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カテゴリ:国家と文明(市場原理主義と社会主義)
4、「発展段階論」批判 『国家と文明』 内容8 の続きです。豊富な内容をQ&A方式でなるべく簡潔にまとめたいと思います。 Q (史的唯物論の)発展段階論とは? A 「人間社会は生産力の発展水準に応じて 1、原始共同体 2、奴隷制 3、封建制 4、資本主義 5、社会主義 という段階を経て発展していく」という仮説。 Q それぞれの社会の具体例は? 1、原始共同体・・・熱帯アフリカのマサイ人など、現在も自然の中で生活する部族の社会 〔原始共産制〕 縄文・弥生時代における村社会-生産物などを平等に分配する共同体社会(の生産様式) 2、奴隷制・・・古代ギリシア、ローマの社会(奴隷労働で支えられる市民社会) 3、封建制・・・中世ヨーロッパの社会(農奴の労働で支えられる自給自足の共同体社会) 4、資本主義・・・近現代の西ヨーロッパの社会(賃金労働者の生産労働で支えられる市民社会) Q このような「発展段階論」の問題点は? A ヨーロッパ中心の単線的な「進歩的歴史観」が図式化されてしまった Q どのように再構成していくか? A 「奴隷制」を基盤とする古典古代社会(ギリシア・ローマなど)の成立は、世界史の全体からすると、ごく例外的な出来事であることを認める ⇒ 「原始共同体」の次の段階として世界各地に成立した古代専制国家とそれを支える生産様式(マルクスの言うアジア的生産様式)をはっきりと確立しておく。 Q 古代専制国家の具体例は? A エジプト、メソポタミア、中国などの大帝国およびその周辺(朝鮮、日本、タイなど)の諸王国、インカ、アステカなどの中南米諸帝国・・・ 〔神聖化された王の強大な権力によって支配される帝国〕 Q どのような事情によって古代専制国家が成立したのか? A 精神労働と肉体労働の分業によって、公共的な役割を特定個人(帝王)が独占したため Q 公共的役割(帝王が担う精神労働)の例は? A 農耕発展のための治水・かんがいの指揮、異民族の侵入に対する防衛や征服のための軍事的指導、貿易・交通のための道路・水路の確保、 共同体繁栄のための「公的呪術」(=「国家宗教」に関わる祭祀) 特に「治水・かんがいの必要⇒エジプト、メソポタミア、インド、中国の大帝国」 Q アジア的生産様式または「全般的隷従制」とは? 古代専制国家を支える生産様式(経済の仕組み)。奴隷階級がほとんどの生産労働を行う「奴隷制」とは異なり、「大部分の民衆が全体として帝王(又は国家)に隷従し、労働収奪を受けるような生産様式」 (巨大なピラミッド、古墳の築造などを想起されたい) 共同体原理で国家が形成されており、私的所有が未成熟であることがその特徴 (例えば、唐王朝や日本の律令国家における「公地公民」の原則) Q ヨーロッパ中心の「進歩的歴史観」はどう修正されるのか?(おおまかに) A 世界史の全体からすると、西欧で成立した「ギリシア・ローマの奴隷制」や中世の「農奴制、封建制」は、ある特殊な条件のもとに、(古代専制国家の)全般的隷従制から派生・発展した例外的な生産様式である、という位置づけになる。 「共同体原理の支配、私的所有の未成熟」、これは地球上の大部分で成立した古代国家の特徴であるが、地球上のある特定の地域(ヨーロッパ)できわめて例外的に「私的所有原理が共同体原理を圧倒して支配的な地位を占めるにいたった」 ⇒奴隷制(古典古代社会)、農奴制(中世封建社会)の成立
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