灰色の空のむこうには…

2007/04/22(日)23:50

[探偵百傑]暴れん坊探偵…

探偵百傑(9)

「僕じゃありません!」 「何だとっ!これだけ動機や証拠を説明しても  まだ認めないとはっ!」 「いや、だから…」 「ええ~いっ、みなまで言うなっ!余の顔を  忘れたのかっ!」 「忘れたのかって言われても初対面ですよ。」 「ああ言えば、こう言うなどとまったくもって  言語道断。成敗っ!」 ゲシッ 大きな音を立てて弧を描いて吹き飛ぶ男。愛の鉄拳は 犯人に対して48ある改心技を持つ探偵・孫田退之助の レパートリーの中でも自信のある技のひとつである。 「そ、そんな無茶苦茶な…、僕は…。」 途切れ途切れになりながらも何か言おうとする男。 そんな男を見下ろしながらも孫田探偵は哀れみを 込めた目でぽつりとつぶやく。 「一回り大きくなって帰ってくるんだな。」 ニヒルに決めた孫田探偵の肩をぽんと叩きながら、 小丘刑事は探偵の手に手錠をかけた。 「孫田、暴行の現行犯で逮捕する」 「な、なんですとっ!刑事さん、今の鉄拳は犯人を  成敗するためにやったことで…。」 「いや、犯人なら見逃すところだが、あいにくそいつ  は犯人じゃない。」 「へ?」 「お前の推理した犯人の三条は、お前が犯人を断定  したときに確保してすでに捕まえている。」 振り向く孫田探偵の後ろには、小丘刑事の言うように 男が手錠をかけられて震えながら孫田のほうを見ている。 「やつが三条?じゃあ、オレが吹き飛ばしたやつは?」 「事件に何の関係もない一般人だ。さぁ、三条と一緒  に署まで来てもらおうか。」 熱血漢でもある探偵、孫田退之助。彼は事件を憎み、 人を憎まずの探偵ながらも改心しない犯人を48ある 改心技で改心させる熱いハートを持つ探偵である。 しかし、彼が推理を披露するときあまりに熱くなり すぎるため周りが見えなくなり、時として犯人と 一般人を間違えて成敗するので誤爆することしきりである。 そんな彼を暖かく見守る小丘刑事は、事件が起こり 孫田に協力を要請するたびに、事件が解決した後 拘留された留置場で孫田にカツ丼をご馳走しているとか、 いないとか…。 (参考資料)探偵百傑

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