形成外科医のアメリカ留学計画

2011/08/14(日)05:52

コラゲナーゼはケロイド・肥厚性瘢痕に有効か?

■形成外科・手外科(156)

■コラゲナーゼ注射剤とは? Collagenase clostridium histolyticum(以下コラゲナーゼ)は 15年前にはじめて文献で紹介されてから Dupuytren diseaseのnon-surgical treatment optionとして注目されている。 簡単にいうと"線維を溶かす注射剤"のこと。 米国では最近FDAの認可を受け Xiaflex (Auxilium Pharmaceuticals,Malvern, PA)の商品名で実用化されている。 実際には Dupuytren cord(線維)内にコラゲナーゼを注射し、 注射翌日に、線維がある程度分解されたところで 徒手的に手指を伸展させてコラーゲン線維束をひきちぎるようにして拘縮を解除する(Ref 1)。 このコラゲナーゼの長期アウトカムは 今後明らかになってくると思われる。 ■コラゲナーゼはケロイド・肥厚性瘢痕に有効か? このコラゲナーゼが いわゆる線維増殖性疾患(ケロイド・肥厚性瘢痕)に 有効かどうか疑問に思いしらべてみた。 調べてみると2006年JPRASに論文がでていた(Ref 2)。 対象者が7人(ケロイド5、肥厚性瘢痕2)と少ないが 結論としては"コラゲナーゼは無効"とするものであった。 (a) 一時的には瘢痕量を減らすことは可能だが再発すること。 (b) 注入部位の合併症が重篤(pain, swelling, blistering, ulceration and ecchymosis) がその根拠となっている。 ■まとめ ・コラゲナーゼはDupuytrenに対する低侵襲治療になりうる可能性がある ・ケロイド・肥厚性瘢痕に対しては無効であり合併症が多い (いずれも今後の研究結果待ち) ■References 1. Desai SS, Hentz VR. The treatment of Dupuytren disease. J Hand Surg Am. 2011 May;36(5):936-42. 2. Kang N, Sivakumar B, Sanders R, Nduka C, Gault D. Intra-lesional injections of collagenase are ineffective in the treatment of keloid and hypertrophic scars. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2006;59(7):693-9.

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