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空想俳人日記手塚治虫作品限定版

2007年09月19日
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カテゴリ:ハ行
空蝉の 輪廻転生 鈴の声 


 確かに「火の鳥」は改めて始められた「黎明編」、そして、それを受け継ぎながら全体構想にも昇華させられた「未来編」が、シリーズを運命づけています。
 しかし、そのシリーズの中で、最も「火の鳥」が手塚氏のライフワークとして自他共に決定づけることとなったのは、この「鳳凰編」と次なる「復活編」ではないでしょうか。「黎明」とか「未来」、その大きな過去と未来に対し、次なる「ヤマト」と「宇宙」は、また漠とした背景設定から来るシリーズ内タイトルです。でも、この「鳳凰」にしても「復活」にしても、そこに込められた主題への想いが強く感じられます。
 さて、「復活」に関しては別の機会に譲るとしまして、この「鳳凰」は、明らかに火の鳥をモチーフとした中で、私たちに人々の想いの正体への紐解きがタイトルから為されているように思います。
 二人の主人公、我王と茜丸。偶然なる出会い、そこでは悪人と善人というごく常識的な対峙がありますね。加害者と被害者、そう言ってもいいですね。そして、鳳凰に固執していく茜丸、鳳凰には無頓着なままの我王。夢を果てしなく追い求め伴侶となったブチにも自らの人生を語っていたはずの茜丸、人を果てしなく殺め伴侶となった速魚とともに生にしがみついていたはずの我王。
 そう、各々の一時伴侶となった二人の女性。真の支えであるはずの彼女たちと火の鳥の存在。生きることの意味や輪廻転生とは何かという大きな課題の中で、我王も茜丸も苦悩する人生に、課題への回答ではなく、直面する苦悩への救いの存在として、私たちは「ひょっとすると・・・」と感じざるを得ません。まるで二人の男の真心が反映された役柄ですね。そうした意味でも、手塚氏が「火の鳥」を通して、私たちに最も多くのメッセージを残してくれたのが、この「鳳凰編」であり、次の「復活編」だと、私は信じてやみません。
 ところで、ここでの我王、あらゆる時代であらゆる役割を演じている猿田一族。猿田一族の運命を最も感じさせる作品でもあります。人の命を粗末にしながらも我王が唯一救った命、速魚は、手塚氏にとってはゼフィルスなんではないでしょうか。
 それにしても、男たちよ。何故に、そうも周りに振り回される。最愛の速魚の想いも無視して盗人集団の手下に惑わされ、さらには宗教と政治の合体を朝廷のために目論んだお師匠さんに翻弄される我王。そして、茜丸は、自らの彫り師の実力を朝廷の権力者に委ねます。自らの生きる生涯を語った伴侶よりも、そうした立ち代る権力者に迎合する人生へと堕ちていきます。
 我王と茜丸、再びの出会い。そこには、始めの悪人と善人という関係、加害者と被害者という関係とはまったく異なった、二人の関わりが浮かび上がります。ある見方をすれば逆転の人生。しかし、そう簡単に二人の関係は片付けられませんね。何故なら、そこには、そうした単純な○×方式の定義ではすまないものがあるからです。そこには加害と被害だけでは片付けられない善悪の彼岸があるからです。
 かといって、手塚氏は、おそらく自らへの自問自答も含めて、私たちに、我王の人生と茜丸の人生、どちらを選びたい、そう突きつけてきます。生きながらえるのは我王。生まれたときから片腕や片目を失いながら、さらにもう片方の腕を失います。それに対し、我王のせいで、利き腕の神経をやられながらも、それ以外は五体満足で生きてきた茜丸。しかし、権力の象徴の焼失事件の際に、一切の身を焼き焦がしてしまいます。焼かれた彼の身の粉を火の鳥が掬いあげます。そして、物語の最後、ずっと出会うことのなかった出会い、事の顛末が終わったあとに、茜丸の伴侶だったブチが我王と出会います。愛する男の弔いのために、僧侶である我王へ・・・。
 さまざまな出会いは繰り返され、ある人間の人生のターニングポイントが過ぎても、また出会いは、そのあとから繰り返されます。そして、出会うたびに、何かに気づき、方向転換や軌道修正をしながらも、大きな生きとし生きるものたちが繰り返す、この宇宙という舞台の中で、物語はいくつもいくつも生まれては消えていきます。人生はそういうものと言えば、それまでですが、この「鳳凰編」で、「一期一会」や「袖摺り合うのも他生の縁」そんなコトバが、どれだけ真に重いものかを実感させられたことに、改めて感謝です。ありがとう、手塚治虫サマ。







最終更新日  2007年09月19日 12時34分14秒
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