本日、鳥取県PTA研究大会がおこなわれましたが、私も子どもの通う小学校のPTA会員(役員)として参加しました。
1、講演:「体と脳の発達を基礎にたくましく心豊かな子に育てる」
そのあと
2、「基本的生活習慣の定着等による学力向上促進事業」の実践報告
というプログラムだったので、講演内容も「学力向上促進」に関わる内容かな、と予想していたのですが、思ったより大きな問題提起でした。
以下に講演の内容を整理してみます。
〔現状認識〕
近年、わが国では体と心が危機的状況にある小中学生の増加が続いている。
体の面では力強さ、粘り強さ、しなやかさなど「生きていく」基盤となる体力が1885年以降低下を続けてきた。(・・・)
心の面では思考、判断、意欲、情動など「よりよく生きていく」基盤となる豊かな心がバブル崩壊以後、年ごとに低下を続けてきた。
〔問いかけ〕
このような体と心に深刻な問題を抱えている小中学生が、たくましく豊かな心を取り戻すために、家庭と学校及び地域社会は何をすべきか、そして豊かな心の中核となる「感性」と「情操」はどのようにして育つのか。
上記の問いかけに対する「(大脳と神経の研究を積み上げてきた)講師の回答」は次の通りです。
前頭連合野および間脳(視床下部とその周辺)がしっかり発達していれば、意欲や感性・情操が豊かに育つ。その部分は(狭義の)「勉強」以上に大切にしなければならない。
体の力強さ、粘り強さ、しなやかさを得るためには全身運動が大切。そして、自然の中、河原や山で遊ぶような体験を積めば(例えば野いちごを探してできるだけたくさん採ってくる、といった体験を通して)考える力も感性も育つ。感覚器官の感受性を育てていくには自然の中での集団遊びが一番だと思われる。
講師は、自らがスウェーデンへの「出張」で知ったこと(親子一緒に2ヶ月以上の「夏休み」をとって自然の中〔保養地〕で暮らすことが親子のつながりを濃密にし、自然の中で豊かな感性をはぐくむ)も引き合いに出しながら、日本の現状に強い危機感を抱いている、ということを訴えました。
なかなか展望が見えないまま重た~い雰囲気で閉会しそうになったので思わず挙手・発言をしてしまいました。その趣旨は次の通りです。
県が推進している「勉強がんばろうキャンペーン」はあまりに短絡的だ(「心と体 いきいきキャンペーン」はいいとしても)と感じていましたが、今日の講演を聴いてあらためて「勉強がんばろうキャンペーン」よりも「一緒に遊ぼうキャンペーン」の方が大切だと思いました。
確かに「狭義の学力」以前に「人としての基礎力」である思考・感性・情操・体力を育てていくためには自然とのふれあいや仲間同士の遊びの体験が必要だと思います。現実にそれが不足しているために起こる問題も多いのですが、決して悲観的な状況ばかりではありません。
例えば、全国に「親父の会」が数多く(数千といわれる)生まれ、「自然とのふれあいや遊び」の体験教室を実施する動きが(NPOの活動も含めて)広がっています。私も午前中は「町内の餅つき」をしてきましたが、子どもと大人が一緒になって餅をついたり丸めたり、そういった行事が本当に大切であることを、あらためて感じました。
せっかくのこの会が「重たい雰囲気」で終わることは、本意ではありません。今ある積極的な動きにもしっかりと目を向けて「足元から」できることをやっていきましょうよ。
私の発言に対して講師も「人間の持つ保育と教育の可能性」に言及され、会場も好意的な雰囲気でした。
確かに厳しい現状も目につくのですが、例えば今静かに広がりつつある「学びの共同体の実践」も含めて「人としての基礎力」につながっていくような実践は決して少なくはありません。
PTAの集まりでもそれらを共有しながら「薄っぺらな学力論議」を超えていくことが大切ではないか、と考えるのです。
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