労働分配率の改善(人間らしい労働・生活を目指して)
Mr. Hot Cakeさんのブログのコメント欄で私は「今の労働分配率を変えていくためにも(「同一労働・同一賃金」に近づけていくためにも)労働運動の立て直しがポイントになるでしょう」、と述べました。 それに対するご意見=〔( )内の「同一労働・同一賃金」を実現するためのハードルはかなり高い、ましてや「労働運動が社会性を回復すること」だけでは無理であり制度改革が必要である」〕という趣旨のご意見については異存ありません。 ただ、上記原則(「同一労働・同一賃金」)はグローバルスタンダードとして目指すべきものであると同時に、あくまで「人間と資本増殖の主客転倒」を乗り越えるための手段であり規制である、と私は考えています。 現在の日本の場合、それ以前に「外国人研修生」や「派遣労働者」を乱用し、個々人の生存権さえも踏みにじる「どん底への競争」を繰り広げている実態(それらを背景に労働分配率がどんどん悪化してきた実態)を正面から問題にしていくことが緊急の課題だと思うのです。 そう考えると、早い段階で実現すべき実践課題は「労働者派遣法」の抜本改正や「外国人研修制度」に対する規制ということでしょう。その場合、既成の労働団体がそのような労働者をめぐる問題を運動の中にきちんと位置づけていくこと(「労働運動が社会性を回復していくこと」)は極めて重要だと考えるものです。 とはいえ、将来にわたって「所得の手厚い再分配」を実現していくためには、「同一労働・同一賃金」を展望していくことは確かに大切であり、Mr. Hot Cakeさんの提起された問題にしっかり向き合っていく必要がありますね。 >さて、同一労働・同一賃金を実現する方法は2つしかないと思われます。 北欧型のように産別労組にすれば、企業規模にかかわらず各企業は同一労働に対し同一賃金を支払わなければならないのですから、収益率の低い(中小)民間企業は当然に採算が悪化して潰れていき、収益率の高い企業だけが生き残ることでしょう。(・・・)>これは労働弱者切り捨てではなく、それだけの賃金を払えない前途有望でない弱小企業を切り捨てて、強い企業を育成していくことを意味しています。北欧諸国はこの点にドライですね。 上記は「同一労働・同一賃金」が実現された場合、危惧される点についてのご指摘ですが、日本においては北欧諸国以上に「採算の良くない弱小企業」を切り捨て、倒産させてきたのではないか、そのような現実がすでに大きく進んできたのではないか、と私は考えています。 拙ブログで以前、NHKの「ふる里発」生産激減 自動車不況 という番組を取り上げたことがありますが、一部抜粋します。 「規模が小さい会社は大変な苦境に追い込まれている。ある社長は自分の貯金を取り崩して社員の賃金を払っているという。しかし、それにしてもなぜそれほど急激に追い込まれてしまうのか。(・・・)確かに自動車の生産はここ数年(リーマンショック以前)増え続けてきた。しかし、国際競争が激しくなる中で大手メーカーは下請けに対して厳しいコスト削減を要求してきた。そのため生産の拡大に見合った利益をあげることができなかった。」 ここから見えてくるのは、世界同時不況以前の好況期に大企業が「使い捨て可能な低賃金の非正規労働者」を大量に使い、「下請けに対する厳しい買い叩き(いわゆる“下請けいじめ”)」を行いつつ空前の内部留保を蓄えていった、という図式です。 つまり、現在の「下請けいじめ」の構造をそのままにして「同一労働・同一賃金」を実現しようものなら、一部ではなく半分以上の中小企業が倒産に追いやられるのではないか、と考えられるのです。 このような現実をふまえるならば、「今の日本が弱小企業保護を図る」ことは必要であると考えます。 もっとも、OPECが国際石油資本(オイルメジャー)に対して結束して原油価格を引き上げたように、多くの中小企業(及び労組)が結束して大企業に対して価格引き上げを実現していくことができればいいのでしょうが、それが現実に困難であるとすれば、「下請けいじめを有効に規制できるような制度改革(この必要性を主張する政党もありますが・・・)」やおっしゃるような(以下のような)制度改革が必要であると私も考えます。>この(中小企業の)労働者に大企業なみの賃金を払わせようとするなら助成金を企業に出すか、または所得税の累進課税(場合によっては法人税の累進課税)を大幅に傾斜させてそこから老後の生活保障制度を充実させるなどの制度改革を考えなければならない 〔( )内は引用者〕。 続く 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ ↑よろしければクリックして投票・応援いただけますか 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)