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Channel Shinzo しんぞうチャンネル

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2009.02.12
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その日は、英国の南海岸独特の西南からの季節風がコーンワル半島の英国南部最大の
港町プリマス港を被っていたに違いない。
まだクリスマス気分が抜け切らない12月27日のことだ。例年に比べて特に寒気が
強い日ではあったが、22歳のチャールズは英国海軍所属の測量船ビーグル号の甲板
の上で、これからの未知の世界への旅立ちへの興奮から身体は火照り、見送りの桟橋
からにこやかに手を振っているケンブリッジ大学の恩師のジョン・ヘンズロー教授の
横で、最後までこの航海に反対をしていた父ロバート・ダーウィンの不安げな顔も朧
げにしか見えていない。
出航の汽笛を指示しながらロバート・フィツロイ船長は航海日誌に1831年12月
27日の最初のページにシップスログをしたため始めた。
これが3年間の予定が5年にも渡る探究の旅となり、後、世界の生物学の革命的理論
が生み出される船出になろうとは、その本人であるチャールズ・ダーウィンにとって
も想像も出来なかった。
故郷のシュロップシャー州シュルーズベリーの寄宿舎校で学んだ後、16歳でエジン
バラ大学で父が勧めた医学部に進んだが学風や授業に馴染めず、2年後の1827年
に英国国教会の牧師を養成するキリスト教大学のケンブリッジ大学へ移った。
エジンバラ時代も医学より「昆虫採集」や、「動物の剥製製作」や、「海生生物の観
察」など自然科学に興味が引かれる学性生活であった。そのような青年にとってケン
ブリッジで植物学・鉱物学の権威であったヘンズロー教授との出会いもある意味をお
いて必然であったのかも知れない。
そのヘンズロー教授の紹介でフィツロイ船長のビーグル号の博物学者の卵として乗船
を推薦された経緯がある。
この時期のチャールズにとって、この航海を志望するどのような理由があったのだろ
うか。
基本的には聖職者教育を受けた学生生活を無駄にし、遭難が多いことで有名な小型な
ブリッグ船での世界一周の航海に、なにかの未来が見えたのだろうか。
出航したビーグル号は大西洋を南下し、アフリカ西海岸を経由、南アメリカ東岸を南
下、リオデジャネイロに至る。生物の研究以外にもヘンズロー教授に受けた鉱物学を
活かした地質学ための内陸部への調査も頻繁に行っている。
マゼラン海峡を通過して南米大陸をほぼ4分の3周して西岸のバルパライソに寄港、
また1年2ヶ月を要して1835年9月15日、ガラパゴス諸島のチャタム島に着い
た。このガラパゴスでの滞在期間は意外と短く約1ヶ月であった。この島での鳥やカ
メなどの生物の観察が後世の偉業の出発点となる。しかし上陸後の初期段階は生物の
現況の観察採集が主で「変化」の兆しを読み取ることは出来なかったようだ。
しかし、囚人の流刑地であったこの諸島を管理する総督からの、島々での生物の多様
性についての示唆によってついに「新しい生物学」が発芽した。
26歳の青年にとってのこの島でのたった40日間の体験は、たぶん人生に1度しか
ないチャンスだったのだろう。
その年の年末に大平洋を横切りニュージーランド、翌年の1836年の1月にオース
トラリアのシドニーに寄港し、インド洋を横断。アフリカ最南端のケープタウンを越
えて再び南米のバイーヤに至り、往路を逆に辿るコースで最終航行の後、1836年
10月2日に出発港のプリマスより南西へ70キロほど下った小さな港町ファルマス
港に無事帰港した。
ガラパゴス諸島でのエピソードや、帰国後の「ビーグル号の航海記」や、すべての生
物種は共通の祖先から進化したという、いわゆる進化論を説いた「自然選択説」によ
る「種の起原」などの多大な業績に関しては、多くを語る必要はないであろう。
後日論的な後世での評価は、どのような分野でも多々あり、その成果を論じても切り
がない。
この時代ではたぶん長寿の部類に入るであろう73歳の人生を方眼紙的に区切れば、
今まで単一にしか見てなかった彼の人生の節々や業績がもっと浮かび上がってくるに
違いない。
しかし、やはり22歳の卒業間もない青年が、自分の意志で「ビーグル号」という船
に乗ったことが、すべてを語っているように思う。
これが「ダーウィン」らしさの出発点だ。
1809年2月12日、今から200年前の今日、産声をあげたチャールズ・ダーウ
ィンの物語り。






Last updated  2009.03.03 09:40:32
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Re:1)ダーウィンという概念(02/12)   春うらら さん
当たり前になっているダーウインの名だが案外よく
知ってなかった。あらためて興味がわき・・
人は理屈ぬきの直観に駆り立てられることがある。それはあるいみ神の啓示かもしれないから、その直感を大切にしたがいいのではと。彼のように・・・ (2009.02.13 09:02:11)

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匿名。@ Re:福岡デザイン専門学校の卒業制作展のごあんない(02/06) コメントが少ないようだが 都合の悪いコメ…
Kimiko@ Re:デンマーク北欧マンス(10/22) ポスター展行きました。感動しました。 …
春うらら@ Re:1)ダーウィンという概念(02/12) 当たり前になっているダーウインの名だが…
kwhats@ Re:転倒の顛末(12/14) 気をつけてくださいね。 まだまだ長生き…
模索のひと@ Re:寄り道の楽しみ(04/23) 人生の醍醐味は、寄り道にある

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