2006/12/10(日)08:09
感性論哲学の世界
●「新しい思想・感性論哲学の世界」 芳村思風著
思風庵哲学研究所 刊 本体価格 2625円
芳村思風先生の第1作目。
この本を渋谷の大盛堂に頼み込んで、置いたことがキッカケで行徳哲男先生に出会う。
今年で、出版30年。
■学問や文化を根底から支えている原理の正当性を問い正す事は、哲学が全人類に負
っている重大な使命であり責任である。今や世界は弁証法的対立の時代ではなく、根
元的統一の基盤を要求しているのである。
【本の目次】
□目次
□序論
・序文
・前章命題
□本文
・第一章 感性の確立
・第ニ章 感性の構造
・第三章 世界観
・第四章 現代哲学との対話
・第五章 一般的命題
□西洋思想史年表
□註
□あとがき
□さくいん
■21世紀の世界は、20世紀を築いた原理の延長線上には存在しない。
21世紀を築く巨星の条件は、原理的創造への意欲と情熱である。
新たなる世界は、新たなる原理を要求する。
感性論哲学は、哲学における21世紀の新しい原理である。(2p)
■思惟と身体との統一は、
感性を媒介にして初めて現実的なるものとなっている。
そこで、最も現実的な意味において、「私」とは、
感性において統一されて在る「身体と思惟」の有機的全体性なのである。(29p)
■我々は、感性なしに思惟を現実的なものとして考える事はできないが、
思惟なき感性を現実的なものとして考える事ができる。
感性は、その作用において思惟作用を前提としない。
それ故に感性は、存在においても作用においても思惟から独立した存在である。(31p)
■感性は、すべての感官を通して与えられる感覚や表彰を感受して、
それを統一統合し、感性という世界における1つのまとまりある全体的経験を形成す
る。(34p)
■能動的なる感性としての「直観」という能力は、
認識論的な表現であって、これを存在論的な能力として考えた場合には、
「意志」と名付けられ、実践的な能力となる。(39p)
■意味は関心によって呼び起される。意味とは関係である。
関心とは、能動的な心の働きであり、感性における直観の能力において発現する作用である。
我々はすべて、混沌たる意味世界の中に、関係あるものとして生まれて来、そして無意識の内にも、
関係を持って生きている存在である。
それ故に我々は、無意識の内に根源的に意味づけられているのである。
我々は意味の大海の中に、意味を持って生きているのである。
生きるとは、このように、根元的意味づけられているという事の意味を自覚する事である。
使命とは、この意味の自覚から出発するのである。
何等の関係なしに存在しているもまのは、
この世界の中には何一つ存在しない。
すべてのものは、意味と使命を持って存在しているのである。(43p)
■人間が思考し始めるのは、言葉を発音する事ができる時期と同時である。
最初の思考は、言葉とその言葉に含まれる対象的内容とを統一する作業から始められる。
そして、このすべての過程が、人間の社会における人間同志の共同生活において進められるというごく当り前な平凡な事実が、人間が、人間らしい人間になるという事に、大きな意味を与えているのである。
「人間」はこの意味において、本質的に社会的な存在なのであるということができる。(53p)
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