この問題について塩崎春彦さんが述べていることを簡単に紹介しておきます。
南北首脳会談の目的は、南北の統一にある。(そもそも大日本帝国による植民地支配がなければ南北朝鮮が分断されることもなかった:引用者)朝鮮戦争を終わらせることなのだ。朝鮮半島の分断がこれを機に終息する可能性が出てきたわけだ。それが、かつてない規模とスピードで実現に向かいつつあることを、当事者はもとより、周辺国も寿ぐことが第一である。
自分の国の事情や都合は二の次で語ることが外交の基本でなければならない。よそ様の慶事なのだから、よそ様のお祝い事に共感するメッセージを、ミサイル代わりに半島めがけて何発でも叩き込めばいいわけだ。 (…)ふさわしい祝辞として贈り返すことが、「これからどうなるかわからない」現実に道筋をつけていく。外交とはそういうものだ。(…)
だが、この国の政府もメディアも、外交センスのかけらもない。半世紀以上続いた隣国の不幸が終結するかもしれないタイミングで、菅もフジテレビも、またNHKもテレビ朝日もTBSも、出てくる奴らの言葉はぜんぶ時化た台詞ばかりだった。だらだらと「事情通」を気取りつづける半可通や、過去の知見の反復から抜け出せない政治学者や、政府のふんどし担ぎみたいな記者やらであふれかえっていた。
おめでとうございます。これまでのご苦労、お察しいたします。これから本当の苦労が始まると思いますが、収穫の時が必ず訪れることを衷心より願っておりますと、まずは端正な言葉で述べてから始める者は誰ひとりいなかった!
日本死ね。(引用は以上)
確かに、400万人もが犠牲になった朝鮮戦争を終結させること、休戦状態のままほんの数か月前には大規模な戦闘が起こりかねない状態にあった南北両朝鮮にとって、このたびの首脳会談で開かれた可能性は大きな希望でしょう。
それに対して水を差すかのような報道であふれている日本の現状は情けないと考えます。塩崎さんは、もっとも「過激」な言葉で締めくくりました。
そして、確かに「核放棄の道筋」や「拉致問題の解決」も日本にとっては重要問題であることに疑いありません。しかし、だからといって「北朝鮮は日米韓を分断して時間稼ぎをしようとしているだけ」といった見方でいいのでしょうか。
「このたびの南北首脳会談、さらに米朝首脳会談は大きなチャンスだ」という蓮池薫さんの冷静で穏やかな発言(4.29「池上彰緊急スペシャル」)には強い説得力を感じました。
池上:拉致被害者を取り戻すために何ができるのか?
蓮池:拉致被害者について北朝鮮は「死亡した」とか、「拉致していない」と言っているが、どこかでカードとして日本に帰すことになるかも、ということはおそらく想定している。
健康状態や色々な面でしっかりケアはしていると思われる。
池上:取り戻すために、日本政府や私たちは何ができるとお考えか?
蓮池:拉致を認めた2002年。北朝鮮は、日朝国交正常化とその後にある戦後賠償-植民地支配に対する賠償-1兆円、2兆円という莫大な経済的支援が得られるということがあったから動いた。
ところが、北朝鮮が核実験をやりミサイルを撃ちということの中で、かなりトーンダウンしてしまった。平壌宣言も話にあがらなくなって、そういう状況の中で北が動くモチベーション・動機というのはなくなってしまっていた。
しかし今、北が核放棄に動こうとする兆しが見え、核ミサイルの問題が解決する可能性が開かれてきている。さらに、拉致問題さえ解決すれば2002年の平壌宣言がもう一回復活する可能性が出てきている。非常に大きなチャンスが訪れてきている。
日本としても核を放棄し、これで拉致問題さえ解決すれば国交正常化に行くんだよと言える。日本がうまく交渉して2002年の状況をもう一度回復して先に進みましょうと持ちかければ、北朝鮮としては非常に興味のある話になる。
十分に動く動機になる。
池上:日本にいるものとしては何ができるのか?
蓮池:そもそも拉致というのは国家犯罪。そこに見返りとかそういったものはあり得ないというのは正論だと思うが「拉致の解決→国交正常化」というパターンを受け入れていただきたい。強気に行って追い込んで 降伏させるというのには時間がかかる。(当面はなかなか無理だろう)
日本政府が柔軟な政策に基づいて解決しようとしたときに積極的に支持していただければ政府は動きやすいし、そうすれば解決の道は開かれてくる。そのタイミングが今近づいてきているのかなと思う。(紹介は以上)
番組中、「今の話よかった」という声が隣からも聞こえました。「最大限の圧力を!」と馬鹿の一つ覚えのように繰り返す「某首相の発言」よりも「蓮池さんの話」に説得力を感じるのは私だけではないでしょう。
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