私の父私の父は、『真面目』を絵に描いたような人だった。優しく、厳しかった。ちょっと笑えることもあったが。母のことを大切にし、いつも二人はおしゃべりを楽しんでいた。時には、母に言いまくられることもある父だった。 私が、女子校に入学して、初めての電車通学をすることになった時、 「門限は、4時。」と私に言った。 思わず、吹き出しそうになった。だって、授業をちゃんと受けて、掃除をして、走って駅まで行って帰っても、4時には帰れなかったからだ。 一応、「ハイ。」と返事をしておいた。 その頃夢中になっていたアイドルの武道館公演に友人たちと行く時も、心配だと言って自分のチケットも私に買わせて、武道館の中でじっと座席に座って、コンサートが終わるのを待っている父だった。 周りは、女の子だらけで、しかもみんな失神せんばかりに熱狂している中、スーツ姿の父はさぞかし浮いていたに違いない。 大学時代には、ジャイアンツファンの父と私はよく二人で今は無い後楽園球場へ行っ。 結婚して、夫とアメリカに留学した時も毎日父からメールが届いた。 私の中には、父のDNAがある。私もきっと同じような道を行くのだろう。 父のように、立派な最期を演じられるように、生きて行きたい。 |