空の彼方へ

   

~空の彼方へ~


前日まで一緒に笑っていた

翌朝の知らせではもう会えない人になった


自力で歩くことが困難な人でした。


その人はまだ大人になったばかりで

ランチの時には、最近知り合った恋人のことなど

嬉しそうに話していた。

楽しい日々が始まるはずだった


四十九日も過ぎた頃だろうか

朝方に見た夢

長くきつい坂道を見上げているであろう私。


まだ朝もやがかかっているよう


周りの景色など見えない

ふと気付くと

その人は私の隣に立っていた。


そして…


ゆっくりと私の左腕を支えに坂道を歩き始めた。

「歩けるようになったのね。」


「・・・・・・・・。」

答えは聞こえなかった。


段々と坂を登る歩調が上がってきている

坂道の中腹を過ぎた頃に私をチラリと見たような気がした。


「私も一緒に行くよ。」


そう伝えた。


その瞬間その人は支えていた私の左腕を振り払った。。。

そして坂道の向こうに一人で走り去ってしまった

私にはもう追いつくことが出来ない

坂の上から昇りはじめた朝日に


走っている後姿が溶け込んで見えなくなった。

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Nさん。いつも楽しく遊んでくれて有り難うございました。

お空の向こうで沢山のお友達と仲良くしていると信じております。

夢で会えたことに感謝しています。

いつも楽しく遊んでくれて有り難うございました。

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