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▼鈴置高史編集委員の「早読み深読み朝鮮半島」▼ 新宿会計士は普段、日本経済新聞のことを手厳しく批判する。昨日も日経の消費増税を巡る報道姿勢を批判したばかりだ(詳しくは「消費税増税と「財政破綻議論」の前提~専門知識の基礎 2013/08/31(土)号~」を参照されたい)。ところが、日経の中でも当職が非常に尊敬し、参考にさせていただく編集委員も存在する。当ブログでもしばしば紹介している鈴置高史編集委員だ。鈴置先生のネットでのコラム「早読み深読み朝鮮半島」には、その分析の精緻さに、いつも驚かされてばかりだ。そんなコラムの最新号が、日経ビジネスに掲載されている。 ―――2013年8月29日(木)付 日経ビジネスオンラインより 内容は会員登録(現在は無料)をしなければ読めないが、鈴置氏のコラムを読むためだけに会員登録をする価値はある。もっとも、日経の他のコンテンツがあまりにも下らないので、コンテンツが有料となった場合は、当職も会員登録をやめてしまうかもしれないが…(笑) ▼鈴置氏「中国の心理戦に揺れる韓国の二股外交」▼ さて、今回のコンテンツ、副題が「中国の心理戦に揺れる韓国の二股外交」である。鈴置氏のコンテンツを紹介する前提として、これまでの韓国外交の軌跡を確認しておこう。 韓国は現在、日米を中心とする「海洋勢力」の一員として留まるのか、それとも長年の伝統に従い、中華属国に戻ろうとしているのか、その両極端で揺れている。そして、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が成立して以来、米中両国間での「バランサー外交」(ないしは二股外交)という外交姿勢が一層明確になってきた。朴大統領は就任後、韓国の外交慣例に従い、初の外遊先に米国を選んだ。しかし、米国の次の訪問先としては、外交慣例を破り、日本ではなく中国を選んだのだ。これによって、韓国の政府や民間知識人、マス・メディアなどは、「歴史を反省しない日本ではなく、これからは中国を重視する」という朴政権の姿勢を絶賛。韓国内では、6月の朴大統領による訪中は大成功だったと位置付けられている模様だ。 鈴置氏のコンテンツを読む上では、こうした文脈を踏まえておくと、より一層理解が深まるだろう。鈴置氏は前回(「韓国軍「離米」に最後の抵抗」、2013年8月1日(木)付日経ビジネスオンライン)、韓国内で急速に進行する対中傾斜に対する抵抗が見られるとしていたが、今回のコラムでも中国側による外交攻勢に対し、韓国内で警戒が強まっている様子が指摘されている。そして、―――身も蓋もない言い方だが―――、鈴置氏は、韓国に「『好き嫌い』を言える国力はない」と指摘している。 「日増しに高まる力を見せつけながら、韓国を勢力圏に引き込もうとする中国人。属国に戻ることへの恐怖を漏らす韓国人。(中略)しかし、ひとつ確実なことがある。韓国は、好き嫌いで国の針路を決められるほどの国力も、地政学的位置も持たないことだ」(鈴置氏コラムより)。なお、今回のコラムも力作であり、ウェブページ数で6ページにもわたる膨大な文章量ではあるが、地政学に興味のある方は、日経に会員登録してでも、是非これを読んで頂きたい。 ▼日本人の対韓感情の変化▼ ところで、我々一般の日本人の間では、「韓国」といえば「近くて遠い国」だった。日本領だった朝鮮半島は1945年の敗戦により、38度線で南北に分断され、1948年にそれぞれ政府が成立。朝鮮戦争により分断が固定化されたが、米国の同盟国である南朝鮮(韓国)は強硬な反日政策により国民を纏め上げた。ただ、その後1965年に朴正煕(ぼく・せいき)政権は日本との間で日韓基本条約を締結。一旦は国としての反日を収束させることとした。 しかし、韓国では北朝鮮との軍事的緊張関係という状況の下で、軍事独裁政権が1980年代まで続いていた。その北朝鮮といえば、金日成(きん・にっせい)国家主席の元で国際的なテロ活動が相次いでいたし、日本海では日本の漁船民を拉致・殺害し、さらには日本国内の日本人の若者を北朝鮮に拉致するなどの卑劣な犯罪行為を繰り広げていた。 さらに日本国内では、戦後、在日朝鮮人による警察署襲撃事件に加え、朝鮮人の不法入国が続いた(※ちなみに現在の在日韓国・朝鮮人は戦時中に強制徴用で日本に連れてこられた人々ではない。戦中から日本にやって来た朝鮮人や、戦後に不法入国した朝鮮人とその子孫である)。必然的に、日本人の対韓国・朝鮮感情は、良いものではなかったのだ。 この状況に変化が生じたのは、韓国の民主化以降だ。1990年代以降は韓国が民主化したことに加え、日本で朝日新聞が従軍慰安婦問題を報じた事を契機に、日本人の間で「過去に日本人は韓国に対して悪い事をした」「現在の韓国は友好的な国だ」「日本は過去の行いを韓国に謝罪し、韓国とともに未来志向の関係を築いていくべきだ」といった認識が、1990年代後半以降は急速に共有され始めたのだ。 ところで、こうした状況にも関わらず、2002年の日韓ワールドカップを契機に、日本人の間で韓国に対する疑問が復活。これに続き、日本政府が韓国人に対する観光ビザの免除プログラムを導入したことや、「韓国ドラマ」が全国的に大流行したことで韓流ブームが広まったことで、日韓両国人の直接交流が増大。その結果、日本人には草の根レベルで根強い反韓感情(というよりも韓国人に対する嫌悪感)が広まったのではないかと思う。こうした経緯を踏まえていない人間が記事を書くと、次のようにアサッテでトンチンカンなものが出来上がる。 ―――2013/08/31 10:03付 msn産経ニュースより この韓国人は、日本人の間で「日韓関係が全く改善されないことへの失望と焦りが広がっている」と述べているが、日本人の一人としては非常に違和感のある記載だ。大部分の日本人は、「日韓関係が全く改善されないことを、むしろ歓迎している」というのが正しいのではないだろうか? ▼韓国が利用してきた「反日カード」とその代償▼ どうして日本人の対韓感情がここまで悪化したのだろうか?その最大の理由は、他ならぬ韓国側が、反日を便利なカードとして使ってきたからだ。軍事独裁政権下では国民感情統一の、最近の政権は米中二股外交の言い訳の、それぞれ言い訳として、反日が利用されてきたのである。 韓国人は、こう言い訳するかもしれない―――「韓国内の反日は、時の政権が政治的な都合で鼓舞してきたものであり、大部分の韓国人は日本が好きだ。日本人が過去の歴史をきちんと反省し、謝罪さえしてくれれば、韓日友好の障壁は取り除かれる。ただ、日本人が歴史を踏まえず、近隣の人々の心を踏みにじるならば、韓国は日本を捨て、中国に傾斜するだろう」、と。 しかし、日本人側は、度重なる草の根レベルでの韓国人の狼藉に、疲弊しているのである。韓国による日本に対する謝罪・賠償要求は、遂に韓国の司法が日韓基本条約に反してまで、日本企業に戦時賠償を命じるという非常識かつ国際法違反の判決を下した。そして、それに何の疑問も抱かない韓国人の有識者やマスコミ関係者たち。 現在の日本の「反韓感情」は、「極右の安倍政権」が振興したもでもなければ「一部の右翼的な日本人」のせいでもないし、あるいは「韓国の朴政権が反日政策を進めている」のせいでもない。日本人から自然発生的に湧き上がってきたものである。日本人の嫌韓感情は、草の根レベルに染み付いており、もはや修復は不可能なのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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