民宿岡山の牛窓からフェリーで5分、瀬戸内海にある小さな島。ここの民宿で、食い物が非常に良さそうだと連れが見つけた宿。
田舎の小さな民宿だが、飯が素晴らしかった。
確かに「海の幸たらふくプラン」という一番高いプランにはしたのだが、今まで行った"海の幸を自慢"する宿の中でダントツのトップ。魚類が本当に旨かった。
料理が、シロウト料理の良さとプロの料理の良さをミックスした感じ。背伸びしていなくて、素晴らしい。
魚は新鮮で材料としても良いが、例えば小さめのカサゴが何種類もの調理法で出てくる。それぞれが美味しくて飽きないが、材料としては安いもの。大抵の海鮮料理では、このような材料は皿数合わせ程度に粗末に扱って、もっと単価の高いものを使おうとする。しかしここは違って、小さいが新鮮なメバルやカサゴを丁寧に調理して美味しく出してくれる。揚げたり煮たり、それぞれ美味しくて飽きない。
刺し盛にはヒラメ、蛸、牡蠣や鯛、ボタン海老が載っていて文字通り盛り沢山。
これ、旨かった。今時は流通の技術が進んで、活魚もかなり良い状態で運んでいる。加えて、養殖技術も発達しているから、見た目は非常に程度の良い魚を喰えるようになった。でも喰ってみると、養殖で味が薄かったり、身が緩んでいたり、ひどいのは新鮮さを保つための薬品を感じたりする。だから、このような見た目の料理には全く魅力を感じなくなっている。ところが、ところが。今回は本当に旨い。鯛や平目を旨いと思ったのは何年振りだろうか。旨みがあってとても美味しい。

カワハギのタレ焼き。見た目はよくある美味しくない「味醂焼き」のようだったが、これがかなり美味しくって驚いた。酒にも米にも合う。こういう皿は大抵残すのだが、全部食べてしまった。同じ皿に添えてあった大根は蟹のむき身を混ぜた甘辛餡の生姜煮にしてあって非常に旨い。カサゴの煮たのも姿が美しいし旨かった。


イゲスという郷土料理。海草を糠で煮るらしい。テングサか?これには茹でたブロッコリーと菜の花、蛸が添えてあった。

好物の牡蠣は、生牡蠣、殻のままの蒸し牡蠣、牡蠣フライ。
塩焼きのチヌも、魚自体の味が非常に強くて美味しかった。


他には、茹でたシャコ&ワタリガニ、柔らかいナマコ酢、南蛮にした鯖の切り身にナマス、
唯一の難は、量が多すぎること。これまでで始めてくらい一生懸命に食べたが、流石に少し残してしまった。
残した分、持って帰って来たかった。
翌日、朝飯は軽めで、メインのオカズは晩飯の刺身の鯛の頭を焼いてある。これがまた旨いのだが、量の多い晩飯の後に軽めにしてあること、あと材料的には実はシンプルで、さらに感心した。
他には、ハムサラダ、旨いが凄くショッパイ小海老の塩辛、焼き鮭、小さなポテトコロッケ、納豆、漬け物、干海苔、生卵。あと味噌汁。全て旨いが、本当に少しずつ。
少しずつなのだが、それぞれの質がかなり高い。

貸切状態だったこともあったが、本当に素晴らしい宿だった。料理に加えて、この田舎のノンビリ感や部屋からすぐに広がる海の景色も非常に良い。国内の民宿や旅館に泊まって、帰るときにまた来たいと思ったのは初めてかもしれない。
次回はもっとノンビリするために、釣竿も持ってくるか。
天気の良くなった浜へ出たら、海が素晴らしく綺麗だった。
