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2011年9月2日(金)付で、フジテレビは「皆様へ」と称し、フジテレビに対して寄せられている一連の疑惑に対する反論を掲載している。記載されているのは、 1.「フジ・メディア・ホールディングスの外国人持ち株比率について」 2.「編成方針および番組制作について」 3.「スポーツ中継の表彰式の放送について」 4.「FIFA主催のサッカー中継における表記について」 の四項目だ(1.~4.のナンバリングは新宿会計士による)。このうち、「2.」~「4.」については、恐らく他のブロガーの皆様が説明をしていると思うので、当職は自分の専門分野である金融商品取引法に照らして、「1.」に焦点を絞って、フジテレビの説明を解釈したいと思う。 フジテレビは、「認定放送持株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は、放送法により、外国人株主の議決権比率が20%未満であることが定められています。この制限は、議決権保有が確定していない<株式保有者の比率制限>ではなく<議決権を有する株主の比率制限>です。」とした上で、「ただし、議決権を持たなくても、売買差益及び配当を目的として株式を保有することは自由であり、法的な制限は加えられておりません。」と記載。その上で、外国人株主が20%を超えないように、株主名簿の書き換えを拒んでいると説明している。また、フジ・メディア・ホールディングスの2011年3月期有価証券報告書「第4【提出会社の状況】1(6)【所有者別状況】」欄を見ると、外国法人等の保有割合が19.5%と記載されており、欄外に「「個人その他」の欄の「所有株式数」及び「所有株式数の割合」には、放送法に基づき名義書換を拒否した株式(外国人持株調整株式)230,304株が含まれております。」と記載されている。つまり、外国人が保有するフジ・メディア・ホールディング株式の総数は、発行済株式総数のおよそ30%だ。 しかし、一連のフジテレビの説明文は「放送法第93条第1項第6号ホ」及び「放送法施行規則(昭和二十五年六月三十日電波監理委員会規則第十号)第62条第1項」の記載を完全に説明したものとなっていない。というのも、株式の保有については、 ・外国人による直接保有 ・外国人による間接保有 の両者を合算しなければならないからだ。「放送法施行規則」(以下「総務省令」)第62条第1項の記載は、 ・その放送局の株主が日本の会社だったとしても、その日本法人の外国人株主比率が10%を超える場合には、その比率を乗じたものが、外国人保有比率に換算される ・株主が日本法人だったとしても、外国人株主比率が過半数の場合は、その全体が外国人保有比率に換算される と記載されている。従って、有価証券報告書上の「外国法人等」のカテゴリーが20%未満であったとしても、株主である日本の法人等(金融機関とあわせて51.9%)のうち、仮に外国人保有比率が10%である法人の持株比率が5%を超えていれば、先ほどの有価証券報告書の記載は「虚偽記載」ということになり、フジテレビは放送免許剥奪事由に該当することになる。 もっとも、フジテレビが有価証券報告書の「外国人比率」の記載に、間接保有比率を加算しているかどうかについては、有価証券報告書上は必ずしも明らかではないが…。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 残念ながらフジテレビの視聴者向けの説明文は、ネット市民の怒りを鎮めるものとはなっていない。本稿執筆時点で、YOUTUBEのフジテレビチャンネルに付されたコメントの数は、既に54万件近くに達している。フジテレビは、最も敵に回したくない個人の視聴者を敵に回してしまったのだ。
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