夜の上野公園……上野公園の近代建築(その1)
上野恩賜公園には近代建築が多く残っている。その大部分が関東大震災で焼失したのを受けて復興事業の一環で再建されたもので、耐震・耐火を施されていたこともあって東京大空襲でも無事にかいくぐってきた。そんな建物の夜の姿を撮ってみた。東京国立博物館本館 昭和12(1937)竣工 国重要文化財 設計は渡辺仁。当時は「帝室博物館」という名だった。鉄筋コンクリート造りの不燃式洋風建築に、和風瓦葺きの屋根を載せた「帝冠様式」。東京国立博物館表慶館 明治42(1909)竣工 国重要文化財 設計は片山東熊。石造り・煉瓦造りのネオ・バロック様式で、中央と両端に大小のドーム屋根が施されている。当時の皇太子[のちの大正天皇]御成婚を祝う目的で建てられた。旧国立科学博物館本館 昭和5(1930)竣工 国重要文化財 設計は文部省大臣官房建築家の文部技師・糟屋健三。現在の「日本間」。上空から見ると飛行の形をしているらしい。旧博物館動物園駅 昭和8(1933)竣工 東京都指定歴史的建造物 設計は中川俊二。昭和8年の京成本線全通と同時に開業、駅名の通り「帝室博物館(現在の東京国立博物館)」と「恩賜上野動物園」の最寄り駅だった。駅舎の老朽化と乗降客数の減少を理由に平成9(1997)年休止、同16(2004)年廃止。廃止後も駅舎とホームが保存されている。