2018/12/23(日)16:22
会報担当が考える英語教育(その5):2002. 5.18のレポートのあとがきから
今日のスローガンは「不遇な文法項目にもっと光を!」「カラカラに乾いた英語表現に潤いを」。
例えば植物はカラカラに乾いていても「水くれ!」とか「酸性雨だ、助けてくれ」とは叫べません。植物が話せたらうるさくってしょうがないでしょうが、苦しくても植物は静かにそよそよと揺れています。だからこそ人間が代わりに水をやったり、声を持つ私たちが植物の代弁することも時には必要です。植物と同じく文法項目は「うわぁ、そういう使い方じゃないんだー」という声が出せません。植物の場合は枯れかけているのが目で見えますから「あら、お水やってなかったわ」と気づいてやれそうですが、文法項目はそうはいきません。蔭でそよそよと揺れている文法項目にそっと光をあててやりたいのです。
昨今、文法解説優先のせいか扱われる例文は「骸骨のようなホネホネ文」あるいは潤いのない「カラカラ文」 になっています。SVOC(have+O+過去分詞)といえば過去形のI had my purse stolen.やI had my hair cut.ばかり。教科書『プログレス』 やロングマンの英英辞書に掲載されているような、Iユll have my brother repair my bicycle.や英語らしい文体Someone stole my purse. やYouユve got a haircut. I like it.「髪切ったんだね、いいね」がその周辺にあるというのに…。カラカラで潤いのない英語表現ばかりで、自分たちの実感に合った表現に出会う機会がない。これでは文法嫌いが増えてしまいます。
文法項目同様、亡くなった人たちも「死人に口なし」で話せません。そういうわけで、私は蔭で泣いている文法項目や亡くなった人たち[言語学者ソシュールやレトリック研究家佐藤信夫さん…etc.]のよき理解者・代弁者になれるよう精進していきます!
● 潤いのある例文とは?:
Aimer, cユest se donner corps et 盈e.(愛すること、それは身も心も与えることだ)『クラウン仏和辞典』[さすがフランス語、例文が英語とは大違いですね]
● ロバート・M・フリン『New Progress in English Book 1-6』イエズス会出版(1993) 販売/エデック(フリン教材販売)tel. 06-768-4839 私学のフェリスや櫻蔭、開成や麻布で使われています。