2009/08/26(水)17:09
原子力発電所の見学
先日、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の見学に行ってきました。
昨年もこの時期に行ったので、今回で二回目となります。
個人資格ではなく、某団体の一員として参加した為、一般人では見られないような場所まで見る事が出来ました。
特に原子炉の近く(正確には原子炉格納容器内)まで入れた事は、なかなか出来ない経験かと思います。
発電所に着いてまず驚くのは敷地の広さ。
東京ドーム90個分、ディズニーランド5個分との事で、見渡す限り発電所の敷地です。
それくらい広くないと微量ながらも人体に影響のある放射線が飛んでいく、という事のようです。
敷地内へ入るためのチェックも厳しいです。
事前と当日現地での身分確認、金属探知ゲートの通過やカードキーなど、何重ものチェックがありました。
また、所内での移動中も複数の同行職員によって常に人数を数えられ、団体から途中で抜け出す事も出来ません。
これだけやっていれば怪しい人間が内部へ侵入する事はなかなか難しいでしょう。
そういえば、敷地内を徒歩で移動中、外から来た車がゲート前で検査を受けているのを見かけました。
数人の警備員が車に近づいて検査し、別の数人は数メートル離れた場所から監視。
近づいた警備員の一人は棒の先にミラーがついた道具で車の下もチェックしていました。
物々しい光景ですが、これはどの車に対しても行われる通常の検査との事でした。
とは言え、私は遠目だったので「ああ、映画で見た光景だなぁ」などとホノボノ(?)と眺めていました。
何重ものチェックの後、原子炉建屋へ入る訳ですが、その前に手袋と靴下に靴まで専用の物に履き替えます。
専用と言ってもモノはただのニット製品で、使用後は所定の方法で廃棄(使い捨て)するそうです。
また、ポケベルのような機械も渡されます。
これは放射線が当たると「ピッ!」と電子音が鳴って、放射線量を表示します。
原子炉建屋の中は地上部分は割と普通な感じで、どこかの会社の中のような感じです。
サテライト会議室という部屋もあって、さすが全国チェーン(?)だと思いました。
エレベータを下へ降りて地下に着きました。
しばらく通路を歩いていると、案内係の人がエレベーターのようなドアを開け、私達を中へ入れました。
中は8畳くらいの狭い部屋で、正面にはまた別のエレベーターのようなドアがありました。
一行の最後列にいる案内係の人が後ろのドアを閉めて「後部ドアよし!」と声をかけると、前にいた係の人が「前部ドア開けよし!」と言ってドアを開けました。
ドアの先は原子炉容器のすぐ外の区画です。
その狭い部屋はエアロックで、放射線が外へ逃げないようにするものでした。
この辺りから雰囲気は会社風から機関区っぽくガラっと変わります。
またしばらく歩くと大きな丸いトンネルの前に来ました。
原子炉容器の入口(点検用ハッチ)です。
容器といっても台所のタッパーとは違って原子炉が入ってる容器です。
その高さは地下4フロア程はぶち抜きで、入口ハッチは直径3~4メートル程もあります。
脇の方に巨大なハッチの蓋があり、それを見てトンネルではなくハッチだと実感出来ました。
ちなみに、容器の形は大きな釣鐘orマトリョーシカ人形のようなカンジです。
ハッチはその横っ腹にあります。
マトリョーシカの頭のてっぺんにも別のハッチがあり、これは燃料棒というウラン燃料を詰め込んだ角柱ケースを出し入れするためのもの。
マトリョーシカなら中から一回り小さなマトリョーシカが現れますが、原子炉ともなるとなかなか剣呑なブツが出てきます。
原子炉容器の中はうす暗く、でっかいパイプやらバルブやら機械やらで一杯です。
それらの合い間に狭い通路と階段があり、場所によってはカニ歩きになったりかがんで歩くようです。
工業用とはいえもう少し余裕のある設計にすればと思いましたが、そのエリアは稼働中には窒素ガスを封入してあると聞いて、ここが原子炉容器内=機械の内部だと妙に納得しました。
コンクリの壁の向こうはもう原子炉ですしね。
私の感じた原子炉容器内の雰囲気としては、上記のような通路を靴音カンカン鳴らして歩くあたり、ちょっとした潜水艦映画のようです。
あるいは映画「エイリアン」の宇宙船の中のような? (パイプの隙間からエイリアンがグバァ!!……みたいな)
これが映画なら、私の横には金髪の美女がムフフ(はぁと ……なのですが、現実は残念ながら苦虫を噛み潰しまくったオッサンがいるだけです。
ロマンスの神様も原発と同様に運転中止しているようです(謎
余談ですが、昨年はこの原子炉容器内で放射線測定器(前述のポケベル状の機械)が3~4回くらい鳴りました。
しかし今年はなんと0回でした。
昨年と違って今年は完全に停止していてウラン燃料もなかった為のようです。
……とまあ内部はこんなカンジです。
写真をUPしたいところですが、内部は撮影NGだったのでホントに残念です。
ところで、原子力発電ってどうやって発電しているか、みなさんご存知ですか?
私は「核反応でバーンっと電気が出来る」などと漠然と間違ったイメージを持っていました。
原子力発電の内容を簡単に書くとこのようになります。
1.ウランに中性子を当てる
↓
2.核分裂を起こす
↓
3.分裂時に熱が生じる
↓
4.その熱でお湯を沸かす
↓
5.蒸気で発電機のタービン(羽根車)を回す
↓
6.電気ができる
私の持っていたイメージでは、2と6しかなかった訳です。
ちなみに、火力発電だと1~3の代わりに石油等の燃料を燃やして熱を作り、あとは上記の4~6の工程は一緒だそうです。
厳密には蒸気やタービンにも違いがあるそうですが、一般的には工程は一緒と考えても大丈夫との事。
原子力でも火力でも、目的はお湯を沸かすための熱を作る事だったのにはかなりの驚きでした。
ならば安全な火力発電だけでいいじゃん! となりますが、発電効率にかなりの差があるので、原子力を使おうという訳です。
余談ですが、もらった資料にはこうありました。
100万キロワット級(およそ原子力発電所1基分)の発電所を1年間運転するために必要な燃料
【濃縮ウラン】 21t 10tトラック2.1台分
【石 油】 146万t 30万tタンカー4.9隻分
(出典:資源エネルギー庁「原子力2008」)
見た目だけでも結構な差がありますよね。
他にもメリットが多くあるので、それだけ見ると原子力発電で決まりです。
しかし、万が一のリスクがあまりにも大きい点や、最終廃棄場所未決定の問題もあり、原子力発電に対する是非が大きく分かれる訳です。
さて、原子力発電の是非について。
これは様々な考え方があると思います。
世代の差や、立場の違いでも大きく変わるでしょう。
私は昨年と今年の二回の原発見学を経て、考え方も当初に比べかなり深まりました。
ここで書くと1カ月分のブログに相当しそうな量なので割愛(?)しますが。
とりあえず原発の是非はさて置き。
ぜひ皆さんも原子力発電に対する知識を深める事をお薦めします。
一般人(個人)でも原子力発電所の見学は可能なので、出来れば一回は原発に足を運んでみてはいかがでしょうか。(要事前申込)
そして原子力発電の長所短所を正しく理解し、その上で原子力発電の是非を決める事が出来ればと思います。
私もまだまだ勉強しなければと思います。
柏崎刈羽原子力発電所HP
http://www.tepco.co.jp/nu/kk-np/index-j.html
(見学についてはトップページ右下の「発電所見学のご案内」参照)
さて、いかがでしたでしょうか
このHPは人気blogランキングへ登録しています
いまは??位あたりにいます
お楽しみ頂けたらぜひクリックして下さいね^^