した結果、ゴア氏可能性を指摘するような、「グリーンランド氷床の大規模な崩壊と流出」に関しては「非科学的だ」と断定できるようなものではなく「起こりうる現象だ」、と考えました。2007年11月「しょうのページ」にも見解をアップしています。 このたびの英科学誌「ネイチャー(Nature)」の記事では、過去において「わずか50年間で3メートルの海面上昇が実際に起こったこと」が明らかになりました。(もちろん、原因は「人為的な理由による温暖化」ではありませんが・・・)。 その時の気温上昇についてIPCC第4次報告は次のように述べています。「氷床コアのデータによれば、その期間における極域の平均気温は、地球の公転軌道の違いにより現在より3~5℃高かったことが示されている」と。 (この温度上昇幅はたまたまですが「温暖化対策が不成功に終わった時の2100年の気温予測」と似かよった値ですね)。 私が「ネイチャー(Nature)」の上記記事に関連して述べたいことは、「さまざまな危険性の指摘について『ばかげている』と断定するのではなく、『予防原則』の立場から最善の対応をとるべきだ」、という点です。 私たちは、過去の「公害問題」に際しても苦い教訓を得たはずです。確かに、起こりつつある問題点(例えば健康破壊〔環境破壊〕や異常気象など)に関して原因を特定し、因果関係を科学的に証明することは簡単なことではありません。 まして、未来予測に関わることを含めていけば、確実なことはなかなかいえないのです。 しかしながら、後になって「問題点や原因が明確になる」ことは、しばしば起こります。このたび、12万1000年前の気温上昇に伴って「50年間で劇的な海面上昇(3m)」が起こったという事実が、(「不都合な真実」上映の数年後に)明らかになりました。 この事実から「警告を非科学的だと冷笑する」のではなく、「予防原則」の立場に立って最善の対応をすべきだ、という教訓を引き出すことが大切ではないでしょうか。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに (yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか (一日でワンクリックが有効です) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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いつも思いますが、
たとえばAさんの息子が喘息に苦しんでいるとします。 「喘息の主たる原因は、工場の煙であって、タバコではない」 という理屈が正しいかどうかはともかく、 そういう子の前で平気でタバコを吸うような奴に親の資格はない。 (2009.05.12 19:18:51)
goldberg2006さん
コメントありがとうございました。 >「喘息の主たる原因は、工場の煙であって、タバコではない」 >という理屈が正しいかどうかはともかく、 >そういう子の前で平気でタバコを吸うような奴に親の資格はない。 そうですよね。何らかの問題が起こっている(起こりつつある)場合、事態を悪化させないために考えうる最善の対策を打つことこそが大切なわけです。 「タバコの影響があるかどうか疑わしい」などと言って吸い続けるようでは話になりません。いわゆる「懐疑論者」の言説の中には、その類のものがかなりあるように思われますね。 (2009.05.12 23:00:20) |