九州電力の「やらせメール」が問題になっています。(社長は「自ら指示をしてはいない」と証言していますが…)。そもそもこのイベント自体、経済産業省と電力会社とが長年の結びつきを背景に「再稼動という結論ありき」を前提に催したものではないか、思えてきます。
そういえば、小泉政権時代に打ち出された「タウンミーティング」でも「やらせ質問」が問題になりました。
民主的な手続きを装った「やらせ」にあきれ果て、うんざりする人は多いと思いますが、6月12日に開かれた「自然エネルギーに関わる総理・有識者オープン懇談会」は注目すべき動きだと感じました。
「懇談会」の現場はインターネットで中継、だれでも視聴できるだけでなく、ツイッターで多くの人たちが質問や意見を出し、会議に参加できるという取り組みでした。
NHKなどで行われる「討論会」とは異なる市民団体主催の会。現職総理に直接意思表示しつつ公論を形成できる「直接民主主義」、「参加民主主義」の新しい姿を垣間見せてくれる画期的な試みだったと思います。
動画で見るのがいちばんいいと思いますが、2時間に及ぶ懇談会なので、発言内容(概要:とりあえず前半部分)を以下に書き起こしておきましょう。
菅総理
「色々な意見を菅に聞かせてやろう」ということでお集まりいただき、というよりも押しかけていただき、感謝。「エネルギー基本計画を白紙から見直す」ということを、実行に移して行きたい。
枝廣淳子
永田町と3.11以降の国民の意識は大きくずれている
国民の意見は、「原発は減らす、自然エネルギーを増やしていく」ということ
自然エネルギーへのシフトは必須
日本もオイルショックの時にエネルギー構造を転換した(構造転換は可能)
世界の電源で自然エネルギーの占める割合は26%。2008年代に新規につくられた発電施設は自然エネルギーが半分。自然エネルギーはすごい勢いで拡大しつつある。
ところが日本のシェアはいまどんどん下がっている。
風力発電だけでも全量買取制度が実施されれば、原発40基分の発電が可能だ。
Q コストは?
原発と自然エネルギーのコストは遠からず交差する(既に交差している国もある)
例)デンマークの風車 地域の活性化につながっている
〈日本において大切なこと〉
再生エネルギー促進法(「全量買取制度」)を実現すること
国民の議論が反映される政治を実現すること。
そのための「オープンな議論の第一回」と位置づけたい
岡田元日本代表監督
インド・中国(人口30億)がどんどん経済成長している中、このままでいいのか?
私は富良野で倉本聡さんとともに自然塾のインストラクターをやっている
地球儀の大きさで考えると大気の厚さは1ミリ以下
その中で循環させていかせることが必要
化石燃料もウランも全部なくなる。 循環するエネルギーを!
2050年までに再生可能エネルギーを50%に、子どもたちに未来を・・・
菅首相も、「誰がやろうと、必要なことは実現する! 日本の将来のためにつながるものをつくるんだ!」という気持ちでがんばっていただきたい。
小林武史
国民の一人として
これから、今までの消費型社会と違う「循環型の社会」へ、「持続可能な社会」へ
自由競争が「争い」を生み出してきた面、この悪い循環から抜け出すこと。
命を預かって、「小さなつながり、循環の中でコントロールしていくこと」、「本当の豊かさを創り出して行くこと」、「自然エネルギー中心の社会をつくっていくこと」が大切。
そのためにも国の方針として「全量買取制度」を実現して、自然エネルギーをわれわれが使えるような道筋をつけてほしい。
坂本龍一(ビデオメッセージ)
原子力発電所の稼動 「パンドラの箱を開けた」ものだと思う。
原子力エネルギーに依拠するのではなく、別の道を!
技術はそろっているわけだから、できるはず
廣島、長崎、福島! 日本人は被曝してきた。脱核エネルギーを!
田中正三の言葉「真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村をやぶらず、人を殺さざるべし」。 「福島の子どもたちを助けてください」
孫正義
原発事故の収束 何にも優先してすすめてほしい
福島に行って放射線量を計測したところ、「あまりに恐ろしい数字」が出た。しかし、すぐそばで遊んでいる子どもたち、幼稚園の教員に言えなかった。
復旧もさることながら、子どもたちを守ることを最優先にしてほしい。年間被ばく線量20ミリシーベルトまで容認するということはとんでもない。
現実問題として「原発依存度」は下げざるを得ない。(推進・再稼動を求める人もいるが、もう一回起こったとしたら議論の余地はないだろう)。推進派も「安全運転」を言っている。依存度は下げざるを得ない。
3.11以降、これからのエネルギー(全く本業でない問題)をどうしていくか悩んできたが、自然エネルギーを日本で広めていくべきじゃないか、とにかくモデルケースをつくってみよう、と思うようになった。体験した上でいけるようであれば、「もっと早く、もっとたくさん」と、(失敗しても)そのような体験を通して強く言えるはず。
「自然エネルギー協議会」を創ったところ、賛同自治体が33県にもなった。7月13日、第一回の正式な会合を行う準備をしている。
太陽光(色々な問題はあるが)電力のピークは昼間。太陽光が使えるじゃないか。特に太平洋岸。
風力 日本にも風を利用できる結構いい場所ががたくさんある
地熱 東北も含めて結構いいところがある。国定公園が多いが。国がその気になってどんどん進めればいいのではないか。地熱なら、夜昼を問わず動かすことができる。
従来型の大規模な発電に代わって分散型の自然エネルギーを推進していけるのでは?
太陽光に関する諸外国の買取制度(全量買取制度)の導入の実態(資料提示)
ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、EU平均(世界で50カ国以上が導入)
このような提案をすると、私のことを「政商」という人もいるが、天下りはひとりも受け入れたことはない。
開かれた制度が大切。制度として欧米のように民間企業(志ある人が)参入できるようにしていくことが必要ではないか。
全量買取制度を取り入れたEU諸国では、自然エネルギーがこの10年間で見る見る普及し、菅総理のいう二酸化炭素削減目標を既にクリヤしつつある。
ヨーロッパでできたことがなぜできないんだ。できないと大合唱する人はちょっとおかしいんじゃないか。まして、原発事故を起こした日本が目覚めなければ誰がやるんだ、ということを私は言いたい。
今を見て難しいと嘆くよりも先を見て可能にしていこう。
化石・ウランはコストが上がる一方だ。自然エネルギーはどんどん下がっている。
この十年で石炭4.4倍。石油3.6倍。天然ガス2.2倍 中国・インドが今以上に化石燃料を大量に消費する。必然的に化石燃料の価格は急上昇する。
発電施設を新しくつくるとなれば、40年、50年先を見ていかなければならない。今現在の目先の問題よりも数十年後の子どもたちにどういう責任を担うのか、という観点からコストについても総合的に考えることが大切だ。大人のエゴで、目先の損得勘定で本質を見誤ってはならない。
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