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憂国愚痴φ(..)メモ by 昔仕事中毒今閑おやぢ in DALIAN

戦後60年歴史の自縛(2)

2005(平成17)年8月5日産経新聞


◆【戦後60年 歴史の自縛】(4)生き続けるGHQ宣伝計画
「ひどくて、ひきょうな国」

 占領期に連合国軍総司令部(GHQ)が実施した「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)は、今も形を変えて教育現場に生き続けている。

 東京・九段北の靖国神社にほど近いある千代田区立中学では、女性教員が指導し、「紙上討論」と称する授業を行っている。

 三年生の授業では、さきの大戦について日本に謝罪と賠償を求めた韓国の大統領、盧武鉉の演説や、原爆、戦争責任などを取り上げ、感想を書かせた。

 生徒たちは、教員の指導と助言を受けて書いた感想文に「日本政府の人たちは頭、悪いんじゃないかと思いました。本当に賢い人は『真実を、きちんと徹底的に教える』と私は考えるからです」「盧武鉉大統領、日本の過去の事実を教えてくださって、ありがとうございました」「国のために死ぬのは右翼の人だけでいい」「(天皇は)最後まで自分のことしか考えられず、心の弱さゆえか、『武力』のみでしか、人々を動かすことができなかった」-などと記している。

 教員自身は「大統領への手紙」という形式で「民族差別・女性差別・人権蹂躙(じゅうりん)の極致とも言うべき日本軍性奴隷いわゆる『従軍慰安婦』についても、(中略)私は、できる限り事実を提示する努力をし、生徒たちに考える時間を与えてきたつもりだ」とつづっている。

 東京・瑞穂町のある公立中学校では今年二月、社会科の授業中に「中国の戦争は進歩的で、正義の戦争である」と主張する『毛沢東選集』の一部や、元朝日新聞記者、本多勝一の著書『中国の旅』を引用、日本人が中国労働者の心臓と肝臓を煮て食べたという信憑(しんぴょう)性が疑われているエピソードなどを抜粋したプリントが配布された。

 このプリントを配った教員は別のテスト形式のプリントで、日ソ中立条約について「北方の安全を確保し、南方への侵略を進める目的で結んだ」と記述。日本語ではなく中国語の口語とされる「三光作戦」(焼き尽くし、殺し尽くし、奪い尽くす作戦)を日本軍が華北地方の村々で行ったとした。

 東京・墨田区では、平成十六年度の教育委員会の事業として実施された中学一年社会の学習到達度調査テストで、南京事件について「武器をすてた兵士や女性・こどもを含む中国人が日本軍によって多数殺害されました」などと説明。

 そのうえで「中国の人々は日本の行動についてどう思っていたと考えますか。あなたが思うことを書きましょう」と出題し、生徒側から「ざんこくすぎる」「人殺し」「すごくひどくて、ひきょうな国だと思っていたと思う」-などの回答を引き出している。

 一方、十年には、小学校社会科教科書の日本史部分について「ほとんど戦争に対する贖罪(しょくざい)のパンフレット」と雑誌で語った教科書調査官が、正当な理由なく更迭されている。

 十二年度の中学歴史教科書の検定では、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を取り上げた扶桑社の教科書に、「一般的に広く認識されているとは言えない語句を用いている」と検定意見がつき、この部分は削除された。同プログラムは、文部科学省にとって、触れられたくない過去なのだ。

 文芸評論家の江藤淳は著書『閉された言語空間』の中で次のように書いている。

 「いったんこの(GHQの)検閲と宣伝計画の構造が、日本の言論機関と教育体制に定着され、維持されるようになれば、(中略)日本人のアイデンティティと歴史への信頼は、いつまでも内部崩壊を続け、また同時にいつ何時でも国際的検閲の脅威に曝され得る」

 六年前に自死した江藤の「予言」は、不幸にも現実のものとなろうとしている。

                   ◇

≪教育基本法も“米国製”≫

 「国を愛する心」と「国を大切にする心」のどちらが教育基本法にふさわしいのか-。自民、公明の両党は、「教育の憲法」といわれる教育基本法改正に関する検討会を設けて協議を重ねているが、「愛国心」をどのような表現で盛り込むかをめぐって決着が付かず、今国会でも改正案提出は見送られた。

 中央教育審議会が平成十五年三月に「国や郷土を愛する心」を「教育基本法で新たに規定すべき理念」と答申してから、すでに二年半。教育基本法改正案は国会提出の見通しさえたっていない。

 「国家主義的、全体主義的、戦前への復古主義的な考えを盛り込むことは断固反対だ」

 公明党代表の神崎武法は今年一月、こう強調した。神崎は「教育基本法を改正したからといって、教育現場の問題が解決するものではない」とも言い切った。

 実は、教育基本法改正をめぐっては、公明党だけでなく、文部科学省の幹部や、内閣法制局からも「『愛国心』の盛り込みは内心の自由を損ねる」「自民案は教育基本法になじまない」といった反対・慎重論が出ている。

 就任当初は、目の前の利益よりも将来につながる教育を優先する「米百俵の精神」を掲げ、教育改革に熱意を示した首相の小泉純一郎は今、教育基本法改正にほとんど関心を示していない。

 現行の「どこの国の基本法なのか全く分からない」(自民党幹事長代理の安倍晋三)という条文を改め、「国を愛する心」を盛ることがなぜ警戒され、抵抗を受けるのか。

 ここにもGHQの占領政策の「後遺症」が影を落としている。

                  ◇

 GHQは教育政策を特に重視し、昭和二十一年二月に「教科書検閲の基準」を発令。次の五点を検閲対象として挙げ、徹底的に排除した。

 (1)天皇に関する用語 現人神(あらひとがみ)、上御一人(かみごいちにん)、天津日嗣(あまつひつぎ)、大君(おおきみ)など

 (2)国家的拡張に関する用語

 八紘一宇(はっこういちう)、皇国の道など

 (3)愛国心につながる用語

 国体、国家、国民的、わが国など

 (4)日本国の神話の起源や、楠木正成のような英雄および道義的人物としての皇族

 (5)神道や祭祀(さいし)、神社に関する言及など

 日露戦争の日本海海戦で、ロシアのバルチック艦隊を破った東郷平八郎元帥が、平成四年に“復活”するまで、ながらく小学校教科書から消えていたのもこの基準が大きく影響したといえるが、「愛国心」もまた大きな被害を受けた。

 麗澤大客員教授(国際政治文化論)の西鋭夫によると、GHQの検閲で教科書に記載されていた「愛国心」は赤ペンで消され、黒鉛筆で「国を思うこと」に書き換えられた。

 GHQの検閲基準と、教育基本法に対する公明党の主張には、奇妙に符合する部分がある。

 GHQは教育基本法案の原案にあった「伝統の尊重」「宗教的情操の涵養(かんよう)」などを削除・修正したが、こうした部分は現在の基本法論議で“復活”が議論されている焦点でもある。

 西は、「教育基本法は新憲法の理想を学校教育で補強するために、GHQの指導のもとつくられた。憲法と同じように米国製だ。このことを忘れてはならない。日本人は米国が与える民主主義という甘い蜜の中に、『日本弱体化』という毒が入っていることを知らなかった」と強調する。(敬称略)

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 【盧武鉉大統領が「3・1独立運動記念式典」で行った演説】「日韓の関係発展には、日本政府と国民の真摯(しんし)な努力が必要だ。過去の真実を究明し心から謝罪し、反省し、賠償することがあれば賠償し、和解しなければならない。これは全世界がしている歴史清算の普遍的な方法だ。私は拉致事件による日本国民の憤怒を十分に理解する。同様に日本も逆の立場に立って考えなければならない。強制徴用から『従軍』慰安婦問題に至るまで、36年間の数千、数万倍の苦痛を強いられたわれわれの国民の憤怒を理解しなければならない」(要旨)




2005(平成17)年8月6日産経新聞


◆【戦後60年 歴史の自縛】(5)中国に全面譲歩した後藤田談話
首相靖国参拝の足かせに

 八月十五日が近づいてきた。郵政民営化法案の動向とともに注目を浴びているのが、首相、小泉純一郎の靖国神社参拝だ。

 「日本が実際の行動で問題を解決しなければ、われわれは常に『歴史カード』を手に日本をたたける。このカードは相当長期にわたって使えるだろう。日本がなぜ徹底的に反省とおわびをし、このカードを使えないようにしないのか分からない」

 小泉が首相として初めて靖国神社を参拝した翌日の平成十三年八月十四日。中国共産党機関紙「人民日報」のネット「強国論壇」に、政府系の現代国際関係研究所東北アジア研究室研究員、馬俊威はこう書き記した。

 靖国問題で中国に「歴史カード」を持たせたのは、中曽根康弘政権だ。昭和六十一年八月、前年に靖国神社を公式参拝した中曽根は、参拝を見送った。

 官房長官の後藤田正晴は、談話で元首相の東条英機ら「A級戦犯」の合祀(ごうし)に言及、「(前年の参拝は)近隣諸国の国民にA級戦犯に対して拝礼したのではないかとの批判を生んだ」「近隣諸国の国民感情にも適切に配慮しなければならない」と中国に全面的に譲歩した認識を表明した。後に中曽根は、参拝中止の理由について靖国問題で窮地に陥った親日派の中国共産党総書記・胡耀邦を「救おうとしたため」と述懐したが、胡はほどなく失脚した。

 現・中国大使、王毅は今年四月二十七日の自民党外交調査会で、中国政府と中曽根政権が「首相、外相、官房長官は今後、靖国に参拝しない」との“密約”を結んでいたと暴露した。中曽根は即座に否定したが、後藤田談話が足かせとなり、首相の参拝が長らく絶えたのは事実だ。

 後藤田の中国寄りの行動は鮮明だった。六十一年六月に朝日新聞などが「復古調」と批判した検定合格前の高校教科書「新編日本史」に対する申請取り下げ工作にかかわり、「新編日本史」は検定に合格した後、修正を余儀なくされた。

 日中友好会館会長だった平成十二年九月には、同館副会長で教科用図書検定調査審議会委員だった元駐インド大使、野田英二郎に、検定合格前の扶桑社の教科書について「外交問題になれば厄介だから、審議会で議論して(不合格の)結論を出すのがいい」と指示していた。

 一連の経緯について本人に真偽を確かめようとした産経新聞記者に、後藤田は「おたくの社是は分かっているから取材は断る」と述べ、取材に応じなかった。

                      ■□■ 

 日中の歴史認識に関する摩擦の本質について、京大総合人間学部教授の中西輝政は、「国際政治の現実をめぐる争い」と喝破する。経済成長と軍備増強を続ける中国は、歴史問題をアジアの盟主の座をかけた日本とのヘゲモニー争いの道具にしているという。

 経済界の一部に中国に同調、首相の靖国神社参拝に反対する動きがあるのも事態を複雑にしている。

 日本IBM会長で経済同友会代表幹事の北城恪太郎は、昨年十一月、「首相が靖国に参拝することで、日本に対する否定的な見方、日系企業の活動にも悪い影響が出ることが懸念される。小泉首相に今のような形で靖国参拝することは控えてもらった方がよいと思う」と言い切った。

 こうした経済界の動きに中西は「日本が世界の大きな趨勢(すうせい)の中で圧倒的に有利な立場にあるという気持ちが大事なのに、日中二国間関係だけで考えてしまうから、戦後の惰性で謝罪したり、おもねったりしてしまう」と指摘する。さらに中西は言う。

 「進歩派ではない外交評論家といった有識者が、『国益からいって、首相の靖国神社参拝はやめるべきだ』と言い始めた。戦後日本の現実主義という考え方が、主権国家としての自立というものを踏まえないことがはっきりした」

 歴史の自縛の根は深い。

 ■「戦後」終わらせるとき

 昭和四十七年九月、首相の田中角栄が訪中し、日中共同声明に署名した。

 「過去において日本国が戦争を通して中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」

 このとき活躍したのが高島益郎だ。田中訪中に同行し、外務省条約局長として日中共同声明作成の実務に当たった。中国側は交渉で、「台湾は中国の不可分の一部であること」を声明に盛り込むよう強く要求した。

 だが、高島はこの要求を突っぱねた。共同声明では、「中国政府は台湾が中国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明し」、日本は、「中国政府の立場を十分理解し、尊重する」との意向を示すにとどめるよう田中を説き伏せた。

 国益のため頑強に法律論を展開する高島を、中国首相の周恩来は「法匪(ほうひ)」と非難した。だが、後に「高島のような立派な部下を私も持ちたい」と言わしめている。

 「外務省に高島益郎のような国士が最近、いなくなってきた。外務事務次官も首相官邸の方ばかりみて、空気ひとつでどうにでも変わるようになってきた」

 元外交官で評論家の日本国際フォーラム理事長、伊藤憲一はいう。

 伊藤は、「高島という外交官がいたから最低限、抑えるところは抑えた。だが、もし、彼がいなかったら(中国におもねった)おかしな文章が入りかねない日中交渉だった」と語る。

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 衆院本会議場から自民党幹事長代理の安倍晋三、元経産相の平沼赳夫らが次々と退場した。

 今月二日、共産党を除く自民、公明、民主、社民四党の賛成多数で採択された「戦後六十年決議」の採決直前だった。

 村山富市政権下の十年前、大量の欠席者が出た末に採択された「戦後五十年決議」。今回の決議では、十年前の決議に盛り込まれた日本の「侵略的行為」や「植民地支配」といった文言こそなかったものの、民主党元代表、菅直人らの主張をいれて「十年前の戦後五十年決議を想起し」という文言が入った。

 積極的に動いたのは、議長の河野洋平だった。河野は「会期内に広島、長崎の原爆の日を迎えるので、衆院として平和への決意を示したい」と意気込んだ。

 だが、中国の態度は厳しかった。外務報道官の孔泉は決議をこう切り捨てた。

 「歴史問題を逆戻りさせる行為に未来はない。日本は軍国主義による侵略の歴史を深刻に反省し、歴史問題を妥当に処理すべきだ」

                     ■□■

 ここまでこじれた中国との関係を今後、どう再構築すべきか。

 「戦後和解」(中公新書)を著した山梨学院大学法学部助教授の小菅信子は、日本と中国の地理的近さによる近親憎悪の感情ゆえに「英国が抱えるアイルランド問題と同様に戦後和解は難しい」とみる。

 弁解の余地のないユダヤ人に対する組織的なホロコースト(虐殺)を行って戦勝国の「正義」を受け入れざるを得なかったドイツ。それに比べ、日本では、米国による原爆投下や大空襲で非戦闘員を大量に殺害されたこともあり、「加害と被害の線引きとバランスが不明確になり、日中間の戦後和解を難しくさせている」と分析する。

 それでも、戦後長く日英間のわだかまりとなった英軍人捕虜問題が、平成十年、首相の橋本龍太郎が英政府の非公式のアドバイスを受け、大衆紙に謝罪のメッセージを送ったことがきっかけで、融和に向かったことがヒントになるという。

 「首相には中国だけでなく世界にメッセージを発信する老獪(ろうかい)さを身に付けてほしい」と注文する。

 一方、中西は根本的な問題の解決が先決だと言う。

 「いい加減に謝罪外交をやめ、日本人を罪の意識で縛り続ける憲法を変えることから始めなければならない」

 ジャーナリストの櫻井よしこは「この十年ぐらいで、新しい歴史の事実、国民の意識を覚醒(かくせい)するためのさまざまな事実関係が次々と明らかになってきた」としたうえで、こう語った。

 「私はこのごろ希望を持っています。まもなく私たちの手で『戦後』を終わらせることができるでしょう」(敬称略)

 =おわり

                   ◇ 

 この企画は佐々木類、阿比留瑠比、加納宏幸、安藤慶太、乾正人が担当しました。



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