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ボクの目の前で、二つのギプスが並んで歩いている。
ギプスはそれぞれ別々の男性にくっついていた。 各々が左手に白い石膏をしている。 親しげに会話を交わしているところを見ると友人同士のようだ。 歳は20代前半、平日に私服を着ていることから、恐らく大学生なのだろう。 しかし、素朴な疑問が頭をよぎる。 何故この二人は、まったく同じ部位を怪我したんだろう。 二人でバイク(または乗り物)に乗っていたところ、左方向から車に衝突されたのだろうか。 それとも、二人して陰湿なイジメにでもあったのだろうか。 今までギプスをつけた人を何人も見たことがあるが、 二人がまったく同じ場所にしているのを見るのは初めてだ。 もしかしたら、あれはギプスじゃないのかもしれない。 ギプスに見せかけた筋肉増強装置で、 ウェイト付リストバンドと同じような目的で使っている可能性もある。 いや、ちょっと待てよ。 実はあの二人は勤勉な宗教家で、信望する宗派の教えを忠実に守るため自らの左手に戒をしてるいるとか。 そういえば、自分自身の四肢を縄で縛り、過酷な修行を行っている人間をテレビで見たことがある。 いけないいけない。 想像が飛躍しすぎた。 うっかりして一番可能性の高い考えを捨ててしまっていた。 そう「偶然」。 このひとことで片付くんじゃないか。 うん偶然、偶然。 たまたま乗車した電車の車両が同じで、 降りる駅も一緒だった。 乗り換える駅も路線も同じで、 左手にギプスをしているもの同士、 お互い興味をそそられたんだろう。 「あ、偶然ですねー! 同じ場所にギプスしてますね!」 「お、本当ですね、奇遇です! はっはっは」 ・・・。 ・・・・・・。 もういいや。 偶然でも何でも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 9, 2004 02:26:32 AM
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