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新英語教育研究会神奈川支部HP

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●「英文法、ルターの提案」第1回 時制 5.9.08

●「英文法、ルターの提案」第1回 時制
 9日に英語科のU・Kさんの企画・要望で放課後にルターが講師になって「英文法ルターの提案」講座で第1回「時制」を1時間、協同学習スタイルでしました。英語科のU・Sさん、U・Kさん、新人のAさん、音楽のSさん(「水曜どうでしょう」ファンで占い好きという私との共通項があります)の4人が参加(最初の20分は校長・副校長のお2人も参加して下さいました)。
 最初は、クイズに答えながら、現在時制とはどんなものなのかを確認、最後はみんなで話すうちに英語の文体や音楽の形式の話に発展しました。

(1)カーペンターズの「プリーズ・ミスター・ポストマン」でスタート
『新英語教育』にルターが執筆した「授業に歌を」のコーナーの「プリーズ・ミスター・ポストマン」の記事を読みながら、CDに合わせてみんなで合唱。ルターお得意の、「明日来るの(ですか)?」は、Are you coming tomorrow?であって、Will you come tomorrow?「明日、来ない?」(←Come tomorrow, will you?「明日、来てよ」に近い)ではない、という話をしました。そのあと「黒川先生の英文法を受け継いで」の記事を紹介。英語教育の目指すべき方向性を話しました。(HPの左のページにあります)

(2)クイズ形式で現在時制を紹介
新英研神奈川支部例会レポート(2005. 7.9)「文法項目の解説・例文提示・テスト問題に関する提案」を引用し、以下のクイズをしました。
Q1:「明日来ますか?」と言う場合、
   Will you come tomorrow? 、Will you be coming tomorrow?それともAre you coming tomorrow?
    (a) Will you come tomorrow?
    (b) Will you be coming tomorrow?
    (c) Are you coming tomorrow?
Q2:シャワーを浴びようと着替えをしているルームメイトに「お風呂はいるのですか?」と言う場合 、
   Do you take a bath?、Will you take a bath?それともAre you taking a bath?
    (a) Do you take a bath?
    (b) Will you take a bath?
    (c) Are you taking a bath?
    (d) Are you going to take a bath?
Q3:雨雲が見える。今日の午後は雨が降りそうだと話題にする場合、どう言ったらいい?
    (a) It will rain this afternoon.
    (b) I think it will rain this afternoon.
       I’m sure it will rain this afternoon.
    (c) The weather forecaster says it will rain this afternoon.
    (d) It is going to rain this afternoon.
       I hope it isn’t going to rain this afternoon.
    (e) It looks like rain this afternoon.
●Q1の答え:(b)の答えは参加者にとって、意外だったようです。
(a) △[ルターの考えでは×](勧誘「明日、来ない?」と聞こえる。「明日、来てよ」に近い)

(b) ○(丁寧な質問「明日、いらっしゃいますか?」。
 このいわゆる未来進行形will be doingの用法は敬語のようなもの。新幹線などのアナウンスでWe’ll be arriving at Shinjuku Station.「新宿駅に到着いたします」と言っている。これは、We’re arriving at Shinjuku Station.だと「新宿駅に着くよ」のようにぞんざいに聞こえてしまうし、We’ll arrive at Shinjuku Station.「(じゃぁ)新宿駅に着こう」では実態と合わない。will doと現在進行形を合体させたwill be doingが丁度良い) 

(c)  ○
U・Sさんの質問:この現在進行形の予定の用法は明日、来週などはわかるけれど、来年とか、どのくらいの先のことまで使えるの?
ルターの答え:「手帳に書くような予定」のイメージです。マーフィーの問題集『Basic Grammar In Use』(Cambridge)には手帳に書いてある予定を現在進行形で表現する練習問題があります。

●Q2の答え:
    (a) × Do you take a bath?「ふだん、お風呂に入っていますか?」
    (b) × Will you take a bath?「お風呂入らない?」
    (c) ◎ Are you taking a bath? 「お風呂入るの?」
    (d) ○ Are you going to take a bath?「お風呂入るつもりですか?」
★このクイズのタネ本:織田稔『英文法学習の基礎』研究社1990 p.84
 「学生時代にアメリカ留学経験を持つT先生はDo you take a bath?(ふだん風呂に入っているか?)と訊いて、ルームメイトから大変な怒りを買い、隣室の学生も加わり『そもそもお前の英語は…』と徹夜で説教されたとか。この英語のどこがそんなにいけなかったのだろうか。」「これでは 『お前さんでも風呂に入る習慣があるんですか』と、チンパンジーかルンペンにでも尋ねるような口の利き方である」(p. 92)ということでAre you taking a bath?とAre you going to take a bath?の2つを奨めている。

●Q3の答え:(a)の答えは参加者にとって、意外だったようです。
    (a) × It will rain this afternoon.
    (b) ○ I think it will rain this afternoon.
          I’m sure it will rain this afternoon.
    (c) ○ The weather forecast says it will rain this afternoon.
    (d) ○ It is going to rain this afternoon.
       I hope it isn’t going to rain this afternoon.
    (e) ○ It looks like rain this afternoon.
★(a) (b)の答えを書いてある本:鷹家秀史・林龍次郎『詳説レクシスプラネットボード』旺文社(2004)p. 76-77
(a) Look at the dark cloud in the sky. It is going to rain this afternoon.
(b) Look at the dark cloud in the sky. It will rain this afternoon.
 
●be going to ~は、《心づもり》「~するつもりだ」と《目に見える予兆》「「(ゆくゆく)~しそうだ」の意味がある:
 
★U・Sさんのご指摘: (c) The weather forecast says it will rain this afternoon.のところは、ルターはThe weather forecaster(天気予報官)としていましたが、例文にあたると、The weather forecast says(天気予報によると…)の方が英語として自然だと分かりました。訂正します。ご指摘ありがとうございました。
例文:The weather forecast said it would be fine all day. (Longman Exam Dictionary)

(3)英語の文体や音楽の形式の話:最後の方では、以下のような会話が交わされました。
☆ルター:音楽に喩えると、時制とは「調」のようなもので、「全体の調子がどんなか」を言っているのです。現在時制は「緊張がある、変化に富んだ明るい長調」、過去時制は「安心するが、淡々とした暗い短調」のようなものです。例えば、音楽の「主調→転調→主調」のパタンと似ていて、説明文の基本パタンでは段落ごとに時制を使い分けて「現在時制→過去時制→現在時制」になります。
☆U・Sさん(英語小説の輪読会に出ている):「意識の流れ」に基づいた英文小説を読んでいて、話の流れが主人公の妄想で終わってしまい、最後に収まりが付かず、気持ち悪いかんじがした。
☆音楽科Sさん(大学で作曲を専攻):作曲で、転調したあとに元の主調に戻ろうとする努力を見せれば、まだ許せるが、戻ろうとしないと「許せない!」という気持ちになる。
☆ルター:昔、テレビの「題名のない音楽会」で司会の黛俊郎がドリカムの「晴れたらいいね」を取り上げ、「転調して元に戻ろうとしない。許せない」という話だった。
☆音楽科Sさん:ドリカムは、「転調して元に戻ろうとしない」だけでなく、「歌詞の息継ぎで切れないはずのところで切る」という革命も起こしたのです。
…という、興味深い内容に話が展開しました。

(4)『大学入試問題研究』を配布→次回は小テスト!
 ルターが作成し、授業で配布している『大学入試問題研究』を37ページまで配布。次回は参加者の希望もあって、小テストを予定。

(5)感想
☆U・Kさん:今まで当たり前のように教えていた学校英語が誤りだと知りショックでした! でもとても勉強になり楽しかったです。
☆U・Sさん:異世代、他教科の先生の参加もあり、多様性のある学習会で有意義でした。ルター先生の提案はいつも新鮮。参加者(仲間)が増えてくれるとうれしいです。


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