深夜魚

2006/09/03(日)12:52

東京-奇-人 ~月、あるいは月

東京-奇-人(71)

缶コーヒーを片手に うつむき加減に歩く街の夜 背中の向こうに広がる空を 心の内に思い浮かべる 檸檬のような月に 秋雲の漣が打ち寄せる コーヒーをひと思いに飲み干して振り返れば 思い浮かべたよりもはるかに幽玄な月夜空 別世界が空を覆ったような様子に心打たれ 塑像のように立ちすくみ しばらくは虫の音も聞こえず 雲の波の月に砕ける音ばかりが 耳の奥に響いていた

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