konnafuna

何やら生温さに夜中に目が覚めた。

娘のおねしょで布団がびしょびしょになっていた。

何故こんなに！？

驚いて見てみると

なんと、生後3ヶ月の娘におむつをさせていなかった。

ありえない！　どんなボンミスかしら・・

ごめんねごめんねと謝りながら、娘をお風呂に入れ、布団を替えて

さあ、これで気持ちよく眠れるからね。おやすみ。
そう言って布団に入ったけれど
奇妙な時間に起きたものだからなかなか眠れない。

それに何か変な音がする。
そう思いながらも、うとうとと眠りに落ちかけた頃

それは起きた。

家が大きく揺れだして、タンスのドアが、ばたんばたんと大きく開閉する。
それまで経験した事の無い大きな揺れで
頭の中で「これって震度どれ位？5位？外に逃げた方がいいの？それとも大丈夫なものなの？」
未経験の揺れでどうしていいか分からなかった。

東西に揺れたのは幸いだった。
我が家は東西に長い作りの家で、南北だったら倒れてたかも知れないね。
元々沼地を埋め立てて建てた坂道に立つ細い家だったから地盤も緩い筈だし。

娘の誕生と同時に建てた、まだ新築と言える家は、ひびが入ってしまったけど・・

どれくらいの時間揺れていたのか、長く感じたけれど、そうでもなかったのかも知れない。
ほどなくして辺りはまっ暗になったので停電だと分かった。
ほぼ同時に隣の大きな病院が非常灯をつけたので、我が家は目がきく位には明るくなった。

階下に降りてみると、ドレッサーの化粧品がばらまかれていた位で
食器棚は無事だったし、大した事はないので明日片付ける事にした。
それぞれの実家に電話をして無事を確認した。
その後、電話は混線したらしいけど、動くのが速かったせいかするっと繋がった。

娘のおねしょ・・私のちょんぼ・・
でもそのお陰で早く動く事が出来た。

電気が戻って来たのでテレビをつけてみると、映し出されたのは

倒壊した阪神高速道路。死者1名。

うそ・・そんなことが・・・

信じられない思いでその映像を見た。
それでも死者1名とは不幸中の幸いかも知れない。
大きく揺れたのは神戸方面。
旦さんの友達が西宮に住んでいる。

朝になり友達の無事を確認する為、旦さんは友達の家に行く事にした。
こんな時に車で行けば、救急車両の邪魔になるだろうからと、
バイクに水やガスボンベ、カップヌードル等を積んで
バイクを持っている友達と連れ立って出かけて行った。

築1ヶ月だった友達の家は無事だった。
でも友達の隣の家は古く、朝には家の形をしていなかったそうだ。

私の住む地域は震度5強とされた。
それでも全壊している家はあった。

お互い新築の家が傷んでしまったけど、そのお陰で無事ですんだと思う事にしよう・・

帰って来た旦さんの話では、それはもう酷い有様で、
大阪ガスに勤めていたその友達は、自分の家の事そっちのけで
ライフラインの復旧の為に、それから何日も家には帰って来なかった。

ニュースでは次々に死者の数が増えて行き
それがとてつもない大災害だと分かる映像が流れて来ていた。

それでもまだ、人々が活動を始める時間前だったのでましだ。
ライフラインが動き始めていたら、もっと大変な事になっていたと思う。

大阪で1人暮らしをしていた妹が、ドアが歪んでしまって家に閉じ込められたが
なんとか脱出できたらしい。

それからはうちの旦さんも連日遅くなった。
保険関係の仕事をしていた為、保障に走り回る事になった。

テレビでは自衛隊が動けないと言っていた。

そんな・・・

現地入りしているのに、首相からの命令が下らない為に動けないのだと。
当時の社会党村山総理だ。

テレビでは呑気そうな彼が映し出されていた。
何の話だったか・・・
こんな大変な中、彼は震災とは何も関係ない事を語っていて
「え？地震？へ～。興味な～い。」みたいな雰囲気だった。

しびれを切らした自衛隊のある部隊が、命令発動を待たずに救助を始めた。

よかった。規律は守らなくてはいけないものかも知れない。
だけど何が何より大切なのかは、自分で判断するべきだ。
この判断が責められるのであれば、日本なんか終わりだ。

私は村山総理に対し憎悪を募らせていた。
2度と社会党なんか信用しない。

そう思った。

社会党・・今の民主党、社民党。

彼らの様な、自衛隊が嫌いなだけで、動かしたくなくて、その理屈の為に、人の命を犠牲に出来る様な人々は
先日も事件があったけど、親の宗教の為に病気の子供を病院に連れて行かずに
手をかざしただけで治せると信じて見殺しにした
馬鹿な信者と同じだ。

去年の政権交代は悲しかった。
もうみんな忘れてしまってる？

あの時の社会党の有りようを・・

私は忘れない。
あの時の村山さんの興味無さげな顔を。
何故そうなったのかを。
思想信条がそうさせたことを。

一見、人権を守る人たちに見える彼らが
実は人権を軽視している事実を。


黙祷。