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Shionの部屋

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2007/05/16
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新緑の緑が美しい4月下旬~5月初旬。

メタセコイヤ.JPG


この時期は、前年の秋から冬にかけて落葉し、
さむざむとした枝ばかりの姿をさらしていた落葉樹の木々が眠りから目覚め、
その枝に新たなみずみずしい葉を生み出す季節です。

常緑樹の森は春の初め、
生まれたばかりの若芽たちの柔らかな乳白色におおわれ、
まるで森全体があわい霞に包まれたように見えます。
その後、木々は次第にその葉を成長させ、
森の色を白から黄色、黄緑色、そしてうす緑から緑色へと変化させてゆくのです。

森に生きている木々の種類はさまざまですが、
この芽吹きの季節ばかりはどの木も足並みを揃えて萌え出で、
おおむね同じような過程を経て色付き、壮大な緑色の森を形成してゆくようです。


GW里森5.JPG


そんな若葉が美しいこの季節、私の家の近くに、
なぜか葉を赤く色付かせ落葉する木があります。

楠(クスノキ)という木です。

楠は常緑樹。
冬でもその枝にたっぷりと緑の葉を茂らせています。
他の木々が貧弱な丸裸の枝にやっと若葉を芽吹かせようとしている春先にも、
私は常緑樹だから関係ないよ、と知らん顔をしているように見えます。

しかし多くの木々の若芽たちが伸び、立派な緑色の葉に育つこの初夏に、
楠は突然のようにその大木に茂らせた葉を紅葉させ、ぱらぱらと落とし始めます。

その期間はたいへん短く、あっというまに楠の下はその落ち葉でいっぱいになります。


(↓落葉直前の楠。葉が一部赤く変色している。)

クスノキ2.JPG


実はこの季節外れの落葉が始まる直前、楠はある準備をしています。

彼らは人間が桜などの春の美しい花々に気をとられている頃、
ひそかに新しい葉を芽吹かせ、育み、新旧交代のタイミングを狙っているのです。

楠は落とすと決めたらいさぎよくその葉を落とします。
モミジやケヤキなどの秋の落ち葉に比べると、まだ十分に使えそうな、
みずみずしい、生に近いような葉を、惜しみなくどんどん落としてしまうのです。

彼らが、彼らの特別な落葉の時期にあわせて静かに育てていた若い芽は、
この暖かい季候と陽気な日差しの助けで、僅かな時間で効率よく大きくなっています。
そのため楠は古い葉を落としてしまっても貧相になることもなく、
「常緑」のイメージを保ったまま、実にさりげなく、
新旧交代を果たすことができるのです。

この初夏という季節に落葉する木ですが、
私は自分の家の周辺では楠しか見たことがありませんでした。
ですから私はずっと、楠は特別な木だ、と思っていたのです。

しかしよくよく調べてみましたら、他にもいくつか初夏に落葉をする樹木があり、
それらは5月の季語として「常磐木落葉(ときわぎらくよう)」という言葉で
これまでその存在を歌に詠まれてきたりしたようでした。
(「常磐木(ときわぎ)」とは常緑樹のこと。)
また、この楠の初夏の落葉も「楠落葉」という言葉で、
古くから5月の季語になっていました。


私はこの楠の特別な落葉のかたちを、
現在の住まいに引っ越して身近な木として見るようになるまで知りませんでした。
楠が近所にたくさん見られる今の家に住んでからは、
毎年なにげなくこの落葉を見てきたのですが・・
今年は彼らの特別な生き方について少し調べてみよう、と思いました。

で、一生懸命調べてみたのですが。
図鑑やHPで調べた楠のデータはどれも同じ(当たり前ですね・笑)。
特に彼らがこの時期に好んで落葉する意味を
解説した資料には、出会えませんでした。

しかしあれこれ調べることによって、
身近で何でも知っているような気がしていたこの楠という木の、
それまで知らなかった面をたくさん知ることができ、
調べたことはとても大きな収穫がありました。


四つ葉 四つ葉 四つ葉 四つ葉 四つ葉


ここから先は私の予想というか、想像になるのですが・・

楠などの常緑樹がどうしてこの初夏に落葉するのかということの理由について、
私は、彼らの「エネルギーの配分」の問題なんじゃないかな、と思いました。

落葉樹は日差しが強い春・夏という季節には活発に葉を茂らせ活動しますが、
秋に日差しが弱くなれば葉を落とし、冬には休眠に近い状態に入ります。
そして落葉樹は植物が生きるのには不利な寒い季節のあいだは
エネルギーを使わず、じっくりと水を吸い上げ、
暖かい春に向けてまた一気に「生」のエネルギーを爆発させます。

しかし常緑樹は暖かい季節も、そうでない季節も、
常にその葉を同じコンディションに保って維持していかなければなりません。
この常緑樹の生きかたは一見なにげないことのように見えるけど、
実は落葉樹の生きかたに比べると、
コンスタントにエネルギーが必要なことなんじゃないだろうか、と思いました。

だから彼らは、とても暖かく、他の木々がじゅうぶんに育って
地中の水の取り合いをしなくても良い初夏になってから、
その葉を入れ替えるのではないか、と私は思いました。

春先に比べたら初夏は日差しが強く、気温も高くなりますし、日照時間も長くなります。
乾燥した真冬に芽吹きの準備をするのに比べたら、
菜種梅雨やたけのこ梅雨のおかげで、地中の水も豊富でしょう。
たぶん彼らは少しのエネルギーと短い期間で
葉の総入れ替えをやりとげることができると思うのです。

楠やその他の常磐木の「初夏の落葉」は、
年間を通して葉を落とさず生きていく彼らが、
もっとも少ないエネルギーで、
効率的に新陳代謝をしながら生きる知恵なのではないだろうか・・

これがこの数日、散歩のたびに楠を見上げて
つらつら考えてきたことの、私なりの結論です。

いつか、木の専門家にお話を聞けたら、
この件について真相を聞いてみたいです。




(↓新しい葉に衣替えした、初夏の楠。この新緑の緑色は、私の大好きな色です。)

クスノキ3.JPG




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Last updated  2015/04/03 07:10:05 AM
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カナダにお住まいですか??   yasukohatensi さん
あまりに美しい森に「カナダにお住まいですか?」と
画面に向かって問いかけました^^

近くにいろいろ街路樹はありますが、
せいぜいハナミズキとか桜とか・・花のつくものしか分からなくて・・・

常緑樹は、どれが楠なのか?分からないくらい
植物には疎いです・・

でも、えねるぎーのお話。
ちょっと楠に聞いてみいですね!!
木って長生きですよね?
GWにいった那須の遊歩道に直径が1メートルを超えるような松があって、
『この松は、那須の与一も見上げたのかしら?』
なんて思っていました・・

散り行く葉っぱにも、『まだ命がありそうな』
てところが、好きです~
潔いですね!!次の命のために・・
なかなか人間はそうは行かなくて・・・
(2007/05/16 01:00:41 PM)

おお。   べし2006 さん
写真も良いのですが、今日・・文章光ってます。
物語を読んでるみたいな。
多分感慨も大きかったのでしょうね。
初めて知りました。そんな木の存在を・・。
楠はエネルギーをたっぷり持ってる木で、しかも効率的に葉の入れ替えをしてるんですね。
若葉が育ちやすい、暖かく負担の少ない時期に、総入れ替え。
それは・・年末に大掃除をして風邪をひくよりも、ゴールデンウィークに大掃除をしようという考えに似てるような・・似てないような。 (2007/05/16 03:55:01 PM)

yasukohatensiさんへ>   しおんw さん
>あまりに美しい森に「カナダにお住まいですか?」と
>画面に向かって問いかけました^^

↑^^;ありがとうございます~。
素敵な連想ですが、我が家があるのは「超」のあとに「ド」が付くほどの田舎都市です。
でも最初の画像は日本より広い国々でよくみかける、「メタセコイヤ」という巨木ですので、なんとなく見た瞬間日本っぽくない印象がある木なのかも知れません。

>近くにいろいろ街路樹はありますが、
>せいぜいハナミズキとか桜とか・・花のつくものしか分からなくて・・・

>常緑樹は、どれが楠なのか?分からないくらい
>植物には疎いです・・

>でも、えねるぎーのお話。
>ちょっと楠に聞いてみいですね!!
>木って長生きですよね?
>GWにいった那須の遊歩道に直径が1メートルを超えるような松があって、
>『この松は、那須の与一も見上げたのかしら?』
>なんて思っていました・・

>散り行く葉っぱにも、『まだ命がありそうな』
>てところが、好きです~
>潔いですね!!次の命のために・・
>なかなか人間はそうは行かなくて・・・
-----

↑目立った花を付けない木は人の目から見る地味で、ついスルーしてしまいますよね~。
このクスノキという木の最大の特徴は、他の木には見られない、とても特殊な花の構造なんだそうです。
でもクスノキの花なんてそれこそ地味で、まじまじと顔を寄せてみたことは、さすがの私でもありませんでした。

直径1メートルもある木に出会ったのはいい思い出ですね。
私は大きな木が大好きなんですが、今住んでいるところではどれも低く刈り込まれてしまって、なかなかそういった自然の壮大さを感じることができる木に出会う機会に恵まれません。
やはり、自然がいっぱいあるところにたまには旅行したいなあー。
那須、いいですよね・・今年の夏は狙いたいです(笑)。
(2007/05/16 04:16:57 PM)

べしさんへ>   しおんw さん
>写真も良いのですが、今日・・文章光ってます。
>物語を読んでるみたいな。
>多分感慨も大きかったのでしょうね。
>初めて知りました。そんな木の存在を・・。
>楠はエネルギーをたっぷり持ってる木で、しかも効率的に葉の入れ替えをしてるんですね。
>若葉が育ちやすい、暖かく負担の少ない時期に、総入れ替え。
>それは・・年末に大掃除をして風邪をひくよりも、ゴールデンウィークに大掃除をしようという考えに似てるような・・似てないような。
-----

↑わははは!最後の一文に大笑いです!
例えるならまさにそれじゃないですか?あったかい季節の大掃除は、サクサクと進みますものね~。
さすがべしさん!(笑)

クスノキのことは、以前から気になっていて、いつかじっくり向き合って調べたいなあと思っていました。
今年はちょうど落葉する直前の、赤く色付いた葉の画像を忘れずに撮ることができたので、あまり季節外れにならないうちに、と、図鑑を引っ張り出して調べました。
私は田舎育ちなので、木々は友達のように思いながら育ちました。(←田舎過ぎて遊び友達が少なすぎだったし・・)だから木々や森には思い入れがあります。その愛が文章ににじみ出たのでしょうか?(自分では解りにくくてあまり良い文章とは思わないのですが・・。)

私が育った「ド」が付くほどの田舎の画像も、そういえば今年のGWに、たくさん撮ってきました。
あとでUPしておきます。きっとびっくりすると思いますよ。
^^;
(2007/05/16 04:32:34 PM)

べしさんの解説がわかりやすかったね   ムーミンA さん
楠について解かりました。参考までに・・竹も今落葉みたいです。もう終わりに近いですがこの季節「竹の秋」といいます。 (2007/05/16 09:40:23 PM)

ムーミンAさん>   しおんw さん
>楠について解かりました。参考までに・・竹も今落葉みたいです。もう終わりに近いですがこの季節「竹の秋」といいます。
-----

コメントありがとうございます。^^
そうですね、今は「竹の秋」と言いますよね。
この竹の秋は、タケノコが出るタイミングのあとということで、竹にとっての「新旧交代」なのでしょうか。
それとも新しいタケノコに地中の水を取られて、古い竹は水不足になるから葉が落ちるのか・・。

植物って奥が深いですね。今日は樹木の図鑑を読んでいたら、時を忘れました。
(2007/05/16 10:12:51 PM)

はじめまして   渡部悠弘 さん
突然、お邪魔します

実は楠の初夏の落葉について検索しておりまして

こちらのブログがトップでヒットしましたのでお伺いいたしました

ワタシは愛媛県のお寺の住職をしておりますが、近くの裏山に大きな楠が三~四本立っております

その裏山の清掃も管理しておる訳なんですが

今朝方、ふと他の一般的な樹木と違いこの時期に葉を落とす楠の事を調べたくなった次第でございます

ワタシのFacebookの記事で書こうと思ったのですが

参考にする資料もないので、検索していたところです

他の学術的な内容を参考にするのも良いのですが

ワタシ個人的にはShion様(でよろしかったですか?)の記事に大変共感いたしましたので

是非、この記事を基に書かせて戴きたくお願いする次第です

宜しければお返事くださいませ

yukoh.watanabe@facebook.com

(2013/06/11 04:24:17 PM)

Re:はじめまして(05/16)   しおん★☆ さん
渡部悠弘さん

初めまして。私の日記を読みに来てくださり、どうもありがとうございます。

裏山にクスノキですか!それは、羨ましいです!
あの、香りの良い葉を集めたりなさっているのですね。
私は植物学者でもなんでもないので、この日記は、あちこちの図鑑や資料をかき集めて考察したものです。
素人の文章ですが、よろしかったらご活用くださいませ。

念のため、フェイスブックのメッセージからもご連絡させていただきました。
よろしかったら、また他の自然観察日記も読みに来て下さい。
このたびはご丁寧なご連絡をありがとうございました。
(2013/06/11 07:21:06 PM)

夜分におそれいります   渡部悠弘 さん
Shionさん、快諾戴き有難うございます

Facebookのメッセージはワタシがお送りしたアドレスが違ってましたか……届いてませんね(笑)すみません

ShionさんがFacebookされてるかどうかは存じませんが

また記事をあげたらご連絡差し上げます

(2013/06/12 12:13:54 AM)

Re:夜分におそれいります(05/16)   しおん★☆ さん
渡部悠弘さん
-----

ご丁寧なご連絡を、ありがとうございました。
渡部悠弘さんというお名前で、住職の方で、植物のことをタイムラインにお書きになっている方は、フェイスブック上でひとりしかおられないのでそちらへメッセージを送っています。

調べましたら、私と渡部さんとに「つながり」がないため、通常のメッセージボックスには投函されず、「メッセージ」の中の、「その他」のファイルに私のメッセージが振り分けられているとのことです。
フェイスブックのマイページのトップの右上・「Facebook」という白い文字をクリックして、左端の目次の中から「メッセージ」を選択⇒「その他」クリック、としていくと、私のメッセがそこに振り分けられているはずです。(このコメント欄と同じような文面なので、特にチェックは要らないですが、私のフェイスブックページのありかがわかります)

私もこの「その他」のメッセージボックスの存在を長らく知らなくて(トップページに「新着メッセージが入りました」という意味のアイコンのお知らせが出ないんです、「その他」のボックスにメッセが入った場合は。)あるとき、友達に指摘されて、大量の未読メッセージを見つけました。^^;
よかったらご覧になってみて下さい。
(2013/06/12 05:22:17 AM)

渡部悠弘さん、たびたびすみません、   しおん★☆ さん
すみません、上のレスに間違いがあったので、訂正を。

>フェイスブックのマイページのトップの右上・「Facebook」という白い文字をクリックして、

と書いてしまったのですが、正しくは、

「フェイスブックのマイページのトップの
【左上】の「Facebook」という白い文字をクリック、

です。
メッセージは必ず「その他」に振り分けられて入っているはずです。
もしできましたら、日記完成のご連絡は、フェイスブック上のメッセージ機能を使って返信いただけると助かります。
(2013/06/12 02:17:59 PM)

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