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2025.04.21
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カテゴリ:学術



【執筆ノート】

『哲学の問題とはポイントの問題である──ウィトゲンシュタインの中心概念を読む』


https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/literary-review/202504-post_3.html



三田評論ONLINEより転載

  • 谷田 雄毅(たにだ ゆうき)

    哲学者・塾員

この世界にはさまざまなタイプの「音痴」がいます。運動音痴、味音痴、経済音痴……詩や小説、絵画や映画、音楽などの作品を適切に鑑賞することができない、芸術音痴もいます。芸術音痴は、作品のどこに焦点を合わせればよいのか、どこに注意すればよいのか、つまり、全体としてどうやって「見る」必要があるのかがわかりません。彼ら/彼女らには、物理的には見えるはずのものが見えないのです。

こうした芸術音痴が置かれている状況を記述する便利なことばがあります。それが本書のタイトルにもある「ポイント」(Witz; point)です。

「ここでのポイントは~です」とか「議論のポイントがわからない」とかいうときの、あのポイントです。英語で「理解する/していない」ことをget / miss the point と表現しますが、芸術音痴は作品のポイントを掴みそこね、作品の理解に失敗していると言えるでしょう。

本書の主人公ルートヴィッヒ・ウィトゲンシュタイン(1889―1951)は、このポイントという概念を非常に大事にしていました。本書のタイトルは、彼の遺稿の一節からとっています。

彼は、哲学者たちのことばの使い方を批判し(言語批判)、哲学的問題を「解決」するのではなく「解消」しようとしました。ウィトゲンシュタインに言わせれば、哲学者は、言葉の音痴ということになるでしょう。そんな音痴たちに、言葉本来の使い方がよく見えるようにするための活動。それは、たとえば、音楽作品の理解に失敗している人に、「ここはこんな風に聴くといいよ」「このフレーズをここと比較してごらん」などと語りかける作業と似たものになるはずです。その方法はひととおりではないでしょうし、何が有効な助言になるかも相手次第です。うまくいく保証はどこにもありません。

本書では、彼の哲学全体を、わたしたちの言葉の使用のポイントを教える活動として再構成することを試みました。相手の間違いを論証するのとは違う「批判」のかたちが、本書で少しでも描き出されていれば嬉しいです。










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最終更新日  2025.04.21 23:38:37



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