奈良県、久保本家10月26日に奈良県で旨い地酒を造っている「久保本家」さんに行き、蔵見学させて頂きました。 久保さんとは、ある勉強会で知り合ったのです。 お取引をさせていただくにあたって、最初久保さんから 「蔵見学をしていただいてから」 と言われたのです。 高知と奈良、仕事の都合上、そう簡単には行けません・・・。 一刻も早くお取り扱いをさせて頂きたかった私・・・。 そこで特別に、まず久保さんが当店まで来てくださいました。 私も「年内に必ず蔵に行かせて頂きます!」と約束をし、機会を伺っていたのです。 「蔵見学をしていただいてから」 この言葉に対し驚かれた方もいらっしゃると思います。 ですが、蔵見学をして納得しました。 ここまで手間をかけて造っているのに、 おいそれと簡単にポイポイ売るわけにはいかないのだ!と・・・ 久保本家さんは、阪急近鉄線「榛原(はいばら)駅」から車で20分くらい。 周りを山に囲まれ、山からの新鮮な空気と清らかな水に恵まれた土地。 「又兵衛桜」という「しだれ桜」が近くにあるので、桜好きはご存知かも? 古民家と蔵がくっついている大きな建物 家が築100年(庭が素敵でした)。 250年前の蔵(現在は試飲スペース)もありました。 年間500石(1升瓶で言うと、5万本) それを蔵人6人で造っています。 こちらが専務の久保順平さん 穏やかな顔ですが、酒造りはアツいハートを持っています。 そして杜氏の加藤克則さん。 久々に凄いオーラの出てる方にお会いしました。 (杜氏の写真は無し。撮ってもいいですか?って言えなかった・・・) 米は、地元の契約農家と徳島の契約農家があり、その年の出来、つまり杜氏が米を見て、その年の使い方を決めています。 水は吉野山の伏流水。 米麹つくりですが、まず蒸した米に麹菌を混ぜ込みます。 そして、まず保温。 状況を見て、じょじょに乾燥させたりもします。 麹菌は、もちろん水分が無いと生きられません。 だから、水分のある米の中へ繁殖していくのです。 こうして、米の表面だけでなく、芯まで麹菌が根をはった強い米麹の完成。 そして次の作業「もとすり」これがカルチャーショックでした! (「もと」は酒へんに元と書きます。パソコンで出ない・・・) (「すり」は「摺り」と書きます) 普通の蔵は、タンクに米、米麹、水、酵母を入れます。 (これらを混ぜたものを「酒母(しゅぼ)」と言います) そこから発酵が始まるのです。 大き目の「たらい」に、米、米麹、水を入れる(酵母は入れない) そして櫂(デッキブラシのブラシが無い物を連想してください)を使い 2人がかりで、円を描きながら摺っていくのです。 これを休み無く40分くらい。 すると、最初大きかった米の粒が、だんだん細かくなるのです。 粘土状になるのではなく、どちらかと言うとサラサラ状。 これをすると、このサラサラ状物体の中では、亜硝酸還元菌ができて亜硝酸を作り出し、雑菌を殺します。 そして亜硝酸還元菌は亜硝酸によって死滅し、この中は ほぼ無菌状態になるのです ここでやっとタンクに入れて酵母を添加します。 だから最初、酵母は安全な状態で繁殖できるのです。 でもまだまだ作業はあるのです。 酵母の繁殖次第では、櫂を入れてかき回します。 ただ回すだけでなく、 押すときに勢いよくするか、引くときに勢いよくするか そのときの発酵の状況により、そこまで決めてるのです! これは、今「流行形」と言われるフルーティな香りを出さないためでもあります。 これにより、温度変化を激しくし、 酵母にとって過酷な状況を作り出し、 弱い酵母は死に、強い酵母だけが生き残ります。 つまり、米、麹、酵母、全てに強さを求めているのです。 仕込みのとき タンクの温度が上がったら、普通はタンクを冷却します。 けれど久保本家さんは、氷をタンクの中に入れます。 (その仕込み水は減らす) 「きもと」の酒は、発酵50日・・・すげぇ・・・ 左:この板は250年前に使ってた樽を再利用(リフォームの番組に出てきそう) 右:250年前に酒つくりをしてた蔵を「試飲スペース」にしている。 ジャズが流れるオシャレな空間。 左:瓶を洗って乾かしている、奥に見えるのは瓶詰機 右:この中にお湯をはり、日本酒を入れたケースを中に入れて 65度で殺菌。全て手作業。 久保本家さんの酒は、全体的に「切れ味が良さ」がズバ抜けてます。 ・冷やは、もちろん旨い ・燗酒も、飲みやすくて旨い ・燗冷ましも旨い ・色々な料理に合う (醤油、味噌系の料理は特に) ・飲み飽きしない ・万人ウケするタイプ まさに理想のお酒。 でも奈良県では、あまり置いている店が無いとか・・・。 もったいない! 比較的涼しい県で、せっかく旨い燗酒になる地酒があるのに・・・。 だから・・・当店でしっかり売ろう! と心に誓いました。 久保本家 初霞 特別純米 720ml ちなみに「夏子の酒」の作者、今は「オンサイト」を書かれている、 「尾瀬あきら」さんが、蔵に遊びにきて作業をすることもあるのだとか・・・。 ジャンル別一覧
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