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「火宅の人」檀一雄が「自宅の人」に
檀ふみのエッセイ集「父の縁側、私の書斎」を読んでいた。昨年12月17日の本ブログで、檀一雄が佐賀県の加唐島でコマーシャル撮影をしたという記事を書いたが、娘ふみの前述のエッセイ集の中にもコマーシャルの話が載っていた。 ![]() それが、なんと家族で出たCMが、コカ・コーラのホームサイズだったというところが驚きだ。永年愛人(女優KI)と暮らし、家には寄り付かなかった「火宅の人」が、晩年にはマイホームパパ、「自宅の人」に大変身していたのだ。 <以下引用> 杉の門柱に、手製の表札がかかっていたころ、わが家を囲んでいたのは 竹垣だった。 (中略) ぼろぼろの垣根を何とかしようと、あるとき、家族全員でコカ・コーラ のコマーシャルに出演した。その出演料で、塀を建て直そうという計画で ある。 そのころ、父は一年半にわたるポルトガル生活をたたんで、帰国したば かりであった。 檀ふみ「父の縁側、私の書斎」(新潮文庫2006年初版) 檀がポルトガル生活から帰国したのは、1972年の2月である。檀ふみは1954年5月生まれだから、この時は18才だったことになる。このころ檀ふみには映画界デビューの話があったが、まだ正式にデビューはしていなかった。 この時のコマーシャルの動画らしいものが、ネット上にあった。無断借用となるが、貴重な映像なのでそのスクリーンショットをアップしておく。 ![]() (真中が長女ふみ、左が次女さと、とすれば右は妻ヨソ子か) ![]() (真中がこの家の主、檀一雄だろう) 檀の代表作「火宅の人」は、愛人の女優との関係を書き綴った私小説色濃い作品だった。檀はこの作品を1961年から書き始めたが長い中断期間があった。最終章は、妻ヨソ子の口述筆記で死の直前に書きあげられた。 また、檀は1974年に博多湾に浮かぶ能古島に家を購入しているが、このコマーシャルは石神井の自宅で撮られたものだろう。その頃に体調悪化を訴え、1975年に末期肺がんと診断され翌年1月2日に亡くなった。享年63才だった。 ↓ランキングに参加しています。良かったらクリックをお願いします。 ![]() 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025/01/14 05:50:25 PM
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