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<また無視された国家元首の演説> 以前,国会におけるインド首相の演説とヴェトナム首相の演説の全文をテキストに起こし,紹介いたしました。これらの演説は評論家の西村幸祐先生がそのブログにおいて紹介してくださったおかげで,ネットを利用している方にはある程度知れるところになったと思われます。 さて,通常,他国の首脳が国会で演説した場合,その国のメディアはその内容がどうであれ,全文を紹介するべきでしょう。しかし,両国の場合,国会における演説はおろか訪日されたことさえろくに紹介されませんでした。 あれ以来,外務省や国会のホームページを見て,どのような国の首脳が日本を訪れているのかをよくチェックするようになりました。そうしましたところ,今年もまた早速,マスコミがそのマスゴミっぷりを遺憾なく発揮される事態に直面いたしました。 表題にありますように,本年2月27日,モンゴル国大統領ナムバーリン・エンフバヤル閣下が国会で演説されました。その様子は,国会の中継としてネット上で閲覧することはできますが,マスコミが取り上げなかったため,ほとんど知られていないと思われます。モンゴルは親日的な国家として知られており,またかの地に我々日本人のルーツがあるともいわれるなど,起源においても近い民族同士であるいわれています。まして,大統領といえばその国の代表。国家元首であられるわけです。その国会における初の演説を無視するというのは,モンゴルに対して失礼なことではないかと思います。 そこで本日,ここに大統領の行われた演説の全文を掲載いたします。 =============== 「(挨拶略)モンゴル国と日本との間に外交関係が樹立されて僅か35年ではありますが,両国の国民は,起源・歴史・文化において古の時代からのつながりを有しておりました。(聞き取り不能)については,モンゴル及び日本の著名な学者が研究を行い,定説となっています。このようなつながりは,両国間および両国民間の交流を発展させるための良好な関係を作っているといえましょう。
尊敬する国会議員の皆様,モンゴル国は,民主主義体制と市場経済体制へ移行する過程において,具体的な成果を収めてきております。1990年に行われた初の自由選挙によって組織された国会は,1992年に新憲法を制定し,モンゴル国が民主主義,市場経済によって発展するための政治的及び法的な基盤を構築しました。政治改革は成功裏に実施され,自由選挙,複数政党制は実際に定着し,基本的人権と自由が保障されています。経済改革は多くの困難に直面しましたが,成功裏に進展し今日移行期は基本的に完了しております。移行期当初の数年間は,インフレ率が300%以上に上昇し,国の歳入が激減し,実質的賃金が減収するなど,財政難は極めて深刻でした。この困難を惹き起こした実質的な原因は,国内総生産の大部分を占めていた当時のソ連からの援助が止まり,COMECONが崩壊したことでした。経済体制の移行は,モンゴル国の工業生産の急落,社会サービスの欠乏,失業の急激な増加,貧困等を生み出しました。国が採った様々な施策及び支援国の援助のおかげで,経済は1995年から回復し,2000年からは安定的に成長し,2004年には10.7%の経済成長を達成し,最近数年間は平均6%~7%の経済成長で推移しています。インフレ率も一ケタ台に抑えられ,実質所得も増加しています。国内総生産の70%以上を民間部門が占めています。モンゴル国の改革の特徴は,政治改革と経済改革を同時に行ったことです。これは,『苦しみは短く,幸せは長いほうがいい』というモンゴル人の人生哲学と関係しているといえましょう。こうして全体主義政治体制から民主主義政治体制へ,そして中央計画経済から市場経済へと歴史的移行が実施されたのは,過去17年間の主要な成果です。しかしながら我々は貧困を削減し,失業問題を解決し,国を持続的に力強く発展させる上で容易ならぬ問題に数多く直面していることに変わりはありません。我々は比較的長期的な開発計画と戦略を策定しています。我々がその目標としているのは,鉱物資源分野に依拠した,力強い発展の端緒を開き,富を蓄積し,更に加工業を発展させ,先進技術を導入し,知識経済を振興し,国民が高度な教育を受け,比較的豊かでかつエコロジカルな環境の中で生活する力強く発展する国の建設です。 <2へ続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年03月02日 22時24分08秒
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