報道特集に猛省を求める
4月23日の報道特集「ロシアによるプロパガンダの検証」に対して意見を述べました。(述べた意見に多少の加筆をしています。) 以下の1と2は、批判だけでなく期待を込めて送信したのですが、別の人の指摘をうけて確認したところ、重大な問題があると判断し、猛省を促す意見を述べました。(それが3) 私の基本的な考えは2で述べたとおりですが、それを実現していくためにもしっかりした検証が必要で、「アゾフ連隊のプロパガンダを後押しする共犯行為」をmediaが続けているようでは話にならない、と考えるものです。 1,住民虐殺があったということについては、二週間前の特集でも明らかにされていましたが、「全くフェイクだ」としてロシア大使が示した根拠が破綻していたということはよくわかりました。(先週の特集もよかったです。)ただ、この間の流れで気になるのは、トルコの仲介で停戦交渉が大きく前進した矢先にバイデン大統領が戦車の提供を言明、「ブチャの虐殺等」を(「第三者による検証」というロシアの主張を米英が却下した上で)大規模な武器援助に突き進む契機として「利用した」かに見える点です。特集されていたように、民間人の殺戮があったことは明らかであるにしても、本当に何百もの死体を路上に放置したままロシア軍は引き上げたのでしょうか? NBCニュースの報道‐「米国政府が現在のところ公式には、ブチャの虐殺をロシアのジェノサイドとは認めていない」(4月16日の記事)のはご存知ですか。 ロシア軍撤退直後に、解放を喜ぶ市長が全く虐殺に言及していないことも、腑に落ちない点です。また、多くの軍事衛星を飛ばしている米国防総省こそが、路上の死体を放置したのがロシア軍であるかどうか証明できるはずなのに、いまだにそれをしていないのはなぜでしょうか。すべて捏造というロシア大使の主張が破綻していることは明らかにされていますが、ロシア軍撤退直後に国家警察の部隊や極右部隊による「協力者狩りの殺害」が遂行された可能性は本当にないのか、国内での両組織の振る舞いについての検証を期待しています。 2,アゾフ連隊の性格に関する検証については、残念ながら不十分です。当事者や住民の証言に意味はないとは言えないでしょうが、国連難民高等弁務官事務所の報告や、amnestyの報告だけでも極右部隊であるアゾフ連隊が様々な残虐行為にかかわっていたことは明らかでしょう。動画(24分40秒あたりから)で確認できます。もちろん、仮に東部二州でアゾフをはじめとする右翼部隊による住民虐殺があったとしても、ロシアによるウクライナ侵略は断じて正当化できません。しかしながら、大切なことは停戦(さらには終戦)を実現し、その後も殺戮などが起こらない安定した社会に戻していくことであり、そのためには、2014年以降に東部で起こった事実の検証と、問題解決に向けた話し合いを国際的に後押ししていくことが必要でしょう。戦争の事実を検証・報道することの大切さは金平さんが言われる通りですが、2014年以降、西側があまり目を向けようとしてこなかったドンバスの実態の検証も必要であると考えます。いったい何が起こっていたのか、フランスのジャーナリストが取材・制作したdocument(「ドンバス」)はぜひ視聴したうえで、引き続き事実の検証がなされることを期待しています。3,23日の特集について、別の人による指摘を受け、愕然としました。 確認すると、流れている映像では、アゾフ連隊旗、隊員の腕のワッペン、アゾフ連隊基地入り口に掲げられた連隊のマークの、ネオナチの象徴である「ヴォルフスアンゲル」にぼかしが入れられています。インタビューを受けるアゾフ連隊ジョリン司令官の背後には、「ヴォルフスアンゲル」のはっきり描かれた連隊旗が掲げられていますが、金平キャスターが連隊旗に使われているマークの意味(ナチスの親衛隊の紋章)について一切触れなかったのはなぜですか。 しかも、同キャスターは「アゾフ連隊は極右団体だったというような情報は、フェイクニュースだっていうふうに思っているんですね?」 ジョリン司令官「もちろん、ロシアの真っ赤な嘘です・・・」という形で「アゾフが極右というのはフェイクニュース」と言わせるために、誘導する質問をしています。そもそも編集に際してナチスのシンボルにぼかしを入れたのは誰のどのような判断によるものですか。意図的にしているとすれば、「ロシアによるプロパガンダの検証」ではなくアゾフのプロパガンダの「共犯」行為と言わざるを得ません。「真実を伝える」というキャスターの言葉を空文化する重大な問題ではないでしょうか。これまで評価・期待してきた報道特集ですが、この件に対しては猛省を促すものです。〔1に関する付記:特集を見て素直にロシア大使の主張の破綻を納得していたのですが、そうとも言えないようです。大使のいう虐殺現場は衛星画像により遺体があったことはニューヨークタイムズが報道。3月19日の衛星画像として伝えた。この検証が一切なされていない、ということです。〕にほんブログ村教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)