あやめ十八番『ダズリング=デビュタント』@座・高円寺1
ああ、ついに金子さんだけでなく、島田さんを石田さんを世が知ることになる。とか偉そうなこと言ってしまいますが、ほんと今回小劇場を飛び出して、たくさんの役者さんが名前で検索され、あるいはフォローされるのが目に見えるかのよう。堀越涼の名が、あやめ十八番の名が、ささやかれるよ、大人たちのあいだで。よく出来てるよ、ほんとに面白いんだよ。面白いの意味はinterestingの方ね、funnyでなくてね。というわけで西洋画版2回目。最後のチケット。今日やっと少し後ろの方の席で観れたんだけど、照明すごいねー。朝日の感じとか、部屋に長く伸びる窓の影とか繊細。あとやっぱり衣装とかスタイリング素敵。髪形とか。金子さんにあの色のドレス選んでくれた人に感謝したい。奥様はエリザベスのドレスの裾踏みつけるという古典的な意地悪をなさっててびっくりしたけれど。島田ガスパリーノとまーくんマオのバトルは、あやめ史上屈指の名場面となりそうな。島田さんの白い歯がまぶしい…蓮見さんのマオ様はエロティシズムで傷をかくし、まーくんのマオは能面のような表情と制服に傷をかくしている、そんな印象。台詞の抑揚がだいぶ違う。回を追うごとにずるちゃんのカトは清らかさを増し、このままじゃ楽には天使になってしまうのではないかしら。ソファで泣き崩れるポーリーヌがもう可哀想で可哀想で、おばちゃん苦しかったわ。直立してお手紙読んでもらう侯爵が泣かすし、なんか今日よく泣いたな。会場からすすり泣く声も聞こえてきたし。屋敷に残された孤独な者同士で明るい歌を歌ってるのとかさ、切ないやね。そう、登場人物みんなにドラマがちゃんとある、あやめ十八番。観客席の一人一人にもドラマがあるように。優れた音楽監督も自慢だが(生ピアノ音が素敵なだけでなく、役者の間合いも見ながら長さ調整してるよね、自在)、振付家の存在もアピール したい。日月からたくさんの振付をユーヤさんがしてくれてて、今回もとても素敵でどの辺まで主宰の指示だかわかんないけど、いろいろ含みのあるシーンが多かったようにも。とにかくアンリとイザベルは引き裂かれるしさ、ギョームが娘を二人にぶつけて裂くような振り印象的。どうしよう、こんなに毎回新作が面白くてどうしよう。