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小市民の一日

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2005年07月26日
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カテゴリ:主に法律関連
<共謀罪?>
 
 共謀罪・・・初めて耳にする方もいると思われます。私は一昨年,元判事の先生が「近いうちコンスピラシー(共謀罪)ができるます」とおっしゃってましたので,「やっと成立か」という感を抱きました。
 ところで,最近この共謀罪が注目され「危険」だと言われています。一般人にも適用される危険がある,と。
 果たしてそうでしょうか。条文を基に,検証してみます。


<共謀罪の成り立ち~目的は正当?~>
 
 共謀罪は「近年における犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化の状況にかんがみ、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴い」新設することになった規定です(http://www.moj.go.jp/HOUAN/KEIHO5/refer03.html)
 これにより,「国際組織犯罪防止条約に加入することが可能となり,一層強化された国際協力の下で我が国を国際組織犯罪から守ること」ができ,また「国内で現実に発生している組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪について,これまでは,例えば共謀に参加した者が自首した場合など確実な証拠が入手された場合であっても,実際に犯罪が実行されなければ検挙・処罰することができませんでしたが,共謀段階での検挙・処罰が可能となり,組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪から国民をより良く守ることができるようにな」るとされています(http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan23.html)。
 
 近時,日本においても,中華マフィアが進出してきており,それ絡みの犯罪が発生してます(http://www.aliceinwonderland.com/library/japanese_files/boundaries.html)。
 のみならず,外国人(特に中国,韓国人)の強・窃盗団の「活躍」も目覚しく,また暴力団が暴走族や,学校における(見かけは普通の)不良分子を「教育」し,「振り込め詐欺」を働いている事例も見られます(http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/2004/1024/tokusyu1.html)。
 
 法務省の説明にあるように,これらの犯罪を実際の犯罪が着手される以前に取り締まることができれば,治安の維持に役立つことは間違いありません。
 
 このようなことから共謀罪の成立目的は正当というべきでしょう。


<実際の条文を見てみる>
 
 次に実際に条文をみてみます。
 共謀罪は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」の一部改正により,同法に挿入されます。
 まずは柱書をみてみましょう。

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 第六条の二 
 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。
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 この部分の重要なポイントは,「団体の活動として」「当該行為を実行するための組織により」という文言です。これが適用対象を限定するためのキーワードになっています。すなわち,一般市民に対する安全保障になっているわけです。
 まず前者の文言の意義については,同法三条の括弧書きが説明しています。
 
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 第三条(抜粋)
 団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として・・・
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 ちょっとわかりにくいですから,上記二つの文言について,刑事局長の考えを引用します。
 
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 第162回 衆議院法務委員会(平成17年7月12日)における大林法務省刑事局長の答弁
 「共謀罪が適用されるのは、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定する、すなわち、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うような団体であり、かつ、団体内部に犯罪実行部隊を持つような団体である場合に限られる、このように考えております。」
 「団体が有している共同の目的が犯罪行為を行うことと相入れないような正当な団体については、仮に、たまたまその団体の幹部が相談して犯罪行為を行うことを決定したとしても、共同の目的を有する団体として意思決定したとは言えないため、「団体の活動として、」という要件を満たさず、共謀罪は成立しないと考えております。」
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 要するにこの法律の共謀罪が適用される団体として想定されているのは,犯罪を行うことが,団体の目的に反しない集団で,かつその団体の意思決定に従って,犯罪を実行に移すようなグループが内部に存在するような団体なわけです。
 実際大林局長は,そうした団体の適用事例としてはどのようなものがあるか,との問いに対し,「暴力団による賭博場開張図利や、みかじめ料目的の業務妨害、恐喝の事件、あるいは対立暴力団構成員に対する殺人未遂の事例などがあります。また、詐欺会社などと呼ばれる専ら詐欺を行うことのみを目的とする組織による詐欺の事例も見られます。こうした暴力団や詐欺会社等によるもの以外の市民団体や犯罪性のない会社等について、・・・「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により」の要件に該当するとされた事例は承知しておりません。」としています。
 結局は,犯罪者集団ということなんですが,当局は一貫してそういう説明をしません。なぜでしょう。その理由は次の大林刑事局長の答弁に現れています。「・・・委員がおっしゃるように、一般の方々にとっては非常にわかりにくい構成要件であろうということも、私ども、そこは理解しているところでございます。この取り扱いについては、恐縮でございますが、引き続き御議論をいただきたいなというふうに思っております。」などと答えています。
 これは,要約して言えばおそらく「わかりにくいんだったら,お宅ら議員がそういう文言に改正したらいいじゃないか」ということだと思われます。刑事局長は行政職員ですから,文言を超えたことはいえません。ですから,少しわかりにくい答弁になってしまっているわけです。刑事局長としては少し嫌味を言ったのでしょう。

 わき道にそれましたが,以上から,こちらの自由法曹団という「香ばしい」(左翼的ということとほぼ同義)方々のご懸念(http://www.jlaf.jp/iken/2004/iken_20040115_02.htmlの「Q1」における「その1」と「その2」)はあたらないということです。
 
 まして,「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル」(治安維持法1条)者を処罰対象とした「治安維持法」と本法を同一視する(前掲アドレス「Q2」参照)など,誤った印象操作も甚だしいといわざるを得ません。

 本法は,ある集団が,犯罪を行うことが団体の目的に反しない集団で,かつその内部に犯罪実行手段のようなグループが存在する集団であるとされてはじめて,処罰の対象と「なりうる」(ここもポイントです。集団が存在するだけでは処罰対象とはなりません。具体的に「共謀」をして初めて処罰の対象となります)集団となるのです。
 最初から「共謀罪」を悪法と決めてかかっているが故に,目が曇っているようです。

 「不同意堕胎罪や偽りその他不正の行為による市町村民税の免脱罪・・・コンビニでの万引きや、けんかをして相手を殴ることは10年以下の懲役ですから、当然対象犯罪になります。また、相談しただけで処罰できますから、公害被害者団体や支援する会などが企業に対する抗議行動を計画すれば、「組織的な威力業務妨害共謀罪」とされるおそれがあります。
 ・・・今回提出されている「共謀罪」は、これと全く関係のない多くの犯罪、労働組合・市民団体などの広範な集団を取締りの対象にできるものとなっているのです。」(自由法曹団の先のHPより) 

 上記の行為が「団体の活動として」かつ,「当該行為を実行するための組織により」行われたならともかく,そうでないならばいずれも共謀罪の適用対象になりません。

 それと「共謀」とは,「2人以上の者が,特定の犯罪を行うため,共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し,各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議」です(最高裁昭和33年5月28日大法廷判決。いわゆる練馬事件判決)。
 単に「そうだ。今度窃盗しない?」というのではダメです。
 X「オイ,今度,多摩にあるあの資産家Aの家に押し入ろうと思ってるんだが,俺はあいにくその日は組の幹部の会合で忙しい。下調べと武器は俺が用意するから,おまえ,若い衆を何人か連れて行って来てくれないか」
 Y「わかりました。男を挙げたくてうずうずしてる若いのに2人,3人当てがありますから,そいつらを連れてやってきます」
 X「よし。分け前ははずむ。ヘマはするな」
 これくらい具体的じゃないとダメです。
 
 それにしても市民団体とか労働組合って犯罪を行うことが,団体の目的に反しない集団で,かつ内部に犯罪実行集団がある集団なんだ?初めて知った(w
 

<具体的にどんな罪の共謀が適用対象に?>

 先述しましたが,単に犯罪を行うことが団体の目的に反しない集団で,内部に犯罪実行組織がある集団が存在するというだけでは処罰されません。その団体が具体的に犯罪の共謀を行ったときにはじめて,共謀罪が適用されます。

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 六条のニ
1 (柱書は前掲したので省略) 
 一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮                   
 二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮     
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

(「第三条第ニ項に規定する目的」)
 第三条第二項
 「団体に不正権益(団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪その他の不正な行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきものをいう。以下この項において同じ。)を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的」
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 まずは1項から。
 1号及び2号を御覧いただければわかるように,共謀をすると処罰の対象となる罪は相当重いものに限られ,暴行罪(208条。2年以下の懲役)や脅迫罪(222条。2年以下の懲役)等軽微な犯罪は除かれています。
 とりあえず網羅したHPとして↓http://www1.neweb.ne.jp/wb/zinken/kyoubou.html
 このHPはやはり自由法曹団の方々のように,法解釈に通じていない法律家の方々によるものですが,適用対象となる犯罪を網羅したものとして参考になるのであえて載せます。

 上記で適用対象となる犯罪を載せた上で,ゆめゆめ誤解を招かぬよう重ねて,繰り返し述べますが,これらの犯罪の共謀は,犯罪を行うことが,団体の目的に反しない集団で,かつ内部に犯罪実行集団を持つような集団によって行われて初めて処罰の対象になります。
 ですから,一般市民において,上記のような集団を結成し,その上で,一定の犯罪を犯す共謀をなさない限り,共謀罪は適用されません。←ここはまた重要なポイントです。重要なので繰り返します。
 
 2項はわかりにくいのですが,先の法務委員会における大林局長によると,「例えばみかじめ料を獲得するための暴力団の縄張りのようなものがこれに当たると考えております」ということです。
 まぁ,2項は「団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力」だとか,「当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ること」等の文言からして我々一般人にはかかわりがないことは明白ですが。


<結論>
 
 できる限り簡単にしたつもりですが,難しくなりました。力不足で申し訳ないです。
 人権擁護法案と違い,この法律は安全ですから,賢明な保守及びその同調者の皆さん,安心して結構です。

 
 ※平成17年7月27日 文言の解釈を刑事局長の発言に基き,より正確にしました。






最終更新日  2005年07月27日 01時25分15秒
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