議会報告

平成18年2月定例市議会 報告

議案71号 組織条例・議案72号 職員定数条例
行政の事務(仕事)は、簡単に言えば、市民に対するサービスの提供や、或いは許認可等の市民に義務を課し、権利を制限する行為など様々なものがあります。そして、これらの個々の事務に対して大なり小なりの市民ニーズが存在します。この市民ニーズは、新たな制度の創設、又は既存の制度の廃止、若しくは改革であったり、或いは迅速かつ適切な事務処理を要望するものであったりします。
そして、地方公共団体は、その事務を処理するにあたっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げなければならないものであります。従って、住民サービスが最大化するような行政組織及び職員定数を目指すものでなくてはなりません。
そこで、今回の組織改正、職員定数条例の一部改正に当たって、全体的に、どのような事務事業の見直し若しくは市民ニーズ調査等が行われたのか、その結果どのような要望があり、これらをどのように条例改正に活かしたのか質疑致しました。

答弁 組織改正、職員定数の決定にあたっては、特に市民の意向調査は行っていないことがわかりました。予算の調整機能については、事務決裁規程等で盛り込むことになりました。

議案94号 補正予算案 第4表 債務負担行為補正
本市の財政は、三位一体改革による財源配分や大型土地の購入などで財政は決して楽観できるものではありません。今後の社会保障費の増加を考えれば尚更です。そこで本市が負う将来債務について予算上明確にする必要性と、将来債務の積算についての考え方、及び指定管理者となった外郭団体に対して補助金と委託料を重複交付している(予算的に整理されていない)事案について質疑致しました。

一般質問
1 政策入札の導入について
私は、市議会において3年間、市の行財政改革を中心に質疑・質問を行ってまいりました。先の衆議院総選挙においては、官から民へという行政手法が国民の支持を得ました。官から民へ移行可能な事業については、行政サービスの質を高めるという目的、効率性、経済性の観点から取り入れていく必要があります。一方で、すべての外部委託が市民利益に合致しているわけではありません。安易な外部委託は、返って市民生活をおびやかす懸念もあります。従って、外部委託においては、どの業務を委託するのか、という判断が重要です。そして、外部委託が可能と判断できた事業については、外部委託に移行し、これによって余剰ができた人材・予算を、市が直営として行わなければならない分野に転化していき、行政全体の効果を高め、市の施策全体の成果を挙げていく必要があります。
そこで今回はまず、外部委託が可能な事業について、ただ経済性を追求し、財政コストの縮減を目的とするのではなく、本市の限られた政策経費予算の中で、外部委託を通じて、雇用政策、福祉政策、環境政策等を実現させる方法の一つ、政策入札の一部導入・実施について提案・質問させて頂きました。
政策入札とは、外部委託する際の受託者の決定を、一般的な入札である価格の高低だけで決めるものではなく、市の政策に合致している事業者であるかどうかを評価して、決定していく入札制度です。 
例えば、入札参加者が「市民を雇用しているか、障害者の雇用率を達成しているか、次世代育成支援対策推進法に定める一般事業主行動計画が適正であるか、環境基準であるゴミの処分を適正に行っているか、公正労働の条件を満たしているか」など、市の政策に沿って入札者を評価し、入札金額の他に、このような点に優れている者を落札者にしていく方法であります。例示したような各種政策は、法令では罰則が厳しくないことなどから、政策の実現が難しい場合が多々あります。しかしながら市がこのような外部委託基準を作り、政策を前向きに実施している事業者を評価する仕組みが整えば、努力している事業者に対して、市の事業を請け負えるというインセンティブを与えることができ、法が目指す社会の形成に資することができます。政策入札は、社会的責任を果たそうとする事業者等をバックアップするための手段としても有効なものであります。
平成18年度当初予算における本市の委託料、賃借料等は、一般、特別、病院会計合わせて、218億円を上回り、毎年度増加の傾向にあります。そこで、この溢れる資産である約218億円を有効利用して、新たな外部委託基準を作ることによって、外部委託を定義し、受託者を決定する過程において、このような社会的課題に前向きに取り組んでいる者を評価し、受託者とすることで、地方公共団体が講ずる施策又は事業主が行う雇用環境等の整備を促進し、市民生活の向上、社会の形成に資するものとしたいと考えるものであります。
 これらの観点から本市において、政策入札を実施する方向性はあるのかなど質問を行いました。

2 余熱利用施設建設用地廃棄物に係る工事、収集運搬及び処分業務及び議案第118号
当該工事契約は、高額でリスクが高いため、市民利益を損失することがないよう一般質問をさせていただきました。平成17年12月議会において、当該工事により発生する産業廃棄物の収集運搬及び処分については、市の工事請負業者ではなく、別の許可業者と市が別契約をするとのことでした。しかし、環境省通知によると、工事請負においては、排出事業者は、工事の元請となっております。つまり、産業廃棄物の排出事業者は、市ではなく元請の工事請負業者になり、その元請が産業廃棄物の収集運搬及び処分契約を別途許可業者と締結し、その費用を工事請負から支弁することが適当といえます。このことに関し、市の産業廃棄物の収集運搬及び処分委託が適正に行われているかについて質問致しました。

3 「議会での審議事項を行政がフィードバックする仕組み」について
毎議会、本会議及び委員会において様々な審議が行われております。地方分権の推進により、地方公共団体自身が自ら決定していく事項も増えました。また、以前は通達行政などと言われ、法令が施行されると各省庁から通知が出され、各地方公共団体がこの通達・通知に沿った運用を行っておりました。しかし、現在は、地方分権の観点から通知類は最小必要限度のものに留められ、あとは自治体の能力・裁量に委ねられております。従いまして、指定管理者制度の例もあるように、地方公共団体の持つ能力・裁量によって同じ制度でありながら、そして同じ趣旨でありながら、運用方法が地方公共団体ごとに様々であります。良くも悪くも地方公共団体の区別化が進んでくると懸念されます。従って本市においても行政・議会双方が切磋琢磨し、決められた法の中で、最高の運用を行える能力と見識を身に着け、最高のサービスを市民の方に提供できるようにしていかなければなりません。このような地方公共団体を巡る動きを勘案し、行政の側も議会での審議事項を真摯に受けとめ、検討し、よりよい運用を目指していく必要があります。
そこで議会での審議事項をどのように受け止め整理し、政策、制度運用につなげているのかなど質問致しました。

答弁について(一般質問)
1の政策入札については、今後政策入札の基準をつくり平成18年度に導入したいとのことでありました。
 
2の廃棄物の契約については、市の契約方法について誤りはないとのことでしたが環境省の見解と一致しないと思われる点があり、高額な予算を伴う契約であることから今後も私の課題としたいと考えております。
 
3の議会での審議事項を行政がフードバックする仕組みについては、仕組みの充実・市民への公表を含めて検討するとのことでした。



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