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買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

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2011年12月19日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
「いいよいいいよ、タルタルなしの人生も」
言いながら益夫はストックの引き出しからタルタルソースの小袋を三つ取ってきて、皿の隅にドーム状に搾りだしていく。
「俺。カキフライ大好き」
「あたしはそんなに・・・・・」
「なんで?超うまいじゃん」
「あの中のぐしゅぐしゅしたところが、ちょっと」
「あああれな。うまいけど、確かに得体がしれないな」
益夫は衣が見えなくなるほどタルタルソースをたっぷりつけたカキフライを半分かじった。そして短いまつ毛にふれそうな近さで断面を見つめた。
「ここ、なんなんだろうな。脳みそか?」
「脳みそ?」
「この質感は、脳みそじゃないか?」
「脳みそ?だったら、カキの体って八割以上脳みそじゃない?そしたらカキ、すごい頭いいことになっちゃわない?」
「カキが!?アハハッ、そりゃないな!そんなわけなかった!!」
爆発的に笑いがとまらない益夫を横目に、テンテンはタルタルソースなしでカキフライを半分かじった。そして飲みこまないうちにもう半分を口に入れて、中身をみえなくした。
鮎太朗が恋しかった。
(青山七恵さん「わたしの彼氏」P204)


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Last updated  2011年12月19日 19時51分30秒
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