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カテゴリ:湯浅 誠
週刊金曜日(参議院選挙直前の7月12日発行)に、同誌編集部による湯浅誠へのインタビューが掲載されていました。 参議院選挙の結果はすでに見えていたわけですが、選挙後を見据えて自分(自分たち)がなすべきこと(したいこと)について、冷静に述べていたことが印象的でした。 要約・紹介します。 〔要約〕 1、参院選挙後、与党は 「聖域としない」社会保障費の削減を、もっと鮮明に打ち出してくるだろう。これは、基本的には、小泉・竹中時代と同じ路線だ。 2、具体的な数字を示すこと。 〔「人への投資」こそが長い目で見れば、「リターン」が大きいことをデータ的に示すこと。〕 (若い人たちも)経済成長で自分の問題が解決するとは思えない。むしろ、自分の問題を解決する「人への投資」が成長を生むんだと、発想を転換させる必要がある。 〔要約・紹介は以上〕 さて、「人への投資」を考える場合、私はフィンランドの教育政策を思い出します。 以下は、フィンランドの教育に関する過去記事の一部抜粋です。 最大の貿易相手国であったソ連の崩壊も背景に失業率18%。不況は教育環境も脅かした。親が失業し、家庭が経済的に困窮する中、家庭内暴力や薬物依存などの問題が噴出したのだ。 不況で税収が落ち込んだ政府はあらゆる予算の削減を迫られたが、教育も例外ではなかった。しかし、この時、教育大臣に任命された29歳のオリペッカ・ヘイノネンは予算削減に逆行する大胆な政策(高校生への支援策)を打ち出した。 (・・・) ヘイノネン教育大臣は、子どもが学ぶ機会を奪われ仕事にもつけない場合に国が将来負担することになるコストの試算を財務省に提出。 仕事につけない場合 国の負担 96万円(年間一人当たり) 生涯で2230万円 仕事についた場合 税 収 76万円(年間一人当たり) 生涯で1770万円 経済界からの要請 衰退した造船業などに代わる新しい産業(ITなどの分野で)将来を担う人材を育成してほしいと政府に求めた。 財務省は議論の末、ヘイノネン教育大臣の主張に歩みよった。 教育大臣 「平等と経済の活力は相反するものではなく、教育機会の平等があってこそ活力ある社会が生まれる。」 「教育の主な目的は、若者が社会から脱落していくのを防ぐことであり、一人ひとりが社会に参加しその可能性が最大限発揮できるようにしていくことだ」(・・・) 〔コメント〕 フィンランドといえば、高福祉・高負担の国として特別視してしまいがちですが、ここから何が汲み取れるのか。 大変な経済危機の中で、教育支援に巨額の予算をつぎ込んでいった「フィンランドの決断」、それが「具体的な数字を示しながら『人への投資』を増やしていく政策」の優れた具体例であることは明らかではないでしょうか。 〔 「しょう」のブログ(2) 〕もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.03.09 13:00:04
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