田中渡さんの自主教材Civil War in Cambodia
新英研のメーリングリストに投稿したものの再録です。こういう実践をなさる先生方がいらっしゃる新英研って,素晴らしいと思います。 田中渡さんの自主教材Civil War in Cambodiaに感銘を受けました。今回ご紹介くださったように,無味乾燥な説明文から,考えさせる内容のある教材につなげていくことが必要だと感じました。ありがとうございました。 池上彰さんの『そうだったのか 現代史』を読んで,ポルポト派が海外の留学生を呼び戻して殺害したと知って以来,ずっと気になっていました。ポルポト派が抵抗勢力となりうる知識人層を抹殺したこと,また,中田厚仁さんとお父さんの武仁さんのことは,忘れずにいたいし,多くの人に伝えたいと考えていました。参考映像:「カンボジア 内戦の地に命を捧げた、中田厚仁」http://www.youtube.com/watch?v=6ieZ6G2eUvs小学生の頃,映画「日本沈没」を観て,恐がっていた厚仁さんに対して,お父さんが守ってあげると約束したのに,その約束が果たせなかったと答えているインタビュー記事は今も大切に持っています。お父さんの気持ちを思うと,せつなくなります。このようなアジアの近代史を教室で伝えないというのは問題だと思うのです。機会を捕まえて,伝えていきたいです。 内容がないような(ダジャレです…)説明文ばかりを扱う英語の授業が蔓延している昨今だからこそ,新英研の真骨頂である,内容のある感動教材が求められていると思います。亡くなられた黒川泰男先生が好まれたようなロマンチシズムのある詩や物語,古典も忘れたくありません。そして,2009年に亡くなられた笹田巌さんが追求されていたcritical thinkingを涵養する英語教育でありたいと思います。★田中渡さんの投稿された文章: 統一進度統一問題なので自主教材は使いにくいのですが、導入に自主教材が使えると思い、授業の一部に取り入れてみました。英語Iは桐原書店のWORLD TRECKという教科書を用いていますが、第3課はカンボジアの子どもたちに学校を寄付するために立ち上がった高校生の達の話しのレッスンでした。 そこで、レッスンの導入で以下のような自主教材を作り、内容についての発問を行いました。 Civil War in CambodiaIn 1976, Pol Pot's group held reins of government.Within the 3 years and 8 months of its regime it killed more than 1 million people.They killed people who had great influence over the citizen.Scholars, school teachers, doctors, government officials, priests, actors, and students overseas were killed....以下省略...発問1.「どんな人たちが殺されたの?」 生徒の答え→学者・先生・お医者さん・政府の役人・牧師さん・俳優さん・海外の留学生発問2.「なんでそのような人たちが殺されなきゃならなかったの?」 2.についての答えはいろいろ出てきましたが、「3行目を訳せば答えがわかるよ」と言って、people who had great influence over the citizen を私が読み上げると、ある生徒がinfluenceを聞いて、「インフルエンザ?」と言ったので、「そうそう。いいことに気付いたね。influenzaは感染力の大きな伝染病だよね。influence「影響を及ぼす」力の大きな病気だからinfluenzaと言うんだ。「人々に大きな影響力を持っていた人たちだったから殺されたんだ。」と語りました。Let’s get rid of landmines from Cambodia to build schools From 1975 to 1979 Pol Pot regime that ruled Cambodia banned school education and killed many school teachers.So in Cambodia to educate school teachers and rebuild schools is a big problem....以下省略...発問1.「カンボジアではポルポト派はなぜ学校教育を禁じたと思う?」 と問い、生徒に考えさせ、いろいろ答えさせた後で、「みんなが学校で勉強をして、頭が良くなると、間違った政治を批判するようになって、自分達が支配しにくくなるからだよ。」と話し、 「国民が頭が良くならない方が独裁者は支配しやすいんだ。だからみんなは学校でしっかり勉強して、もし国を治める人たちが間違ったことをやったら、それを批判できる賢い人間にならなくっちゃだめなんだよ。」といった話しをしました。