しろねこの足跡

2005/06/30(木)21:40

乱反射4

リョウに限りなく危うい気持ちを抱いていた。 触れたいと、触れられたい、と。水をはじくなめらかな肌をいつもそっと目の端にとらえていた。  リョウは、同じく同期のリツカと誰もが認める仲だった。  リツカは、私のいとこで、私の家に下宿していた。  リョウがプールに浮かび上がったその後、リツカは大学をやめて、叔父と叔母の待つ東京へ帰った。 帰った後、リツカは精神のバランスを崩して、海沿いの療養所でぼんやりと毎日空と海をながめている。リツカは私には何も言わなかった。 でも、きっと知っていた。私がリョウを求めていたことを。

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