
ミシンの形状が数ある中、ポストミシンというカテゴリは今では
靴縫製に関わる人しか聞いたことがないのではないでしょうか?
私の会社で販売している主力機種なんですが‥。
ポストで思い出す笑い話があります。
初めてウチに来たお客さんからポストミシンの修理を預かった時のこと、
修理が終わって聞いておいた連絡先に電話したところ留守電になっていて
何度かけ直しても繋がらないのでその留守電に伝言を入れました。
「もしもし、○○さんでしょうか?お預かりした”ポスト”。
できましたので取りに来ていただけますか?‥」と。
後にこの電話番号が間違えだった事を聞いて、留守電を聞いた人のリアクションを
思い浮かべるとおかしくてたまらなかったのでありました。
郵便ポストの塗り替えでも頼んだのか、はたまた郵便局と間違えてるのか、
奇怪な留守電に戸惑う姿が目に浮かびます。
‥前置きはこれくらいにして、
確かにミシンの作業部分が郵便ポストのように細く立ち上がっているので
ポストミシンということになったようです。
多くのミシンの淵源と同じでポストミシンもアメリカのシンガー社が51Wという
型で世に出したのが始まりのようです。
何故、ポストが必要だったのかといえば、ドーム型や立体物の縫製には
平ベットや腕型のミシンでは不自由であったからであります。
立体物とは、たとえばブラジャーやカツラ、帽子などがあります。
カツラの作り方も面白いので後日このブログに書きたいと思いますが、
いずれにせよ、縫製物をつぶさずに縫いたいのでポストミシンが開発されたと
言われています。同じ立体物の縫製ということで靴にも使われるようになり
ここ30年くらいで腕型の18種にとって変わって靴縫製の主力の座に
登っていったのであります。
日本の歴史では靴といえば、18種、鞄といえば17種で戦後のそれぞれの産業を
支えてきました。今でもやっぱり18がいい!という根強い人気が残っていますが‥。
一方、欧州では早くから靴縫製にポストミシンを使用したようで
それに習った日本の古い靴メーカーの工場などには50年前くらいのドイツ製
ポストミシンがいまだに存在しています。
現在では中国でさえポストミシンが主力で18種は使われる事がほとんどないようです。
唯一18種を製造しているミシンメーカーのセイコーの人が言うには
18種は国内しか売っていません。輸出なし!との話なので
現在の世界基準でいうと靴縫製にはポストミシン‥といえるのではないでしょうか?
‥‥その2へつづく