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カテゴリ:最近の出来事から…
プロ野球選手の大魔人、佐々木が引退を決意したそうですね。
いつかは現役を退くときがくるのはあたりまえなのかも知れませんが スポーツの世界は全盛時代が短く、あっけないのが残念でありますね。 でも、人間は引退をきっかけにまた、新しい人生のスタートをきれるわけですから 引退という文字にネガティブなイメージだけを思い浮かべるのは間違いでしょう。 今日、うちの会社にバイクに壊れたぼろぼろのミシンを積んで、修理を依頼にきた 青年がいました。 古くて部品もほとんどないのですが…、と言いながらちょっとすまなそうに 私の顔を伺っていました。 こんなミシン直せない!と言ってしまってもいいような、おそらく50年以上前 に製造された、足踏み用の18種ミシンでした。(注1) 少し考えた後、私は、よし、修理してあげよう!と答えていました。 なぜだろう? 理由は二つ …ひとつは若者がものづくりに取り組もうとしている 姿を見て応援してあげたい気持ち。もし靴メーカーの依頼なら 断っていたでしょう。 もうひとつの訳はそのぼろぼろのミシンの気持ちかな。 本当なら足踏みミシンの頭部なんて、モーター駆動の時代になった40年前に 『引退』している機械です。モーターでぶんぶん回されるように作られていないの ですから。 それでもこのミシンはしばらく使われ、持ち主の生活を支えてきたのでしょう。 足踏みペダルをモーターに変えてガタゴトガタゴト…、 子供を育て、住宅ローンも払いきって…。たぶん、20年前くらいには仕事場の 隅に追いやられて、新しいミシンの軽快な仕事ぶりを横目で見ていたに違いありま せん。その後、彼は何人かの人手に渡ったのでしょう。 塗装を直され、修理されたあとが、彼の履歴として残っています。 そして、その持ち主からもしだいに使われなくなり、別のミシンの部品取りとして ひとつまたひとつとパーツをはずされてしまって、働けない体はほこりをかぶって いったのでしょう。そのまま放置されてさらに十数年が経過し、思いもかけなく 最近、一人の青年にもらわれる事になりました。 …と、ここまでの話は私の推測ですが、さほど遠くはずれていない 経緯がなければ、鉄くずとして、とっくに再生しているはずのしろものなのです。 いままで、3度は死んでる機械をまた、働かせていいものかどうか? 私にはわかりませんが、引退しない50年前のミシンに敬意を表して また、こいつには使命がまだあると確信したので修理しようと思いました。 機械のくせに羨ましい奴だな…。 佐々木もがんばれ! (注1)18種ミシン … 靴用の工業用ミシン、現在はポストタイプが主流 だが昔から靴職人の定番アイテム。音がうるさく 振動も激しいがミシン目がきれいで安価 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 10, 2005 12:44:05 AM
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